Foovo Deep

ダイバースファーム、細胞性鶏肉技術の海外B2Bへ|ネットモールド法で事業化を加速

ダイバースファームの細胞性鶏肉(Foovo佐藤撮影)

培養肉を開発する細胞性食品スタートアップのダイバースファームは、国内でガイドライン整備が進む中、早期の事業化に向けて製造技術の海外B2B展開を計画している。

同社は100%細胞で構成される細胞性鶏肉を開発しており、まずは制度が整備されているシンガポールやオーストラリアへの技術提供を目指している。

今月13-14日に東京で開催された「培養細胞の食品利用に係る国際会議 Japan Cell-Ag-Ready Dialogue 2025」で、共同創業者兼CEO(最高経営責任者)の大野次郎氏に、事業戦略について聞いた。

技術の核となる「ネットモールド法」

出典:ティシューバイネット

ダイバースファームは、人工皮膚などを開発する再生医療ベンチャー・ティシューバイネットを創業した大野氏と、大阪の懐石料理店「雲鶴(うんかく)」のオーナーシェフ島村雅晴氏により2020年に設立された。

ティシューバイネットが開発した「ネットモールド法」をコア技術として、細胞性鶏肉の開発を進めている。

ネットモールド法は、網を組み合わせた鋳型に細胞塊を流し込み、細胞塊が網に引っかかった状態で培養することで、細胞が増殖・結合し、大きな塊として形成される仕組みだ。最終的にくし状の鋳型を引き抜くことで、細胞100%で構成される培養肉が生成される。細胞同士をつなげる結合剤を必要としない点が特徴だ。

ダイバースファームの細胞性鶏肉 焼く前(左)と焼いた後(右) 左:Foovo撮影/右:大野次郎氏提供

現在は5cm×5cmのネットモールドを使用しており、会場では1mm厚に培養した細胞性鶏肉を4枚重ねた試作品が展示された(上記)。実際に触ると、柔らかくしなやかな弾力が感じられた。

日本市場を最重視しつつ、海外B2B展開を優先

大野次郎氏 Foovo(佐藤あゆみ)撮影

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

インタビュー実施時期:2025年11月13日

 

関連記事

アイキャッチ画像はFoovo(佐藤あゆみ)撮影

 

関連記事

  1. 乳業副産物を精密発酵カゼインに─Bel Goup×仏Standi…
  2. Calystaの単細胞タンパク質FeedKind、水産養殖への使…
  3. ビヨンドミート、今年半ばまでに中国事業を停止|コスト削減の一手
  4. 古細菌の力で二酸化炭素をタンパク質に変換|オーストリア企業Ark…
  5. 乳業大手フォンテラとDSMが精密発酵スタートアップ設立を発表
  6. 2020年の代替タンパク質投資額は31億ドルとGFIが報告、過去…
  7. 微生物発酵で脂肪を開発するNourish Ingredients…
  8. 韓国の代替肉企業Zikooinが約26億円を調達、植物肉工場を来…

おすすめ記事

味の素、おいしい減塩に向けた「電気調味料」技術を開発

味の素は今月、皮膚を通じた微弱な電気刺激で味覚をコントロールする「電気調味料」技…

3Dプリンターで次世代ステーキを作るRedefine Meatが約30億円を調達

イスラエルのRedefine MeatがシリーズAで2900万ドル(約30億円)…

Numilkが家庭用植物ミルクメーカーを発表、クラファンの累計支援額は目標の2倍以上に

感染が拡大する新型コロナウイルスの影響を受け、トッピングやカスタマイズが自由な次…

イスラエル企業SimpliiGood、スピルリナ由来のビーガンスモークサーモンを2025年第1半期に上市へ

スピルリナ由来の代替サーモンを開発するイスラエル企業SimpliiGoodは、2…

ShiruがAIプラットフォームで開発した最初の製品「OleoPro」を商用化

アメリカのバイオテック企業Shiruは今月、AIを活用した最初の食品原料の商用化…

培養魚を開発するBlueNaluが史上最大の約62億円を調達、パイロット工場の完成・年内にテスト販売へ

細胞を培養して水産物を開発するBlueNaluが6000万ドル(約62億円)を調…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(12/26 16:27時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(12/27 03:08時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(12/27 06:44時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(12/26 22:27時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(12/26 14:27時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(12/27 01:51時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP