代替プロテイン

米イート・ジャスト、植物性チキン「Just Meat」を全米のウォルマートで展開|代替卵・細胞性鶏肉に続く第3領域に本格参入

出典:Eat Just

細胞性鶏肉「GOOD Meat」や植物性卵「JUST Egg」を展開する米Eat Just(イート・ジャスト)は今月20日、全米およびプエルトリコの3,000以上のウォルマート店舗で植物性チキン「Just Meat」を発売することを発表した

ウォルマートのほか、Sprouts、H-E-B、Giant、Hannaford、Albertsons United、Topsなどのスーパーマーケットでも取り扱いが始まっており、「この数年で最大のプラントベース食品の発売」だと同社は述べている

全国展開に先立ち、同社は今年9月、テキサス州のスーパーマーケットH-E-Bの240店舗に「Just Meat」を導入した

「Just Meat」は大豆、小麦、ヒマワリ油、ココナッツオイルなどを原料とし、オリジナル、ごま生姜、バッファロー、チリライムの4フレーバーを展開している。

FOOD & WINEの報道によると、独立調査会社Nichols Researchが2024年春に実施した官能評価(参加者20名強)では、「Just Meat」は大手冷凍チキンストリップ製品と比較して、味・食感・外観・総合評価で「より多くの」参加者に支持されたとされる。ただし、評価の詳細は公表されていない。

代替卵では世界的な販路を拡大

出典:Eat Just

2011年設立のイート・ジャストは、世界的な代替卵ブランドの「JUST Egg」で広く知られる。

「JUST Egg」はこれまでにアメリカ、アフリカ中国シンガポール(グランド・ハイアットホテルで2018年に導入)、カナダ香港韓国に導入された実績があり、8月には英オンラインスーパーOcadoへの導入計画も発表された

Ocadoのサイトではまだ製品掲載が確認できず2025年11月25日時点)、欧州展開はこれからと見られるが、同社は国際展開を着実に拡大している。

同社はプラントベースと並行し、世界で初めて細胞性鶏肉(培養鶏肉)の販売を実現した企業でもある。2020年12月にシンガポールで販売認可を取得し、これまでにデリバリーレストランで提供してきた。同国の精肉店Huber’s Butcheryでは現在も「GOOD Meat 3」が冷凍コーナーで販売されている(2025年11月25日にHuber’s Butcheryにメールで直接確認)。

細胞性鶏肉「GOOD Meat 3」 Foovo(佐藤)撮影 2024年7月下旬

細胞性鶏肉「GOOD Meat 3」 Foovo(佐藤)撮影 2024年7月下旬

「GOOD Meat 3」は全体の3%に細胞性鶏肉を含み、植物成分として小麦タンパク質、大豆タンパク質などを使用している。

今後は「Just Meat」の開発で得た「大豆と小麦を用いて柔らかくジューシーな肉のような繊維を作りだす独自技術」を「GOOD Meatシリーズ」にも応用し、新たな培養肉製品が生まれる可能性もあるだろう。

ビヨンドは拡大、TiNDLEが撤退を計画する米国市場

出典:Eat Just

では、この新製品はどのような市場環境に投入されるのか。

先月には代替肉大手のビヨンドミートが、2000店舗を超えるウォルマートにバーガーやステーキ、チキンなどの代替製品を導入する計画を発表したインポッシブル・フーズも2024年5月、植物性チキンをホールフーズで発売している。

最新データによると、ビヨンドミートはアメリカの植物性チキン市場の約25-28%のシェアを占める。インポッシブル・フーズタイソンフーズはそれぞれ約12-14%約15-18%のシェアを持つとされ、アメリカでの植物性チキン市場の競争が一段と激しくなっていることがうかがえる。

一方、植物性代替肉を展開するTiNDLEは今月、アメリカ事業の売却を計画していることを発表した。同社は今後、欧州市場でのプライベートブランド(PB)供給に軸足を移すうB2Bモデルへ転換し、「プラントベース需要が高まり続けている」欧州市場に注力することを計画している

こうしたなか、2022年時点でアメリカの植物卵市場で約99%のシェアを占め、プラントベースの代替卵では代表的なポジションを確立した「JUST Egg」に続き、「Just Meat」がウォルマートをはじめとする主要スーパーマーケットでリピートを獲得し、棚スペースを維持できるかが注目される。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Eat Just

 

関連記事

  1. Nature’s Fyndの微生物発酵によるタンパク質「Fy」が…
  2. モサミート、牛脂肪細胞を培養する無血清培地に関する論文を発表
  3. 菌糸体由来チーズを開発するベルギー企業Bolder Foods、…
  4. セイバーイートが植物肉用3Dプリンターをアメリカの大学へ初導入
  5. スペインNovameatが3Dプリンター製培養肉の試作品を発表
  6. 英ReNewFood、精密発酵で新たなヘムタンパク質を開発 – …
  7. ほうれん草の葉を使った培養肉用の新しい食用足場|ボストンカレッジ…
  8. 日本のDAIZエンジニアリング、新大豆タンパク質を2025年に欧…

おすすめ記事

赤い微細藻類で代替肉を「血の滴る肉」に変えるイスラエル企業Yemoja

微細藻類を活用した成分開発に取り組むイスラエル企業Yemojaは、化粧品用の成分…

Umami BioworksとCell AgriTech、東南アジア最大の培養肉工場計画を発表

シンガポールの培養シーフード企業Umami Bioworksとそのパートナーであ…

Chipotleがトルティーヤチップス製造ロボット「Chippy」を発表

米国、カナダ、英国、フランス、ドイツで2,950を超えるレストランを経営している…

高級培養肉を開発するOrbillion Bioが約5億4000万円を調達

培養肉を開発するスタートアップ企業Orbillion Bioが、シードラウンドで…

スイス初の培養肉企業Mirai Foodsが初の資金調達、培養肉の市販化を目指す

スイスの培養肉企業Mirai Foodsが初となるシードラウンドで210万スイス…

日立造船とNUProtein、成長因子生産に必要な原料の自動製造装置を開発

日立造船はスタートアップ企業NUProteinと共同で、培養肉製造に必要な成長因…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovoセミナー開催のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP