出典:PARIMA(Gourmey)
細胞性フォアグラを開発するフランスのGourmeyは今月、同国の細胞性食肉(培養肉)スタートアップVital Meatを買収し、PARIMAとして事業を統合した。この買収により、GourmeyのプラットフォームとVital Meatの細胞株技術が統合され、アヒルや鶏肉を対象とする細胞性食品企業が誕生した。
PARIMAはさらに、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)にアヒルの細胞性食品の申請を実施したことを発表した。
Gourmey、Vital Meatを買収し「PARIMA」へ統合

出典:PARIMA
細胞性フォアグラの開発で知られるGourmeyは昨年6月、第三者による技術経済性分析において、生産コストが1kgあたり7ユーロ(約1155円)と算出され、同社の細胞性食品プラットフォームが「拡張可能かつ経済的に成立しうる」と評価を受けたことを発表している。また、EUで最初に細胞性食品の承認申請を提出した企業でもあり、すでにシンガポール、スイス、イギリス、アメリカなど複数地域で申請を完了している。
一方のVital Meatは細胞性鶏肉を開発しており、シンガポール・イギリスで申請を完了。1年前にはシンガポールで同社初の試食会を開催し、シンプルなプロセスで迅速な市場投入を実現するため、ペースト状の原料としてまず上市を目指すとFoovoの取材に語っていた。
PARIMAのCEO(最高経営責任者)を務めるNicolas Morin-Forest氏はプレスリリースで、「2つのパイオニアチームを統合することで、効率的かつ持続可能な畜産への世界的な転換を主導するヨーロッパの力をさらに強化することになり、既存の手法を補完しながら、よりレジリエントなバリューチェーンを構築していきます」と述べている。
Vital Meatの買収により、PARIMAは同社の保有する2,000Lのバイオリアクター設備を取得する。買収後も「Gourmey」はPARIMAのブランドとして残され、料理・イノベーションの分野に特化した事業を展開し、流通チャネルの確立、著名シェフや高級食品の流通業者との協業を進めていく方針だ。
オーストラリア・NZ当局への申請完了
PARIMAが今月発表したFSANZへの申請(案件番号A1341)は、アヒル(Anas platyrhynchos domesticus)由来の細胞培養バイオマスをフォアグラやパテなどの製品原料として使用することを目的とするもの。申請は8月に受理され、最終承認は2026年8月末を目標に審査が進む。
オーストラリア・ニュージーランドでは、今年6月にオーストラリア企業Vowの細胞性ウズラが新規食品として正式に認可されており、PARIMAは海外企業として同地域で初めて正式な申請プロセスを開始した企業だとリンクトインで述べている。
Vowのケースでは申請から最終承認まで約2年半を要しており、PARIMAも同様の期間を要する可能性がある。現在、Vowはオーストラリア国内の12箇所(2025年10月27日時点)で細胞性ウズラを提供している。
最後に、現在の肉・魚・脂肪をめぐる細胞性食品の認可、申請状況を下記に図解した。
▼細胞性食品の認可・申請状況まとめ(Foovo調査)

細胞性食品の認可状況(2025年10月27日時点) Foovo調査により作成

細胞性食品の認可・申請状況(2025年10月27日時点) Foovo調査により作成
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:PARIMA(Gourmey)





















































