シンガポールのケンタッキー・フライド・チキン(KFC)が植物肉バーガーを期間限定で販売する。
提供されるバーガーはZero Chickenバーガー。シンガポールのKFC80店舗で期間限定で販売される。
Zero Chickenバーガーはマイコプロテインを主な原料とする。マイコプロテインとは、真菌由来の高繊維・低脂肪なタンパク質のこと。
Zero Chickenバーガーは動物肉を使わないが、完全にヴィーガンではない。バーガーは、植物パテのほか、チーズ、マヨネーズ(動物性卵を使用)、レタス、バーベキューソースでトッピングされる。
単品6.55ドル(約680円)、セット8.65ドル(約900円)で販売される。
KFCの植物ベース食品への取り組み
KFCはこれまでにも、植物肉の試験販売を何度も実施している。
2020年1月には、イギリスの900店舗でZero Chickenバーガーを提供(100%ヴィーガン)。パテはQuornの植物肉を使用していた。
2019年、カナダで代替チキン(Lightlife Foodsのもの)を販売。6時間で売り切れとなった。このテスト販売後、カナダのKFCでは代替チキンを完全にメニューに導入した。
2020年には中国でカーギルやビヨンドミートの植物肉メニューを販売。
2020年6月、香港ではグリーンマンデーと共同開発してAlpha Foodsの代替ナゲット、Gardeinの代替パテを販売。
本国アメリカでもビヨンドミートとコラボしており、2019年に、アトランタでビヨンドチキンを試験販売。このときはわずか5時間で売り切れるという盛況ぶりだった。
2020年6月には南カリフォルニアの50か所に試験販売を拡大しているが、アメリカ全土の完全導入にはまだいたっていない。
KFCは植物肉だけでなく、培養肉にも関心をもっている。
ロシアの3Dバイオプリンティングソルーションズと協業して、ロシア市場へ3Dプリンティング技術を活用した培養肉と植物肉のハイブリッドチキンを提供したいとしている。
昨年7月の報道では、2020年秋までに最終製品をテスト、2021年中頃に承認申請を行うとしていた。
フードテックのハブとなるシンガポール
今回、期間限定とはいえ、KFCの新しい試みの場としてシンガポールが選ばれたことは、重要な意味を持つ。
ここ数ヵ月のフードテック企業の動きを見るかぎり、シンガポールはフードテック企業が成長を加速するうえで、重要な立地と言える。
アメリカのフードテック企業イート・ジャストは、世界で初めて培養肉の販売許可をシンガポールで取得した。同社の代替チキンはGOOD meatのブランド名で、レストランで販売されている。
アニマルフリーな乳タンパク質を作るアメリカのパーフェクトデイは、今年4月にシンガポールに研究開発拠点を開設することを発表している。
地元発の培養肉企業Shiok Meatsは11月に培養ロブスター試作品を発表、2022年までにシンガポールに生産工場を建設する予定だ。
農業用地が国土のわずか1%であるシンガポールは、フードテック・アグテックを次の成長産業と位置付け、2030年までに食料自給率を30%まで引き上げる新たな目標を打ち出した。昨年4月には、フードテックのイノベーションに2100万ドルを出資する助成金プログラムをたちあげている。
参考記事
KFC Launches Plant-Based Zero Chicken Burger in Locations Across Singapore
KFC’s Meatless Chicken Burger Launches at More than 80 Locations in Singapore
KFC Bringing Beyond Meat Plant-Based Chicken to SoCal, 3D Printed Chicken to Russia
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アイキャッチ画像の出典:KFC