キッチンOS

サムスンがIoTアプリに買い物機能を備えた「SmartThings Cooking」を追加、シームレスな料理を追求

 

サムスンはCES2021でレシピ検索から買い物機能まで備えたSmartThings Cookingを発表した。

サムスンのスマート冷蔵庫Family Hubで人気の高かった機能を、SmartThingsアプリに新しい機能「SmartThings Cooking」として追加した。

SmartThingsアプリとは、サムスンのスマートテレビ、スマート冷蔵庫、スマート洗濯機など、すべてのIoTデバイスを1つのアプリで制御することを可能としたもので、CES2018で最初に発表された。

 

今回、このSmartThingsアプリに新しい機能となるSmartThings Cookingの追加が発表された。

SmartThings Cookingは、スマートフォン、サムスンの調理デバイス、スマート冷蔵庫Family Hubをつなぐ

アプリを通じて、レシピの検索から、食材の購入1週間の食事計画・準備までをシームレスに行うことができる。

SmartThings Cookingができる機能は次のとおり。

・好み・冷蔵庫にある材料に応じてパーソナライズされたレシピを提案

1週間の食事プランを提案

・Whiskネットワークを通じた買い物機能(ウォルマート、クルーガー、インスタカート、Amazonフレッシュ)

・アプリを通じて料理のつくり方をガイド

・同期されたサムスンの調理デバイスにレシピの指示を送信(温度、焼き加減、時間など)

 

出典:サムスン

今回発表されたSmartThings Cookingは、WhiskのフードAIによる機能を使っている(サムスンネクストは2019年3月にWhiskを買収)。

スマート冷蔵庫Family Hubを持っている人なら、アプリと冷蔵庫のCooking Boardスクリーンを同期して、大きな画面に表示することができる。

広がるキッチンOSの波

SmartThings Cookingを使うには、サムスンのキッチン用電子機器をそろえる必要があるが、買い物機能などが追加されたレシピアプリはトレンドになりつつある。

サイドシェフも似たサービスをすでに展開している。

ウォルマート、Amazonフレッシュと提携し、レシピの検索から食材購入までをノンストップで可能とするサービスを提供している。

このように、レシピ検索から食材の発注、調理時の火力・温度・時間調節などをシームレスでつなぐ概念をキッチンOSといい、フードテックの新しいトレンドとして注目される。

今回、サムスンが発表したSmartThings Cookingも、「買い物」「レシピ」「調理」という、以前であれば連携していなかったバラバラの行動をシームレスにつなげるキッチンOSの1つだ。

出典:サムスン

日本にもこの動きが広がり始めている。

昨年には、レシピサービスで有名なクックパッドが、アプリ内に送料無料の買い物機能を追加した。レシピ検索と食材の調達がクックパッドのアプリ内で完結する。

購入した食材は、駅、コンビニなど約200か所のクックパッドの「マートステーション」に生産者から直送される。ユーザーは好きな場所・好きな時間に受け取ることができる

現在は東京・神奈川・埼玉に限定されているが、生産者と消費者を直につなぐ新しいシステムとして、全国に広がっていくだろう。

出典:mercatus

買出しまでシームレスで対応するレシピサービスの高まりは、コロナウイルスの感染拡大と密接に関係している

2025年までに食料品EC市場は2500億ドル(約26兆円)の売上になり、食料品全体の21.5%のシェアを占めると予想されている

 

参考記事

Samsung Introduces a One-Stop Shop that Curates Every Step of Your Cooking Journey

CES 2021: Samsung’s SmartThings App Adding Shoppable Recipe and Guided Cooking

レシピサービス「クックパッド」、アプリ内に送料無料の買い物機能を追加

 

関連記事

 

アイキャッチ画像の出典:サムスン

 

関連記事

  1. Apeel Sciences、鮮度を保てるプラスチックフリーなキ…
  2. 新鮮な食材を買える自販機3.0のFarmer’s fridgeが…
  3. 家庭用チョコレートメーカーChocomake|自分好みのチョコ作…
  4. 中国OrionStar(猎户星空)がバリスタロボットRoboti…
  5. フードテックの祭典Smart Kitchen Summit 20…
  6. 食料品配達のパーソナライズ化を実現するHungryrootが約4…
  7. 米スーパー大手クローガーがドローンによる食料品配達を正式に実施
  8. 多才な料理ロボットのカナダYPCテクノロジーズが約1億4千万円を…

おすすめ記事

全卵タイプの植物性代替卵を開発するYo Egg、アメリカで小売進出を実現

植物性の全卵製品を開発するイスラエル企業Yo Eggが今年3月、アメリカで小売進…

ドイツの培養脂肪Cultimate Foodsが約1億円を調達、植物肉用の脂肪提供を目指す

ドイツを拠点とする培養脂肪スタートアップのCultimate Foodsがプレシ…

Else Nutritionとダノンが協業、アレルギー対応の乳製品・大豆不使用のビーガン粉ミルクの商品化に向けて前進

乳幼児・子供向けのクリーンな植物性粉ミルク・離乳食を開発する米Else Nutr…

代替肉はなぜ必要なのか?代替肉の必要性、分類、現状をわかりやすく解説

ベジタリアン、ヴィーガンでないなら代替肉は必要ないのでは? 日本は…

牛を使わずに乳タンパク質を開発するイスラエルのRemilkが約139億円を調達

精密発酵によりアニマルフリーな乳製品を開発するイスラエル企業Remilkがシリー…

コロラド州の植物肉バーガー企業が米MeliBioの代替ハチミツをメニューに採用

アメリカ、コロラド州の主要な植物肉バーガーチェーンMeta Burgerは先月、…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(02/21 14:43時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(02/22 00:24時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(02/22 04:19時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(02/21 20:41時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(02/21 12:47時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(02/21 23:38時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP