アグテック

シンガポール初のエスカルゴ養殖企業WholeSnail、シードラウンドで資金調達

 

商業用カタツムリ養殖場を運営するシンガポールのスタートアップ企業WholeSnailは今月、シードラウンドでの資金調達を完了した(調達額は非公開)。

2024年に創業したWholeSnailは、シンガポール初のカタツムリ養殖場を運営しており、温度管理された屋内施設で食用のエスカルゴ化粧品グレードのカタツムリ粘液を生産している。

次のステップとして、2025年第1四半期にカタツムリ粘液の試験開始を計画している。CNAの報道によると、2025年半ばまでに、化粧品グレードのカタツムリ粘液と調理済みのエスカルゴの最初のバッチ生産を目指している。

エスカルゴ市場の成長

出典:WholeSnail

Cognitive Market Researchによると、エスカルゴ市場は、グルメ需要や珍しい食材としての人気上昇、さらにはカタツムリ肉の健康面での利点に対する関心の高まりにより拡大している。

調理済みエスカルゴには100gあたり約16gのタンパク質が含まれており、市場規模は2023年の2億1,000万ドルから2031年までに2億8,000万ドルに達すると予測されている

WholeSnailは、欧州原産で世界中に広がるヒメリンゴマイマイCornu aspersum)を養殖しており、その中でもアフリカに生育する大型のCornu aspersum maximaと、欧州原産の繊細で小型のCornu aspersum aspersumの2種を飼育している

ヒメリンゴマイマイは国内でも確認されており、農作物への被害が警戒されている

CNAの報道によると、WholeSnailの屋内養殖場ではカタツムリの脱走を防ぐため、飼育用の木製タワーの縁に塩の錠剤を設置している。これにより、カタツムリがケースから脱出した場合でも、塩に触れることで脱水し、外部への逃亡を防ぐ仕組みとなっている。

現在、WholeSnailの屋内養殖場には、1000匹以上のカタツムリを収容できる90以上の木製タワーが設置されており、同社は約4万匹のカタツムリを飼育し、最終的には220万匹まで増やす計画を立てている

国内のエスカルゴ養殖場

出典:エスカルゴ牧場

日本国内にもエスカルゴの養殖場が存在する。

世界で初めてエスカルゴの完全養殖に成功した三重エスカルゴ開発研究所のエスカルゴ牧場では、最高級とされるブルゴーニュ種のエスカルゴを常時20万匹飼育している。

同牧場では、フランスで保護種に指定される希少なブルゴーニュ種ポマティアを、フランスの森を再現した環境で養殖している。新鮮なうちに調理・加工したエスカルゴを、全国のホテルやレストランへ提供している

また、エスカルゴ養殖のほか、見学ツアー、エスカルゴ料理の提供、カタツムリに触れる体験プログラムなど、多様な活動を展開している。

 

参考記事

WholeSnail LinkedIn

‘Expressive with their eye stalks’: The art of raising happy snails at Singapore’s first such commercial farm

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:WholeSnail

 

関連記事

  1. Pairwiseがゲノム編集野菜を上市するためConscious…
  2. 堆肥化できるコーヒーボールを使うCoffeeB、20万世帯に導入…
  3. オランダの研究チーム、バナナの2大病害に抵抗性を持つ新品種「Ye…
  4. 【4/23】ポーランド企業Fresh Inset:ウェビナー開催…
  5. 個人から企業まで|貼るだけで果物の鮮度を保持するシールを開発した…
  6. Apeel Sciencesが約31億円を資金調達、小規模農家の…
  7. マイクロ流体チップによる農業用栄養分析デバイスを開発したNord…
  8. 果物の鮮度保持シールStixFRESHを開発する米Ryp Lab…

おすすめ記事

フードロス削減×栄養インスタント食品、イスラエル企業Aninaが日本市場を狙う

フードテック企業Anina Culinary Artは、手軽なだけでなく、健康的…

BioJapan2025で細胞性食肉の実物が複数登場—国内企業の実用化に向けた歩み【現地レポート】

Foovo(佐藤あゆみ)撮影10月8日-10日にパシフィコ横浜で開催された「BioJapan 2…

カカオフリーチョコを開発する英Win-Win、シリーズAで約6億円を調達──ベーカリー原料大手のMartin Braunと提携、欧州展開を加速へ

出典:Martin Braun-Gruppe米やイナゴマメを原料にカカオフリーの代替チョコレート…

BioBetterはタバコ植物を活用して培養肉用の成長因子を開発、培養肉のコスト削減に挑む

イスラエルのバイオテクノロジー企業BioBetterは、植物のタバコを活用し、培…

The Every Company、アニマルフリーな卵白タンパク質を使ったスムージーを発売

The Every Companyのアニマルフリーな卵白タンパク質粉末を使ったス…

チョコレート大手のマース、精密発酵由来の乳タンパク質を使ったチョコレート製品を発売

米チョコレート大手のマースは16日、精密発酵で開発されたアニマルフリーな乳タンパ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/14 16:06時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/15 02:33時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/15 06:14時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/14 22:06時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(10/15 14:06時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(10/15 01:25時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP