オンライン食料品デリバリーのFarmsteadがシリーズAラウンドで790万ドル(約8億円)を調達した。
Farmsteadはコロナウイルスが発生した2020年に急激に成長したデリバリースタートアップ。といっても、Instarcartのように、既存のスーパーを相手にするのではなく、ダークストア、ウェアハウスを活用している。
ダークストアとは、ネットスーパー専用の店舗で、買い物客は店内に入らず、店員がピックアップ、デリバリーするための店舗のことをいう。買い物客は受取用の駐車スペースで購入したものを受け取るか、自宅でデリバリーされるのを待つ。
Farmsteadの設立当初、ダークストア、ウェアハウスを活用するデリバリーには運営、経費の面で課題があった。課題解決のためにFarmsteadはAIを活用した独自のソフトを構築。
これにより、商品が欠品にならず、かつ、売れ残ることもない「ちょうどいい在庫量」を維持する仕組みを作り出した。
Farmsteadによると、ユーザーが商品を注文すればするほど、廃棄される食料品が少なくなっていく仕組みとなっている。データが蓄積されていくにつれて、ユーザーの注文と数量を正確に予測できるようになる。これにより在庫に無駄がなくなり、結果的に廃棄される食料品が減少していく。
ユーザー1人の注文に対し近隣エリアの注文をまとめて配達することで、送料を無料にしているのも特徴だ。
ユーザーがお気に入りの商品を注文すると、5%のディスカウントになることも、注文予測と在庫量確保に役立つ仕組みとなっている。半径50マイル(約80キロ)まで対応可能で、数千の注文を1日で受けている。
こうした施策が功を奏し、スーパーマーケットよりも同等または安い価格を実現。食品廃棄量を1/4~1/3に減らすことが可能となった。
小売業のオンライン化を支援するGroceryOS
Farmsteadは9月に、自社の食品ECサービス用に構築したソフトGrocery OSを小売店に販売するという大胆な施策に乗り出した。
オンラインへ移行したいと思いつつも、さまざまな障壁のためにオンラインへ移行できない実店舗経営者を支援するのが狙いだ。ソフトを購入するだけの小売店もあれば、ウェアハウスの運営をFarmsteadが支援する小売店もあるという。
Farmsteadが自社のGroceryOSをリリースする目的は、より多くのパイを獲得するためだけではない。小売業の巨人アマゾンの拡大に対抗するためでもある。
社名は公開されていないが、GroceryOSはすでに米国トップ3の食料品店に導入されている。他社とも交渉中で、その中には米国トップ10に入る食料品店もあるという。
今回の資金調達とあわせて、Farmsteadは3番目のターゲットエリアを発表した。
サンフランシスコ・ベイエリアからサービスを開始した同社は、10月に2番目のエリアとしてノースカロライナ州シャーロット、今月には3番目のエリアに同州ローリー、ダーラムを発表した。西海岸に続き、東海岸への相次ぐ展開となる。2021年初頭のサービス開始を目指すという。
今回の資金調達には、Aidenlair Capital、Gelt VC、Duro、Maple VC、Heron Rock、19 York、Red Dog Capitalなどが参加した。Farmsteadが調達した資金は総額1450万ドル(約15億円)となる。
今年9月の時点で、同社の収益は4ヵ月で6倍、スタッフは3倍となっており、約1500㎡のウェアハウスに移転している。
参考記事
Farmstead, a grocery startup with a focus on software, raises $7.9Mes-a/
Farmstead Raises $7.9M to Expand it Online Grocery Business
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アイキャッチ画像の出典:Farmstead