代替プロテイン

英当局、培養肉の規制サンドボックスプログラムを始動-安全性とイノベーションの両立へ

2025年3月22日更新:当初掲載していた記事後半のスライドで、培養肉が実際に提供された地域に”香港”が抜けておりましたので追記しました。

 

英国食品基準庁(FSA)は今月10日、培養肉など細胞性食品の安全性を確保しつつ、イノベーションを促進するための、2年間の規制プログラムを開始した

このプログラムはイギリス政府のサンドボックス基金の支援を受けており、安全性とイノベーションのバランスを取りながら、細胞性食品に関する規制を明確にすることを目指している。

Hoxton FarmsBlueNaluMosa MeatGourmeyRoslin TechnologiesUncommon BioVital MeatVowの8社が同プログラムに参画することが発表された。

ロンドンのキックオフイベントに参加したMosa Meatのマーク・ポスト教授は、「政府資金による共同プログラムに参加する数少ない企業の1つになれたことを光栄に思います。これはまさに、2013年にここロンドンで世界初の培養肉バーガーを発表したときに思い描いていた官民パートナーシップです」と述べている

イギリス当局、8社と共に培養肉の規制プログラムを始動

出典:FSA

今後2年間にわたり、科学者・規制専門家チームは、アカデミア、培養肉企業、業界団体と協力し、細胞性食品の製造方法や科学的エビデンスを収集する。これらの科学的エビデンスは、細胞性食品をどのように規制するか、検討するために活用される

出典:FSA

FSAはまた、科学的エビデンスをもとに、細胞性食品の申請をより効率的に評価するほか、企業への明確なガイダンスを提供し、細胞性食品が市場に出る前に解決すべき質問に回答するとしている。

FSAは今後2年間で、2つの細胞性食品について、安全性評価を完了することを約束している。

FSAの最高技術アドバイザーであるRobin May教授は、「安全なイノベーション」がこのプログラムの核心だと強調し、「消費者の安全を優先し、細胞性食品など新規食品の安全性を確保することで、革新的な分野の成長を支援することができます」と述べている

「黎明期の業界に必要なステップ」

培養肉の申請・承認状況 Foovo調査により作成(2025年3月22日時点)

今回の規制サンドボックスプログラムには、欧州企業6社オーストラリア企業1社(Vow)アメリカ企業1社(BlueNalu)が参画する。

昨年、EU、イギリスを含む5市場で申請を完了した培養フォアグラを開発するGourmeyは、このプログラムについて、当局による規制策定と製品の安全性確保に役立つものだと評価している

昨年シンガポールで試食会を開催したフランスのVital Meatは、「このプログラムに参加することは責任を伴うものです。他の企業がイノベーションを進め、規制プロセスをより迅速に進められるよう、機密性の高いインサイトも含めた知見を共有していきます」述べ、黎明期にあるこの業界を形作るために必要なステップだとコメントしている

今月27日に東京で開催されるCMS Japanに登壇予定のHoxton Farmsは、「これは当社にとって、培養脂肪の市場投入に一歩近づくことを意味します」と評価している

Foovoの調査では、イギリスで培養肉申請を行った企業ではアレフ・ファームズVital MeatGourmeyIvy Farmが確認されている。

最近の報告では、培養肉企業への投資は、2021年にピークに達した後、2023年に激減し、2024年も低調を維持したものの、安定化の兆しを見せているという

先日には、米Mission Barnsが世界で初めて培養脂肪についてFDAの安全性審査をクリアした。今回のイギリス当局による規制サンドボックスプログラムの始動も、業界にとって重要な前進となり、FSAが今後2年間で安全性評価を完了するとしている2製品の動向に注目が集まる。

 

参考記事

FSA launches pioneering regulatory programme for cell-cultivated products

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Mosa Meat

 

関連記事

  1. タイソンの植物肉ブランドRaised & Rooted…
  2. ジャガイモで卵白タンパク質を開発するPoLoPoが約2.3億円を…
  3. オランダのNoPalm Ingredients、酵母由来油脂の工…
  4. ひよこ豆由来のタンパク質を開発するInnovoProが約3億円を…
  5. 韓国企業Zikooinは廃棄される穀物を使って代替肉Unlime…
  6. 培養魚のB2B製造ソリューションの提供を目指すUmami Bio…
  7. 米Wild Earth、2023年に細胞培養によるペットフード製…
  8. 米Mozza Foods、大豆によるカゼインミセル開発で味・品質…

おすすめ記事

イスラエルのImagindairy、アニマルフリーな精密発酵乳タンパク質に対し米国FDAのGRAS認証を取得

イスラエルの精密発酵企業Imagindairyが、精密発酵による乳タンパク質につ…

高級培養肉Orbillion Bioが日本初登壇|Food-Tech Webinar Fall 2021参加レポート

株式会社アドライト社が代替タンパク質の可能性にフォーカスしたセミナー「Food-…

オルガノイドファーム、2027年に細胞性食品のパイロット実証施設の開設へ|第7回細胞農業会議レポート

代表の山木多恵子氏2025年9月19日写真追加日揮ホールディングスの100%子会社として…

食肉生産者を培養肉生産者に変えるドイツ企業Innocent Meatの「Clean meat as a service」

出典:Innocent Meat培養肉はクリーンミート、細胞培養肉とも言われ、動物を殺さずに食肉…

ISOが植物由来食品の表示規格「ISO 8700:2025」を発表—精密発酵・植物分子農業も含む広義の植物由来をどう見るか

出典:Impact FoodISO(国際標準化機構)は先月、植物由来食品に関する表示規格「ISO…

そら豆を原料に代替卵を開発するPerfeggtが約4.9億円を調達

ドイツの代替卵スタートアップ企業Perfeggtは先月、プレシードラウンドの調達…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(01/31 16:37時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(02/01 03:26時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(01/31 06:58時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(01/31 22:44時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(01/31 14:41時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(02/01 02:05時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP