代替プロテイン

米Friends & Family Pet Food、シンガポールで培養ペットフードの認可を取得

Joshua Errett氏 出典:Friends & Family Pet Food

Friends & Family Pet Foodは2025年7月28日、シンガポールの動物・獣医サービス(Animal Veterinary Service:AVS)より、培養ペットフードの販売認可を取得したと発表した

シンガポールでの培養ペットフード認可はこれが初めて。AVSは6月に同製品を認可しており、秋に製造開始が予定されている。

世界では英Meatlyが2024年7月にイギリスで培養ペットフードの認可を取得し、今年2月に培養鶏肉と植物成分をブレンドした「Chick Bites」の初販売を実現した

シンガポールでの培養ペットフードの認可は、Meatlyに続く事例であり、特にシンガポールが、ヒト向けに続いてペット向けの培養肉も認めた世界で最初の国となった点で意義深い。

Friends & Family Pet Foodはカリフォルニア州に2024年に設立されたスタートアップ企業。創業者兼CEO(最高経営責任者)のJoshua Errett氏は、初期から知られる培養ペットフード企業Because Animals(現在のBioCraft Pet Nutrition)を創業後、ペットフードブランドのNoochies!を立ち上げた経歴を有する

同社は、猫や犬が摂取するタンパク質そのものを向上させることを目指しており、培養肉でこそ可能だと考えている

公式サイトによると、パートナー企業と培養肉や培養魚を共同開発している。昨年8月にはシンガポールのUMAMI Bioworksとの提携を発表した

プレスリリースによれば、Friends & Family Pet Foodは現時点で、シンガポールで8種類の製品販売を予定している。

最初の製品は、猫と犬向けのフリーズドライ・トリーツであり、主原料にはヒト用グレードの培養鶏肉を使用。本製品には、動物の腸の健康や免疫に良いとされるプレバイオティクス繊維も配合されている。Green queenの報道によると、製品中に占める培養肉は約65~70%と高配合になる予定だという。

続く第2の製品は、ビタミンB・K・Aや亜鉛などの栄養素を強化した長寿サポート製品となる。これらの製品はシンガポールで製造され、すでにトン単位の培養肉の在庫を確保しているという。アジアへの展開に続き、アメリカ市場も見据えている。

出典:Friends & Family Pet Food

シンガポールにおける今回の培養ペットフード認可は、他の培養ペットフード企業にとっても追い風となる。

韓国の培養ペットフード企業Everything Butは、2025年に韓国での上市を目指していると昨年Foovoに述べた。韓国の培養肉企業Seawith出身のYoonchan Hwang氏が立ち上げた企業で、培養ひき肉を高級市場にする唯一の方法はペットフードだと同氏はみている。

また、オーストリアのBioCraft Pet Nutritionは今年4月、年末までに培養原料の最初の商用生産を開始する予定だと発表した。同社は欧州での培養ペットフード販売に向けて、EU Feed Material Register(欧州飼料原料登録簿)への通知を完了するなど、販売に向けた体制を整えている。ルーマニアのペットフード企業と培養マウスを99%使用したキャットフード製品の販売を目指している。

これらの動向から、2025年はイギリスでの初販売に続き、シンガポール、韓国、欧州でも新たな培養ペットフード製品の市場投入が実現する可能性が高い。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Friends & Family Pet Food

 

関連記事

  1. 中国初の菌糸体タンパク質スタートアップ70/30、今年後半に全国…
  2. タイソンの植物肉ブランドRaised & Rooted…
  3. 米パーフェクトデイ、インドで精密発酵タンパク質の認可を取得、イン…
  4. チーズ大手のベル、精密発酵企業Standing Ovationと…
  5. アレフ・ファームズが培養ステーキ肉「Petit Steak」を発…
  6. 牛を使わずに乳タンパク質を開発するイスラエルのRemilkが約1…
  7. 欧州における精密発酵企業の規制ステータス最新状況(2024年10…
  8. 再生医療学会・培養肉シンポジウムレポート|再生医療研究者が「培養…

おすすめ記事

食品ロスに取り組むFlashfoodが約14.7億円を調達、アメリカ食料品店との連携を強化

食品ロスに取り組むアプリを提供しているカナダ企業FlashfoodがシリーズAで…

代替エビを開発するNew Wave Foodsが約18億円を調達、3月末までに飲食店で提供予定

植物ベースの代替魚開発に取り組むNew Wave Foodsが、シリーズAラウン…

精密発酵でアロマを開発するEvodiaBioが約8.6億円を調達

デンマークのスタートアップ企業EvodiaBioは、食品・飲料業界に向けた持続可…

キッチンOSのサイドシェフ|買出しレシピサービスでウォルマートと連携

キッチンOSの主力スタートアップサイドシェフ(SideChef)とウォルマートと…

ネスレがヴィーガンキットカットの販売を欧州で開始!

ネスレが植物ベースのヴィーガンキットカットを発売した。ヴィーガンキットカ…

鮮度延長コンテナを開発した米RipeLocker、エクアドル進出に向けて物流業者AgroIdeasと提携

農産物や花の鮮度期間を延長する独自コンテナを開発した米RipeLockerは先月…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/04 16:03時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/04 02:27時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/04 06:05時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/04 22:03時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(10/04 14:01時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(10/04 01:18時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP