培養肉を開発するスタートアップ企業Orbillion Bioが、シードラウンドで500万ドル(約5億4000万円)を調達した。
Yコンビネーターから支援を受ける同社は培養肉に取り組む数多くのスタートアップ企業の1つだが、和牛、子羊、ヘラジカ、バイソンなどの高級培養肉に焦点をあてる点で他社とは異なる差別化戦略をとる。
今回のラウンドには、Climax Foods、Finless Foods、Wild Earthに出資しているAt One Ventures、Hoxton Farmsに出資しているEuropean Nucleus Capital、Mission BarnsやTurtle Tree Labsを支援しているPrithi Venturesなどが参加した。
Orbillion Bioは調達した資金で、生産コストの削減、最初の商品となる和牛のパイロット生産を図る。
同社は3月に試食会を実施した。試食会では細胞培養による和牛、ヘラジカ、子羊が披露された。
試食会の数日後、CEOのPatricia Bubner氏はYコンビネーターの「デモデイ(Demo Day)」で投資家に向けプレゼンを実施。
試食会とデモデイの発表は一流投資家の注目を集め、今回のラウンドは応募超過で完了した。
Green queenの報道によると、同社がまず注力するのは米国市場となる。
高級レストラン・高級小売で市場に投入されてから、価格を下げ、商品を提供するターゲット層を広げていく。
最初は「高級路線」を採用するが、最終的には目的であるすべての購買層をターゲットとしている。市場投入のタイムラインは2023年中としている。
畜産による温室効果ガスの排出、動物による感染症発生、集約畜産による抗生物質の使用、動物愛護、農業用地のための森林伐採、人口増加の観点から、培養肉が畜産肉に代わる手段として注目されている。
2021年になってから培養肉に集まる投資は増加する一方で、直近では培養脂肪を開発するMission Barnsが約26億円を調達、世界で初めて培養肉の販売したイート・ジャストは約219億円を調達している。
先日にはイート・ジャストが世界に先駆けてシンガポールで培養肉料理のデリバリーを開始するなど、食卓に並ぶには程遠いと思えた培養肉の大衆化が着実に進んでいる。
培養肉の市販化ではシンガポールが他国の先をいく形となるが、日本でも三菱商事が培養肉のアレフ・ファームズ、培養魚のBlue Naluと提携を発表するなど、日本導入へ向けた取り組みを強化している。
参考記事
Orbillion Bio Raises $5M to Develop Cell-Cultured Bison, Elk, and Wagyu Beef
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アイキャッチ画像の出典:Orbillion Bio