代替プロテイン

スイスに細胞農業の新たな拠点「The Cultured Hub」が誕生 – ミグロ、ジボダン、ビューラーの提携で実現

 

今月3日、スイス、ケンプタールに最先端の細胞農業施設The Cultured Hub開設された

培養肉、培養魚、精密発酵食品など細胞農業食品の開発とスケールアップを支援する最先端施設となる。

ミグロ、ジボダン、ビューラーグループの合弁事業であるThe Cultured Hubは、高度な製品開発ラボ、細胞培養や発酵設備を備え、スタートアップ企業のスケールアップを支援する場となる。企業は同施設を利用することで、高額な設備投資をすることなく、フラスコスケールから1,000リットルのパイロットスケールまでプロセスのスケールアップを図ることが可能になる。

出典:The Cultured Hub

ミグロ、ジボダン、ビューラーグループの3社が細胞農業施設の建設に向けて提携を発表したのは2021年9月。翌年6月、The Cultured Hubの開設計画が発表された。

The Cultured Hub発表時より、施設の予約受付は開始されており、企業にとっては待望の開設となる。

1600㎡の施設には、技術移転やスケールアップ用のラボから、発酵、分析、下流処理、キッチンなどのスペースがある。同時に3社が利用でき、それぞれの企業が完全に分離されたスペースで活動できる仕組みを備えている。

ビューラーグループのCTO(最高技術責任者)Ian Roberts氏は、「The Cultured Hubは企業のスケールアップのギャップを埋め、企業が株式を保持し、知的財産を保護し、多額の資本投資をすることなく市場投入を迅速に進められるように設計されています」と述べている。

ELSA GroupのMatthew Robin氏は、「私たちは、細胞性食品の開発に関しては、スイスがヨーロッパへの玄関だと考えています」と述べている

出典:The Cultured Hub

ミグロは2022年7月にイスラエルの培養肉企業SuperMeatと提携した。当時の報道でSuperMeatは、ミグロとの提携がスイスにおける規制プロセスにプラスに働くことに期待感を示しており、2-3年以内にスイスで販売できると見込んでいた。

スイスではこれまでにイスラエルのアレフ・ファームズ、フランスのGourmeyが承認申請を提出しており、アレフ・ファームズの承認申請ではミグロが協力している。

The Cultured Hubでは、分析や食品安全手順に従った規制バッチの作成、新製品のテスト、プロセスの最適化、小規模な市場投入の準備を行うことが可能となる。また、ベンチトップからパイロットスケールまでのスケールアップで支援を受けられるため、企業は自社のパイロット施設を建設するための資金調達を回避できる。

この仕組みにより、企業は時間とリソースを大幅に節約できるため、培養肉や精密発酵企業のスイス市場を目指す動きがさらに加速することが予想される。

 

参考記事

The Cultured Hub opens its state-of-the-art biotech facility in Switzerland

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:The Cultured Hub

 

関連記事

  1. ビヨンドミートが欧州での小売展開を拡大
  2. ソーラーフーズがフィンランドのNasdaq First Nort…
  3. ビーガンチーズを開発するMiyoko’s Creameryが約5…
  4. Biftekがシンガポールの培養肉企業へ最初の増殖培地サンプルを…
  5. 培養ウナギ肉の開発に取り組む北里大学・池田大介准教授にインタビュ…
  6. 安価な成長因子を開発するカナダのFuture Fieldsが約2…
  7. 米Omeatがロサンゼルスで培養肉のパイロット工場を開設
  8. タイソンの植物肉ブランドRaised & Rooted…

おすすめ記事

細胞培養により持続可能で高品質なカカオを生産するCelleste Bio

イスラエルに拠点を置くCelleste Bioは、細胞培養により代替チョコレート…

Sophie’s BioNutrientsがクロレラ由来の乳白色アイスクリームを開発

シンガポール、オランダを拠点とする微細藻類タンパク質のB2B企業Sophie's…

BioCraft Pet Nutrition、社名変更とともに培養ペットフードの商用化に注力

ペットフード市場向けに培養肉を開発する最初の企業であるBecause Anima…

精密発酵で母乳タンパク質を開発するHelainaがシリーズAで約22億円を調達

精密発酵で母乳タンパク質を開発するHelainaがシリーズAラウンドで2000万…

エンドウ豆由来の代替ミルクを展開する米Ripple Foodsが約72億円を調達

黄エンドウ豆由来の代替ミルクを開発・販売する米Ripple Foodsが4,92…

英Multus Biotechnologyが約12億円を調達、増殖培地工場の建設へ

イギリスのスタートアップ企業Multus Biotechnologyは、世界初の…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/04 16:03時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/04 02:27時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/04 06:05時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/04 22:03時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(10/04 14:01時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(10/04 01:18時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP