Foovo Deep

日本から世界へ、酵母の育種×発酵技術で挑む|奈良先端大・高木博史特任教授の「伝統・バイオマス・精密発酵」によるフードイノベーション戦略

出典:高木博史特任教授

2025年9月9日更新

奈良県に、発酵(伝統・バイオマス・精密発酵)をキーテクノロジーに酵母の機能を活用したスタートアップ立ち上げに挑もうとする人物がいる。

奈良先端科学技術大学院大学の高木博史特任教授だ。

味の素から福井県立大、奈良先端大に至るまで、長年、応用微生物学研究に従事し(2022年春の紫綬褒章を受章)、多くの国際学会で研究成果を発表してきた高木特任教授には、解せない思いがあった。

日本が培ってきた微生物の分離・育種研究や発酵・醸造技術は世界で大きな強みになる。しかしながら、この分野で存在感を示す日本のプレーヤーが海外にほとんど見当たらない。アメリカでは日本酒の関連会社が増えており、日本の発酵・醸造技術をリスペクトする雰囲気が社会で醸成されつつある。

それならばなおさら、日本人がアピールすべきではないのか―。

高木特任教授は産業界からアカデミアまでの豊富なキャリアパスと自身が構築した様々なネットワークを活かし、シニア起業に挑む決意を固めた。定年退職から2年半が過ぎた現在、海外のフードテックが注目する発酵(伝統・バイオマス・精密発酵)をベースとするスタートアップ立ち上げを計画している。

「日本は微生物の分離・育種と発酵・醸造技術に世界的な強みがあります。伝統発酵で培った突然変異育種の技術をバイオマス発酵や精密発酵へと拡張し、この分野における日本の存在感を世界に示したいのです」(高木特任教授)

GMO・非GMOの二刀流戦略

高木博史特任教授(高木特任教授提供)

今年6月、農研機構の生研支援センター(BRAIN)の「スタートアップ総合支援プログラム(SBIR支援)」に、高木特任教授のプロジェクトがフェーズ1で採択された

採択された中で唯一のバイオマス・精密発酵プロジェクトだった。期間は1年間で、助成金額は最大1,000万円

テーマは、トルラ酵母を用いたバイオマス発酵による代替タンパク質の開発、そして精密発酵に必要な酵母の新しいゲノム編集技術の確立だ。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

本記事はFoovoによるインタビュー記事です。

インタビュー実施日:2025年8月21日

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:高木博史特任教授

 

関連記事

  1. 培養マグロを開発するWanda Fishが約10億円を調達
  2. Mycorenaのパイロット工場、拡張により欧州最大のマイコプロ…
  3. 東大竹内研、脂肪を含む5.5cm×4cm×1.5cmの培養肉作製…
  4. SavorEatがパーソナライズ化された3Dプリント植物肉バーガ…
  5. Forsea Foodsが初の培養うなぎ試食会をイスラエルで開催…
  6. 代替ハチミツの米MeliBioが約6.7億円を調達、今春より生産…
  7. ドイツ大手小売業者REWE、同社初のビーガン専門スーパーを開設
  8. VowとORF Genetics、アイスランドで欧州初の培養肉試…

おすすめ記事

米The EVERY Companyが米国スーパーマーケットで展開を開始、約84億円を調達|精密発酵卵白で初の大規模な小売展開

出典:The Every Company精密発酵で卵白タンパク質を開発する米The EVERY …

Remilk、イスラエルで精密発酵タンパク質の認可取得が間近

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は19日、イスラエルのフードテック企業が牛…

米Voyage Foods、豆不使用コーヒーをフードサービス・CPGブランド向けに販売開始

米Voyage Foodsが今月16日、フードサービス・食品業界の商業パートナー…

Wada FoodTechが約7.5億円を調達|9秒で温かい弁当を提供する自販機で欧州進出へ

「温かい弁当は、いつでもどこでも買える」が当たり前になるかもしれない。温…

コロラド州の植物肉バーガー企業が米MeliBioの代替ハチミツをメニューに採用

アメリカ、コロラド州の主要な植物肉バーガーチェーンMeta Burgerは先月、…

マクドナルドがアメリカでマックプラントの試験販売を終了

マクドナルドは先月、アメリカで植物性バーガー・マックプラントの試験販売を終了した…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(12/18 16:25時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(12/19 03:05時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(12/19 06:40時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(12/18 22:25時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(12/18 14:24時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(12/19 01:48時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP