代替プロテイン

Yali Bioが植物由来の培養脂肪生産のためにシードラウンドで約4.5億円を調達

 

カリフォルニアを拠点として植物代替肉や乳製品向けにデザインした脂肪の生産に取り組むYali Bioは、シードラウンドで390万ドル(約4億5000万円)の資金調達を行ったことを発表した累計の資金調達額は500万ドル(約5億7000万円)となる。

Yali Bioはテーラーメイドの脂肪を作るシステムを構築して植物由来代替肉の品質向上を目指している。

現在、植物代替肉の脂肪として、主に使用されているココナッツオイルは融点が低く、加熱により溶け出してジューシーさを失う。また、動物性の肉独特な風味を香料で補う必要があり、余分な表示が必要となる。

環境面でもココナッツやパームは東南アジアの環境破壊要因とされている。いま植物由来代替肉で最も求められているのは、風味がよくて調理がしやすく、持続可能性面でも優れた脂肪であり、Yali Bioはこうしたニーズに合致した脂肪の開発を目指している。

出典:Yali Bio

Yali Bioの技術は、精密発酵を用いることにより生産する脂肪の組成や品質を調整できること、原料として植物由来成分を利用していること、に特徴がある。

代替脂肪の開発に取り組む他の会社の多くは、細胞培養技術を用いていることから規格上の認可を得る必要がある。Yali Bioは製品化に必要なプロセスが明確で、他社よりも早く市場展開を図れるであろう。

共同創業者のYulin Lu氏は海外メディアのインタビューに対し次のようにコメントしている

「プロセスはビールの醸造に似ています。微生物が砂糖や栄養を取り入れ、脂肪を増やします。目的の脂肪を生成するための必要な遺伝子を使って微生物を操作し、バイオリアクターで培養して、数日成長させた後に収穫します。これは非常に効率的な制御されたプロセスです」

今回のラウンドのリード投資家であるEssential CapitalのマネージングパートナーEdward Shenderovich氏は、環境負荷が小さく性能の高い脂肪は植物代替肉分野で大きな市場性が期待できると述べた。

出典:Mycorena

Yali Bioは2021年にCEOのYulin Lu氏と主席科学者Peng Xu氏により設立された。

Lu氏はフードテック分野での経験があり、インポッシブルフーズイート・ジャストでは製品のスケールアップに立ち会った。Xu氏は合成生物学が専門で、その技術は微生物による油脂生産に用いられている。

Yali Bioは調達した資金を、研究開発、管理、生産、業務部門の拡大に用いる計画である。

 

参考記事

Yali Bio Raises $3.9M Seed Round To Advance Plant Based Cultured Fat Production

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Yali Bio

 

関連記事

  1. フランスの培養肉企業Vital Meat、シンガポール当局へ承認…
  2. 【8/24】注目のフードテックベンチャー・ネクストミーツ社佐々木…
  3. Those Vegan Cowboysが精密発酵で作成されたチー…
  4. 植物を活用してアニマルフリーな乳製品を開発するMirukuが約3…
  5. 空気と電気からタンパク質を作るSolar Foodsが約5億4千…
  6. 南アフリカの培養肉企業Mzansi Meatが来月、アフリカ発の…
  7. 米Aqua Cultured Foodsがシカゴで生産施設の建設…
  8. 代替卵のイート・ジャストがアフリカ市場へ進出

おすすめ記事

【現地レポ】ソーラーフーズ、ソレインを商用生産する工場を稼働/ソレイン使用のシンガポールレストランを訪問

フィンランド企業ソーラーフーズ(Solar Foods)は今月15日、代替タンパ…

培養脂肪を開発するMission Barnsが約26億円を調達、パイロット工場の建設へ

シリコンバレーを拠点とする細胞農業スタートアップのMission Barnsがシ…

カカオフリーのチョコレートを開発する英WNWNが約7.6億円を調達、年内に小売販売へ

カカオフリーのチョコレートを開発する英WNWN Food Labsは先月、シリー…

Alt Farmは3Dプリンターで作った植物代替和牛で2023年の上市を計画

香港科技大学からうまれたAlt Farmは3Dプリンター技術の活用を進める会社で…

シンガポールのSophie’s Bionutrientsは微細藻類を原料にした代替パテ肉を発表

シンガポールのSophie's Bionutrientsは微細藻類を使った植物性…

フードロス削減のために米Surge Alertが開発した気候モニタリングデバイス

フードロスを減らすため、ニューヨークを拠点とするSurge Alertは24時間…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/21 14:06時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/20 23:44時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/21 03:26時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/20 20:01時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/21 12:17時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(11/20 23:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP