代替プロテイン

ひよこ豆由来のタンパク質を開発するInnovoProが約3億円を追加調達、生産設備の拡充を目指す

 

このニュースのポイント

 

●InnovoProはひよこ豆由来のタンパク質を開発するスタートアップ

●同社のCP-Pro70はアイスクリーム、バーガー、ヨーグルト、マヨネーズなどに使える汎用性の高い植物性タンパク質粉末

●シリーズBラウンドで約18億5千万円を調達

●イスラエル、米国、欧州においてB2Bで展開

●スイス小売のミグロスと提携している

 

 

ひよこ豆を原料に植物性タンパク質を開発するイスラエルのInnovoProがシリーズBラウンドで300万ドル(約3億円)を追加調達した。シリーズBラウンドは4月に発表され、1500万ドル(約15億円)の資金調達を実施していた。

今回の追加調達で、シリーズBラウンドの調達額は計1800万ドル(約18億5000万円)となる。

ラウンドには、イスラエルを拠点とするベンチャーキャピタルJerusalem Venture Partners、Icos Capital、Rabo Food & Agri Innovation Fund(オランダ金融機関ラボバンクの投資部門)などが参加した。

ひよこ豆由来タンパク質を70%含むCP-Pro70

InnovoProはひよこ豆を原料に植物性タンパク質粉末CP-Pro70を開発するイスラエルのスタートアップ。タンパク質粉末CP-Pro70はB2Bで、企業向けに販売されている。

出典:InnovoPro

粉末はひよこ豆タンパク質を70%含み、GMOフリーで、グルテン、乳製品などのアレルギー物質を使用しないひよこ豆は高タンパク質、高食物繊維という特性があり、消化しやすく、ミネラルを豊富に含む。

ホールフーズは、2021年のフードトレンドの1つにひよこ豆をあげており、ラウンドを主導したRabo Food & Agri Innovation Fund のRichard O’Gorman も、植物性タンパク質の原料として次はひよこ豆が主役になると確信している。

ひよこ豆が含有するタンパク質は通常20%だが、InnovoProはタンパク質を70%含有する濃縮物の開発に成功している

同社によると、CP-Pro70はクセのない味で、アイスクリームからバーガー、マヨネーズまで冷たいもの・暖かいものなど汎用性の高い植物性タンパク質だという。

出典:InnovoPro

同社はこれまでに、CP-Pro70を使った商品をイスラエル、欧州、米国で販売している。現在は、有機タイプのCP-Pro 70とひよこ豆由来の片栗粉を開発中だ。

今年7月にはスイス全土に展開する小売ミグロス(Migros)がCP-Pro70を使用したヨーグルトの取り扱いを開始。年内に欧州の他の国にも展開したい考えだ。

InnovoPro創業者Ascher Shmulewitzの特許によると、CP-Pro70の製法は主に遠心分離、蒸発、pH処理、温度調整を利用して最終的に植物性タンパク質粉末を得る。製造工程では溶媒を一切使用していない

ひよこ豆からのタンパク質抽出プロセス 出典:WO2018/122607Al

InnovoProは調達した資金を、生産設備の拡充、事業展開、ジョイントベンチャーに使うとしている。

ひよこ豆を扱う他社スタートアップ

ひよこ豆に取り組むスタートアップはInnovoProだけではない。

同じくイスラエル発のChickPは、ひよこ豆由来のタンパク質を90%含む製品を開発している。InnovoProとの違いは、ChickPはヨーグルト、ミルクを主なターゲットにしていること。今後はこの2社の動向が特に気になるところだ。

米国ではNutriatiがPLTと提携、Artesaというブランドでひよこ豆由来のタンパク質粉末を展開している。

Little Chickpeaはひよこ豆ベースのアイスクリームを開発している。

ひよこ豆を使ってスナック菓子を作るBiena SnacksHippeasもある。

クランチベースによるとInnovoProは2013年に設立されたイスラエルのスタートアップ。これまでに2380万ドルを調達している。

 

参考記事

Chickpea Protein Startup InnovoPro Snags Another $3M For Series B Round

以鹰嘴豆为原料制作乳制品、面包和肉类食物,「InnovoPro」再获 300 万美元 B 轮融资

Israel: InnovoPro Snags $15M to Boost Chickpea Protein Production

 

関連記事

  1. 2023年精密発酵業界の全貌:認可企業の動向、2024年予測、C…
  2. 精密発酵ヘムで知られる米フードテック企業Motif FoodWo…
  3. Meatable、EU初の培養肉試食会をオランダで開催
  4. 菌糸体から代替肉を作るMeati Foodsが約29億円を資金調…
  5. フードロス削減×栄養インスタント食品、イスラエル企業Aninaが…
  6. 米Liberation Labs、Viviciと製造パートナーシ…
  7. ユニリーバ傘下の代替肉ブランドThe Vegetarian Bu…
  8. 連続細胞培養技術を開発する英CellulaREvolutionが…

おすすめ記事

中国初の培養肉・微生物タンパク質センターが北京に誕生-未来食品の産業クラスター構築へ

今月、中国、北京市豊台区に同国初となる培養肉・微生物発酵に特化した代替タンパク質…

国際イスラーム法学アカデミー、第26回総会で「培養肉は条件付きでハラール」と判断

2025年5月20日:更新カタール・ドーハで5月8日に閉幕した第26回国際イスラーム法学アカ…

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ(2025年1月-8月の動向を対象)

2025年以降の動きをまとめた精密発酵ミニレポートを発売します。本レポー…

漁業者と消費者をダイレクトにつなげるE-Fish、48時間以内に新鮮魚を宅配

アメリカで漁師と消費者をダイレクトにつなげる新しいサービスがある。獲れた…

フランスのピザロボットレストランPazziが操業停止

フランス、パリに設置されていたピザロボットレストランPazziが操業を停止した。…

培養魚のブルーナル、粗利率75%を達成するための技術開発を発表

培養魚を開発する米ブルーナル(BlueNalu)は、大量生産に向けた運用コスト・…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/13 16:14時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/14 02:51時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/14 06:23時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/13 22:14時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/13 14:15時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/14 01:33時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP