代替プロテイン

SimpliiGoodのスピルリナ由来のビーガンスモークサーモン、6ヶ月以内に小売店に導入へ

2025年4月30日更新

イスラエルの微細藻類スタートアップSimpliigoodは22日、スピルリナを原料とするビーガンスモークサーモンの商用生産へ移行したと発表した

商用生産への移行により、原料「Simplii Texture」の年間生産能力は数百トン規模に達し、スモークサーモンの需要増に対応できる見込みだ。​

Simplii Texture」はEFSA欧州食品安全機関により新規食品に該当しないと判断された。現在、ドイツ、イタリア、スイス、オランダ、イスラエルの食品メーカー数社とパイロット試験を実施しており、最初の製品はプライベートブランド製品として、6か月以内に小売店に並ぶ予定だという。

プレスリリースでは販売地域は明記されていないが、Simpliigoodのリンクトイン投稿では、欧州での初期展開を示唆している。イスラエル・イノベーション庁(Israel Innovation Authority)から400万ドル(約5.6億円)の助成金を獲得し、上市に向けて前進した。

タンパク質含有量70%に進化 ─ スピルリナ含有率も調整可能

出典:SimpliiGood

SimpliiGoodは2022年4月、スピルリナを使用したクリーンラベルのビーガンスモークサーモンを発表。主成分としてスピルリナだけを使用し、外見、色、食感、風味を再現したもので、当時の製品のタンパク質含有量は40%

今回発表されたビーガンスモーク製品のタンパク質含有量は最大70%。スピルリナの含有量は要望に応じて、製品全体の40%から100%に調整できるという。

昨年、2025年にビーガンサーモンを市場投入すると発表したとおり、上市のカウントダウンが始まった。

SimpliiGoodはアメリカで2024年夏、CPG製品としてスピルリナ製品を発売した。スピルリナを使用した代替スモークサーモンでは現在、FDA認可のプロセスを進めており、グローバル展開を視野にいれている。​

3Dプリンター・押出成形不要なシンプルな製造プロセス

出典:SimpliiGood

製造は二段階の独自技術で構成される。

第一に、脱色プロセスでスピルリナから緑色のクロロフィル成分を分離する。除去されるクロロフィルには抗酸化物質や微量栄養素が豊富に含まれているため、サプリメントや天然着色料に活用する。

代替スモークサーモンの本物らしい色合いは、スピルリナに含まれる残りのカロテノイドによるものとなる。

第二に、残りの原料を高含水のまま成形するテクスチャリング技術で、このプロセスにより、滑らかでありながら繊維質の構造を持つ代替品が得られ、スモークサーモン特有の自然な光沢感を再現している。

Simpliigoodの親会社AlgaeCore TechnologiesでCTO兼共同創業者を務めるBaruch Dach氏は、製造工程では3Dプリンターや押出成形機などの設備は不要だとコメント。

「新鮮な未乾燥スピルリナと少量の天然原料を組み合わせ、パスタローラーのような機械に通すことで、スピルリナ由来のスモークサーモンをシンプルな工程で製造しています」と述べている

AlgaeCore の施設は今後数ヵ月以内に、「Simplii Texture」を数十トン製造する準備が整っているという。「Simplii Texture」1 kgから、3〜4 kgの代替スモークサーモンを加工できる。

SimpliiGoodはスモークサーモンにとどまらず、これまでにスピルリナを活用した代替チキンナゲットソーセージの試作も進めており、詳細は過去記事で紹介している。

微細藻類活用が広がる代替食品市場

出典:Sophie’s BioNutrients

微細藻類を活用した食品開発は、SimpliiGoodのスモークサーモンのほかにも、ユニークな事例が確認されている。

フランスのAlgama Foodsは、微細藻類由来の代替卵原料Tamalga」を開発し、ケーキ、ワッフル、焼き菓子などでの商用化を進めている。今月にはPATICEOが同成分を使用した植物性マドレーヌ発売するなど、市場投入が進んでいる。

4月に約37億円を調達したイスラエルのBrevelは、糖と光を組み合わせた発酵技術により、白色でニュートラルな風味の微細藻類タンパク質を開発している。今年2月には、イスラエルの大手飲料メーカーCBC Groupと協力し、微細藻類由来のタンパク質・油脂を含む機能性ドリンク代替乳製品を開発すると発表した

2023年にはSophie’s BioNutrientsがオランダの研究機関との協力により、クロレラ由来の乳白色アイスクリームを開発した。

 

※本記事は、プレスリリースおよびFoovo独自の追加調査に基づいて執筆しています。出典が必要な箇所には、すべて適切なリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Simpliigood

 

関連記事

  1. 大手乳業メーカーLeprino FoodsとオランダのFoodi…
  2. EUが出資するFEASTSが発足:欧州における培養肉・培養シーフ…
  3. 他社の発酵製品の市場投入を早めるSolar Biotechが約2…
  4. オレオゲルで代替脂肪を開発するPerfat Technologi…
  5. 米EdiMembre、ホールカット細胞性食品の開発に向け、可食中…
  6. Shiok Meatsが細胞由来の培養ロブスター試作品を発表、2…
  7. ソーラーフーズが約13億円を調達、来年前半に商用工場Factor…
  8. Farmless、二酸化炭素によるタンパク質生産に向けて約1.8…

おすすめ記事

東大竹内研、脂肪を含む5.5cm×4cm×1.5cmの培養肉作製に成功|さらに中空糸使用のトップダウン戦略でスケールアップに挑戦【セミナーレポ】

培養ステーキ肉を開発する東京大学竹内昌治研究室は今年8月、5.5cm×4cm×1…

植物を活用してアニマルフリーな乳製品を開発するMirukuが約3.2億円を調達

植物を使って乳タンパクを開発するニュージーランドのMirukuは、シードラウンド…

代替卵ブランド「JUST Egg」が欧州上陸|ドイツのスーパー約280店舗に導入

出典:JUST Egg植物性の代替卵を開発する米イート・ジャストが欧州市場での小売販売を実現した…

全卵タイプの植物性代替卵を開発するYo Egg、アメリカで小売進出を実現

植物性の全卵製品を開発するイスラエル企業Yo Eggが今年3月、アメリカで小売進…

Mycorenaのパイロット工場、拡張により欧州最大のマイコプロテイン工場に

マイコプロテインを使った代替肉を開発するスウェーデン企業Mycorenaは、スウ…

ドイツのFormo、麹菌由来のビーガンチーズを発売|約86億円の調達にも成功

ドイツのフードテック企業Formoが麹菌由来のビーガンチーズを発売した。…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP