代替プロテイン

イート・ジャストの植物性代替卵「Just Egg」、イギリスでまもなく販売開始

出典:Eat Just

イート・ジャストの代替卵Just Eggが、数週間以内にイギリスのオンラインスーパーOcadoで発売される。

The GrocerおよびGreen Queenが報じた。

今回の欧州展開は、同社が緑豆のみから作られた新製品・代替プロテイン粉末「Just One」を発表・展開した動きに続くものである。「Just One」は米スーパーマーケットWhole Foods Marketで販売されている

今年4月、Vegan Food Group欧州市場におけるJust Eggの独占的な製造権・販売権獲得した。Just Eggは、緑豆を主原料とする液状の代替卵で、普通の卵と同じようにスクランブルエッグ、キッシュクレープパンケーキなど幅広い料理に使用できる。

出典:Eat Just

植物由来原料を用いて工場で製造されるため、鳥インフルエンザによる供給リスクや動物愛護上の課題を回避できるのも特徴だ。

Just Eggはこれまでにアメリカ、アフリカ中国シンガポール(同国のグランド・ハイアットホテルで2018年に導入)、カナダ香港韓国に導入されており、今回ついに欧州市場進出が現実のものとなる。

欧州食品安全機関(EFSA)は2021年、JUST Eggの緑豆タンパク質は新規食品要件において安全だと認め、翌2022年4月には欧州委員会が承認を発表した。イギリスについては、AgFunderの報道によれば、2024年下旬から2025年初頭にかけて「ゴーサイン」を得たとしている。

欧州での承認から実際の販売体制確立まで3年以上を要した背景の詳細は公表されていないが、イギリスに続き、今後他の欧州市場でも販売が予想される。欧州市場向け製品はドイツにあるVegan Food Groupの工場で製造される。

5月に発表された新製品「Just One」 出典:Eat Just

イート・ジャストはこれまでに累計5億個超の鶏卵に相当する販売実績持ち、2022年時点では、アメリカの植物卵市場で約99%のシェアを占めている。 2025年1月の売上は前年同月比5倍に成長し、購入者の56%がリピーター、さらに91%はビーガンでもベジタリアンでもない報告されている

一方、欧州でJust Eggの最初の入り口となるイギリスでは、Crackdというスタートアップが、エンドウ豆を主原料とした液状代替卵をイギリス全土で展開しており、スクランブルエッグやベーキング用途に対応している。

出典:Crackd (2025年8月9日時点)

出典:Crackd (2025年8月9日時点)

Crackdは今年、アメリカの小売進出も実現し、2025年8月時点でテキサス州ルイジアナ州イリノイ州を中心とする食料品店で取り扱われている(上記写真)。アメリカ市場向け製品はアメリカで製造されている

イギリスで確固たるブランドを築いてきたCrackdに対し、他地域で強いブランド力を持つJust Eggがイギリス市場でどこまで存在感を高められるのか。両者がシェアを奪い合うのではなく、代替卵市場全体の拡大につながる展開となることを期待しつつ、今後の動向を見守りたい。

 

※本記事は、海外メディアの第一報()をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Eat Just

 

関連記事

  1. 米Checkerspot、微細藻類を活用したヒト乳脂肪類似体を開…
  2. 細胞農業のスケールアップを支援するスウェーデンのRe:meat、…
  3. 培養肉の進展と課題-タフツ大学デイビッド・カプラン教授が都内で講…
  4. 米Meati Foodsが菌糸体由来の代替肉を製造する生産工場「…
  5. Yali Bioが精密発酵ココアバターの試作品を発表|精密発酵コ…
  6. ビヨンドミートとペプシコがジョイントベンチャーThe PLANe…
  7. オーストラリア政府がChange Foodsに約1.2億円の助成…
  8. GRAS自己認証に終止符か|米国FDA、通知義務化の規制案をアジ…

おすすめ記事

ドイツのMeatosys、農家の培養肉生産を可能にするモジュール型コンテナを開発

培養肉を広く供給するには、工業規模の工場が必要になるが、ドイツでは農場で培養肉生…

味の素、ソレイン使用のコーヒー飲料をシンガポールで限定販売|Preferの代替コーヒー原料を採用

出典:Solar Foods味の素は今月27日、フィンランドのソーラーフーズが開発した代替タンパ…

米BIOMILQ、創業者の元夫との知財紛争で破産申請

Leila Strickland博士(出典:BIOMILQ)母乳に含まれる生理活性物質を開発する…

シンガポール・イスラーム評議会、特定条件下で培養肉をハラールと認定

シンガポールで唯一、ハラール認証を発行する権限を有するシンガポール・イスラーム評…

カナダのThe Better ButchersとGenuine Taste、菌糸体と培養脂肪を使用したハイブリッド肉の共同開発へ

代替肉を開発するカナダ企業The Better Butchersは、培養脂肪を使…

米Thrilling Foods、層状の脂肪を含んだビーガンベーコンで特許を取得

アメリカ、ポートランドの代替タンパク質企業Thrilling Foodsは、植物…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(12/30 16:29時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(12/31 03:09時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(12/31 06:46時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(12/30 22:28時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(12/31 14:28時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(12/31 01:52時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP