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シンガポールが「30 by 30」目標を変更──2035年までに食物繊維20%・タンパク質30%を国内供給へ

出典:GOOD Meat

培養肉などの細胞性食品や精密発酵で生産された乳タンパク質など、世界でも早期から食料生産のイノベーションを進めてきたシンガポールで、「30 by 30」戦略の変更が発表された

シンガポール政府は今月4日、食料安全保障の目標として掲げてきた「2030年までに30%」という目標から、「2035年までのカテゴリー別目標」へと移行する方針を発表した。

2019年に発表された「30 by 30」は、2030年までにシンガポールの栄養需要の30%を国内生産でまかなうという目標だった。

一方、新たな目標では国内消費のうち、2035年までに食物繊維(葉物野菜、果菜、もやし、キノコなど)20%、タンパク質(卵や魚介類など)30%を国内生産で供給するという、より具体的な栄養カテゴリに沿った内容になっている。

期限は2030年から2035年へと延び、指標も「栄養需要の30%」という一つの数字から、「食物繊維」「タンパク質」という二つの柱に整理された。

Foovo(佐藤あゆみ)撮影 2022年12月 シンガポールにて

グレース・フー持続可能性・環境大臣は、「30 by 30」が「小規模で未成熟な農業食品セクター」「限られた土地資源」「高い運営コスト」という環境の中で困難な目標だと認識していたと述べた。さらに、サプライチェーンの混乱に加え、エネルギーコスト・人件費のインフレ、資金調達環境の悪化が重なり、農場開発の遅れや撤退が発生したという。

代替タンパク質に関しても、高い生産コストと世界的な消費者受容の伸び悩みによりスケールに課題があると説明した。こうした逆風を踏まえ、2035年に向けて食物繊維とタンパク質の国内生産目標が新たに示された。また政府は、農業における初期費用と必要な資本を削減するため、共用設備・サービスを備えたマルチテナント型のパイロット施設の可能性を検討している

一方で、新目標の「タンパク質」には卵だけでなく魚介類も含まれる。SFAは同日、都市農業未来の食品食品の安全と並び、水産養殖も重点領域としてイノベーションを加速すると発表した

フー大臣は2019〜2024年にかけて水産分野の生産性が17%向上したとも述べており、既存の水産基盤の底上げが進んでいることがうかがえる。2035年の「タンパク質30%」は、細胞性食品・精密発酵などの新技術や、養殖を含む既存分野で達成を目指す目標と位置づけられる。

出典:Solar Foods

シンガポールでは植物性の代替食品が小売で目に入りやすく、細胞性食品精密発酵由来原料空気由来タンパク質(ソレイン)なども消費者向けの取り組みが進んできた。筆者が現地のスーパーを訪れた際も、プラントベース食品の棚が一定の存在感を示していた。ただし、店頭での品ぞろえが、そのまま国内生産の進捗を意味するとは限らず、輸入品も散見された。

Foovo(佐藤あゆみ)撮影 2024年4月 シンガポールにて

同日に発表されたシンガポール食品庁(SFA)の4200万シンガポールドル(約50億円)の支援では、未来の食品食品の安全に関する11のプロジェクトが採択された。精密発酵と持続可能性センター(PreFerS)、代替タンパク質用の精密発酵によるオメガ3生産、食品用途の微細藻類バイオマスのスケールアップなど、代替タンパク質に関するテーマが多く含まれている

フー大臣は、「輸入源の多様化」「備蓄」「国際的パートナーシップ」「国内生産力の強化」という4本柱を通じ、将来世代へ安定した食料供給を確保する考えを示した。新戦略のもとで、野菜・キノコ・卵・水産といった既存分野と並行して、新たな生産技術がどのように展開されていくか注目したい。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

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