Foovo Deep

デンマークの21st.BIO、アメリカで精密発酵ホエイのGRAS自己認証を取得

2024年12月27日:後半のスライドを一部修正・追記

 

デンマークの21st.BIOが、精密発酵によるβ-ラクトグロブリンについてアメリカでGRAS自己認証を取得したと発表した

これは、今年5月にデンマークでパイロット工場を開設した発表に続くものとなる。

21st.BIO、精密発酵ホエイでGRAS自己認証を取得

共同創業者のPer Falholt氏 出典:21st.BIO

21st.BIOは開発開始から2年経たずにGRAS自己認証を取得した。

GRASとは、Generally Recognized As Safe(一般に安全とみなされている)の略語で、米国における食品安全に関する独自の認証制度をさす。企業はGRAS自己認証を行うことで、対象物質をアメリカで販売できるようになる

21st.BIOはNovonesis (旧称Novozymes)から部分的にライセンス供与された精密発酵技術を使用して、乳タンパク質ホエイの主要タンパク質β-ラクトグロブリンBLG Essential+」を開発した。

β-ラクトグロブリンは精密発酵スタートアップの多くが開発する成分であり、パーフェクトデイRemilkImagindairyなどもβ-ラクトグロブリンでアメリカで販売認可を取得している。

プレスリリースによると、21st.BIOの「BLG Essential+」は筋肉の合成に特に重要なロイシンが市販品よりも45%多く含む。無味、広範囲のpHで安定かつ熱耐性もある同成分は、プロテインドリンク、代替乳製品、ベーカリー製品まで多様な用途に使用できるとしている。

精密発酵製品の市場投入を支援する包括サービス

出典:21st.BIO

21st.BIOは、スタートアップ企業原料メーカー乳業メーカーなどが製品開発のリスクを軽減できるよう、菌株の開発から、発酵プロセス、精製プロトコール、パイロット生産、スケールアップガイダンス、当局の承認まで、製品を市場に出すまでのあらゆる段階で包括的な支援を提供している。

今回のGRAS自己認証により、21st.BIOの開発プログラムに参加している企業は、「BLG Essential+」を使用した自社製品をアメリカ市場で販売できるようになる。

共同創業者兼CSO(最高科学責任者)のPer Falholt氏は、「当社は他では得られない技術とスキルへのアクセスを提供します」とコメント。共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のThomas G. Schmidt氏は、「当社は単に技術を提供するだけではありません。お客様の製品開発の道のりにおけるパートナーであり、開発から本格製造までお客様の成功を保証します」と述べ、開発から市場投入までを支援する姿勢を強調している。

BLG Essential+」は21st.BIOのプラットフォームを通じて最初に市場投入されるタンパク質となる。同社は乳タンパク質ではβ-ラクトグロブリンに加えカゼインも開発しているが、リンクトインの投稿からは、乳タンパク質だけでなく卵タンパク質にも取り組んでいることがうかがえる。

デンマークにパイロット工場を開設

出典:21st.BIO

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:21st.BIO

 

関連記事

  1. 微生物とAIで新素材を発見するKingdom Supercult…
  2. 米Algae Cooking Club、微細藻類由来の食用油を発…
  3. Helaina、精密発酵によるラクトフェリンの商用化へ移行、機能…
  4. 二酸化炭素からタンパク質を開発するAerbio、オランダでパイロ…
  5. インテグリカルチャー、アヒル由来の細胞培養食品の試作品を発表-官…
  6. 国内最大級のフードテックイベントSKS JAPAN 2024が1…
  7. シンガポールの培養魚企業Umami Meatsが日本進出を発表
  8. デンマークのTempty Foodsがマイコプロテインをレストラ…

おすすめ記事

Believer Meats、培養鶏肉の連続生産が高い費用対効果を持つことを実証

イスラエルの培養肉企業Believer Meatsは、アニマルフリー培地を使用し…

多様な植物から葉タンパク質を抽出するThe Leaf Protein Co.、ルビスコで生物多様性を強化【創業者インタビュー】

The Leaf Protein Co.のタンパク質使用のグルテンフリーケーキ…

Hevo Groupが代替卵製品OUVEGGをスペインのスーパーで発売

スペインの養鶏グループ企業Hevo Groupは代替卵製品OUVEGGの発売を発…

韓国の培養肉企業SeaWith、2030年までに培養ステーキ肉を1kgあたり3ドルへ

培養肉を開発する韓国企業Seawithが、新たな目標を発表した。同社はこ…

Mycorena、マイコプロテイン由来のバター試作品を発表

マイコプロテインを活用した代替肉を製造、販売するスウェーデン企業Mycorena…

イスラエルの精密発酵企業Remilk、アメリカで上市を実現

食品大手General Millsが、イスラエルの精密発酵企業Remilkの乳タ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/26 16:17時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/27 02:58時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/26 06:31時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/26 22:20時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/26 14:19時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/27 01:37時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP