精密発酵でアニマルフリーな乳タンパク質を開発するオランダ企業Viviciは今月、シードラウンドでの資金調達を完了したことを発表した。
Viviciは、ニュージーランドの大手乳業メーカーフォンテラ(Fonterra)とオランダ大手化学メーカーDSMによって昨年12月に設立された。二社が精密発酵スタートアップを立ち上げることを発表したのは昨年の8月。このスタートアップがViviciとみて間違いない。
自社ブランドを130カ国以上に展開する乳業大手フォンテラが精密発酵スタートアップを設立したことによる業界への影響は大きく、フォンテラに続く乳業企業が増えていく可能性は高い。
オランダ発の精密発酵スタートアップ企業にはカゼイン・ハチミツを開発するFooditive、代替パーム油のNo Palm Ingredientsが確認されていたが、Viviciが新たにこのリストに加わった。
DSM×フォンテラが設立した精密発酵スタートアップVivici
精密発酵は、酵母などの微生物を利用して、食品、化粧品、医薬品などに使用する特定成分を生産する革新的技術だ。ヒトインスリンに始まり、40年以上の歴史を持つ精密発酵は、近年、コモディティ商品である食品に急速に浸透している。
精密発酵は、農業や畜産など資源を大量に消費するプロセスに依存する伝統的な生産方法に代わる、環境に優しく持続可能な代替手段となる。従来の生産方法よりも温室効果ガスの排出量が少ない製品の生産が可能になるため、より持続可能で環境に優しい食品生産技術として注目されている。
フォンテラ、DSMは、数年前から精密発酵を利用して天然と同等の乳タンパク質を生産するために協業してきた。二社によって設立されたViviciは、バイオプロセスの開発・拡張における数十年にわたる経験、乳タンパク質の単離・応用において世界をリードする知識を保有している。オランダ政府も積極的に支援する細胞農業エコシステムにおいて、開発・商用化を加速していくだろう。
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アイキャッチ画像の出典:Vivici