デンマークの21st.BIOが、精密発酵によるβ-ラクトグロブリンについてアメリカでGRAS自己認証を取得したと発表した。
これは、今年5月にデンマークでパイロット工場を開設した発表に続くものとなる。
21st.BIO、精密発酵ホエイでGRAS自己認証を取得
21st.BIOは開発開始から2年経たずにGRAS自己認証を取得した。
GRASとは、Generally Recognized As Safe(一般に安全とみなされている)の略語で、米国における食品安全に関する独自の認証制度をさす。企業はGRAS自己認証を行うことで、対象物質をアメリカで販売できるようになる。
21st.BIOはNovonesis (旧称Novozymes)から部分的にライセンス供与された精密発酵技術を使用して、乳タンパク質ホエイの主要タンパク質β-ラクトグロブリン「BLG Essential+」を開発した。
β-ラクトグロブリンは精密発酵スタートアップの多くが開発する成分であり、パーフェクトデイ、Remilk、Imagindairyなどもβ-ラクトグロブリンでアメリカで販売認可を取得している。
プレスリリースによると、21st.BIOの「BLG Essential+」は筋肉の合成に特に重要なロイシンが市販品よりも45%多く含む。無味、広範囲のpHで安定かつ熱耐性もある同成分は、プロテインドリンク、代替乳製品、ベーカリー製品まで多様な用途に使用できるとしている。
精密発酵製品の市場投入を支援する包括サービス
21st.BIOは、スタートアップ企業、原料メーカー、乳業メーカーなどが製品開発のリスクを軽減できるよう、菌株の開発から、発酵プロセス、精製プロトコール、パイロット生産、スケールアップガイダンス、当局の承認まで、製品を市場に出すまでのあらゆる段階で包括的な支援を提供している。
今回のGRAS自己認証により、21st.BIOの開発プログラムに参加している企業は、「BLG Essential+」を使用した自社製品をアメリカ市場で販売できるようになる。
共同創業者兼CSO(最高科学責任者)のPer Falholt氏は、「当社は他では得られない技術とスキルへのアクセスを提供します」とコメント。共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のThomas G. Schmidt氏は、「当社は単に技術を提供するだけではありません。お客様の製品開発の道のりにおけるパートナーであり、開発から本格製造までお客様の成功を保証します」と述べ、開発から市場投入までを支援する姿勢を強調している。
「BLG Essential+」は21st.BIOのプラットフォームを通じて最初に市場投入されるタンパク質となる。同社は乳タンパク質ではβ-ラクトグロブリンに加えカゼインも開発しているが、リンクトインの投稿からは、乳タンパク質だけでなく卵タンパク質にも取り組んでいることがうかがえる。
デンマークにパイロット工場を開設
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アイキャッチ画像の出典:21st.BIO