米MeliBioが開発した植物性のビーガンハチミツが、イギリスでの発売に続き、スイスとオーストリアで発売された。
MeliBioとNarayan Foodsによるビーガンハチミツは今月、スイス・オーストリアにあるドイツのディスカウントストアAldi店舗で、Aldiのプライベートブランドとして発売された。
MeliBioが植物性ハチミツをスイスとオーストリアで発売
米農務省が資金提供した研究によると、野生のミツバチは花粉媒介者として約15億ドルの価値を持つ可能性があり、野生ミツバチの減少が、農業の生産性を脅かしかねないことが報告されている。
MeliBioは、野生のミツバチを守り、世界で増大するハチミツの需要に持続可能で拡張性のあるソリューションを提供するため2020年に設立された。
同社は2022年12月、欧州最大の有機食品生産者の1つであるNarayan Foodsと協業し、Better Foodieのブランドで、欧州の75,000店舗で製品を発売することを発表した。
Narayan Foods との提携から1年たった先月、二社はイギリスで、Better Foodieのブランドとしてビーガンハチミツを発売した。The Grocerの報道によると、イギリスの約200店舗の独立系小売店で、「Vegan H*ney」という製品名で販売されている。
今回新たに進出するスイス・オーストリアでは、Aldiのプライベートブランド「Just Veg!」として、Aldi が所有するHofer店舗で販売されるという。
MeliBioの共同創業者Darko Mandich氏は、「この発売を際立たせているのは規模だけでなく、市場投入のスピードです。MeliBioは最初のアイディアからわずか3年で、大規模な産業を立ち上げ、市場投入を最速で実現する食品企業の1つであることを証明しました」と述べている。
欧州に先立ちアメリカで発売
今回、MeliBioの欧州進出拡大が報じられたが、同社は欧州進出に先立ち、アメリカでB2B販売や、自社ブランド販売を実現している。
2022年には、サンフランシスコやニューヨークのレストランでビーガンハチミツを提供。昨年2月には、コロラド州の植物肉バーガーチェーンが期間限定でビーガンハチミツをメニューに採用した。
昨年3月には、カリフォルニア州アナハイムで開催された展示会で自社ブランド「Melody」を発表した。「Melody」はオンラインショップで販売されているほか、アメリカの一部レストランで提供されている。
「Melody」の成分表示は「Plant-Based Honey」とされ、果糖、ブドウ糖、水のほか、植物性抽出物を2%含んでいる。植物性抽出物にはレッドクローバー、ジャスミン、トケイソウ、カモミール、シーベリーを使用している。
AgFunderの報道によると、欧州で販売する製品では植物性抽出物のブレンドは若干異なるという。
精密発酵プラットフォームの前進
MeliBioは当初、精密発酵でハチミツを開発する企業として知られていた。現在市販されているハチミツは完全に植物性のもので、精密発酵技術は使用されていない。
Mandich氏は以前、Foovoの取材に対し、精密発酵によるハチミツ開発に積極的に取り組んでいる段階だと語った。同社リンクトインでも、「2023年には第2世代精密発酵プラットフォームの進化で大きな前進を遂げた」と発表されている。
MeliBioが植物性ハチミツを先に上市したことには、さまざまなメリットが考えられる。
まず、植物性ハチミツを先行投入することで、野生のミツバチが直面する課題を緩和することができる。精密発酵ハチミツの上市には時間がかかると予想されるため、植物性ハチミツで先に収益を生み出し、この売上で研究開発をさらに進めることが可能になる。そして、精密発酵ハチミツが承認される頃には、MeliBioのブランドが認知され、販売網が確立されている可能性が高い。
精密発酵ハチミツの上市時期は未定だが、実現すれば、より複雑で高品質な機能性を備えたハチミツが市場にもたらされることになるだろう。
参考記事
Honey… without bees? MeliBio rolls out plant-based alternative in Austria and Switzerland with ALDI
MeliBio’s Vegan Honey Expands European Presence with Aldi Deal
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アイキャッチ画像の出典:MeliBio