ホールカットの代替ステーキ肉を開発するイスラエル企業Chunk Foodsが、アメリカの小売進出を発表した。
Chunk Foodsは、ロサンゼルスとニューヨークの独立系小売店に同社の4製品を導入する予定だ。今後はより多くの自然食品店やオーガニック食品店での販売やオンライン販売も計画されている。
Chunk Foodsの代替ステーキ肉は、培養大豆タンパク質(脱脂大豆粉、大豆タンパク質単離物、グルテン)、水、ココナッツオイル、天然香料、ビート由来着色料、塩など少ない原材料を使用して作られている。
同社の代替ステーキ肉は現在、カリフォルニア州のビーガンレストランThe Butcher’s Daughter、ペンジルベニア州のホテルHotel Fauchère、ニューヨーク州のレストランThyme Rooftop Grille、フロリダ州のアメリカンレストラン1000 NORTH、オレゴン州のコーヒーショップGreen Salmon Coffee Companyなど、全米の多くのレストラン・ホテルなどで提供されている。
AgFunderの報道によるとスペイン、メキシコのレストランや、メキシコの一部小売店でも導入されているようだ。
今回小売導入が発表されたのは下記4製品。
- 「Steaks」:代替ステーキ2枚入り。約227gで希望小売価格は9.99ドル(約1530円)。
- 「Steakhouse Cut」:約170gで希望小売価格は7.49ドル(約1140円)。
- 「Slab」:約283gで希望小売価格は9.99ドル(約1530円)。
- 「Pulled」:炒め物やサンドイッチ、サラダのトッピングとしても使えるプラントベースのプルドミート。約227gで希望小売価格は6.99ドル(約1070円)。
AgFunderの報道によると、レストランやホテルへ導入後、解約率はほぼゼロという高いリピート率を誇っているという。外食産業で高評価を得たことで、小売導入が進んだと思われる。
大豆を使用した代替肉では大豆由来の異風味が問題とされる。Chunk Foodsの場合、大豆粉末を食品グレードの微生物で発酵させる独自の固体発酵プロセスにより、豆由来の風味を弱め、肉の風味をもたらしているという。
Chunk Foodsは自社プロセスについて公表していない。同社の出願特許によると、微生物としてAspergillus Oryzae、Aspergillus Sojae、Rhizopus Oligosporus、Rhizopus Oryzae、Neurospora Cressa(特許記載ママ:正しくはNeurospora Crassa)などが例として挙げられており、タンパク質繊維の表面に微生物を撒いて発酵反応を行わせているようである。
特許によると具体的には、タンパク質繊維に微生物を撒いたものを束ねて束状にし、発酵ケースに入れて発酵させる。ケースから発酵物を取り出し、微生物を不活化し、脂肪や着色料、香料を含んだ液体を添加した後、最終形態にあわせてカットしている(上記フロー図)。
このプロセスが実際の製品に使用されているかは定かではないが、上記プロセスは、日本企業Agro Ludensの開発した米タンパク質に麹菌を撒いて固体培養するプロセスや、スイスの代替肉企業Plantedが特許出願しているプロセスなどと共通点があり、植物タンパク質と菌類を組み合わせた固体発酵による代替肉開発の動きが今後さらに広がっていく可能性がある。
参考記事
Chunk Foods Arrives in US Retail for 1st Time, Sets Prices Similar to Animal-Based Counterparts
Chunk Foods makes US retail debut with plant-based steaks
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アイキャッチ画像の出典:Chunk Foods