3Dプリンター

チェコの培養肉企業Mewery、チェコ政府から約3200万円の助成金を獲得

 

微細藻類を活用して培養豚肉を開発するチェコのスタートアップ企業Meweryが、チェコ政府から非希薄化(Non-dilutive)による20万ユーロ(約3200万円)の助成金を獲得したことを発表した

*非希薄化による資金調達とは、資金調達後に既存株主の株比率が減らないものをいう。

この助成金は、チェコ政府がビジネス・投資開発庁CzechInvest(チェコインベスト)を通じてMeweryに提供するもの。

Meweryはこの資金を活用して、培養肉の生産プロセスに関する包括的研究を実施し、より大規模なスケールアップの準備を進める。同社はまた、この資金提供によりバイオマスの栄養組成や、個々の生産成分のデータなど、当局の安全性承認に必要なデータ収集も可能になるとしている。

Meweryの創業者兼CEO(最高経営責任者)のRoman Lauš氏は、「CzechInvestの投資は、Meweryの革新的な培養肉アプローチを強く支持するものです。この資金により、生産プロセスに関する貴重な洞察を得て、培養手法を最適化できるようになります」と述べている。

チェコ政府が培養肉企業Meweryへ資金提供

出典:Mewery

Meweryは、ウシ胎児血清(FBS)ではなく、微細藻類由来の独自培地を活用することで、コストの70%削減に成功している

昨年2月、培養豚肉と微細藻類をブレンドした培養肉のプロトタイプを発表した。これは、75%の豚肉細胞と25%の微細藻類から構成され、市場向けサイズになるまでの生産時間は10週間となる。

昨年6月には、培養豚肉と微細藻類を使用した培養バーガーを生成したことを発表

欧州で新規食品として培養肉の販売認可を取得するには時間がかかるため、Meweryはアメリカ、シンガポールでの上市を優先したいと考えているVegconomistの報道によると、Meweryは試食会開催に向けてチェコ政府に働きかけており、今年を目途に実現できると見込んでいる。

公式サイトによると、Meweryは培養肉の社会普及において、業務用キッチン向けのバイオリアクター、家庭用の3Dプリンタ―の導入も構想している。

培養肉における藻類の活用

出典:Mewery

培養肉開発への微細藻類の活用に早期から注目しているのが、東京女子医科大学の清水教授だ。清水教授は、培地に使用する栄養素の穀物フリー化・廃液再利用を達成するために、微細藻類を活用する研究を行っている

培地の栄養素として微細藻類を活用し、培養廃液を藻類の培養に再利用することで、循環型の生産システム実現が可能になると考えている。

海外では、韓国の浦項工科大学校の研究チームが、3Dプリンタ―で培養肉を開発するためのバイオインクに藻類由来のアルギン酸を使用している

韓国のSeaWithは培養牛ステーキ肉の開発のため、微細藻類から独自の培地を開発している。同社は2022年2月、生産施設建設に向けてシリーズAラウンドで約6億9000万円を調達した

 

参考記事

Mewery Demonstrates Serum-Free, Microalgae-Based Growth Medium, Receives Pre-seed Investment

Czech Government Supports Mewery with €200K Grant to Cultivate Pork

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Mewery

 

関連記事

  1. 培養サーモンの米Wildtype、レストラン・小売との提携を発表…
  2. 培養肉モサミートが培養脂肪用培地の大幅コストダウンに成功
  3. 二酸化炭素からタンパク質を作る英ディープ・ブランチ、アイスランド…
  4. 油だけで終わらせない|オランダのCano-ela、菜種種子から食…
  5. Motif FoodWorks、分子農業でヘムを開発するためパー…
  6. イート・ジャストの代替卵JUST EggがEU当局の認可を取得
  7. 米NovoNutrients、牛タンパク質と同品質のCO2由来タ…
  8. 培養肉の法整備を目指す議員連盟が発足、年内に試食実現のための提言…

おすすめ記事

オランダで世界初の細胞性食肉農場の建設に向けてCRAFTコンソーシアムが結成

出典:RespectFarmsオランダで世界初の細胞性食肉(培養肉)農場の建設に向けたコンソーシ…

オランダの大手スーパー売り場で見る代替乳製品の今|現地レポート

前回の記事ではオランダ大手スーパーマーケットであるアルバート・ハインが植物性食品…

米Lypid、独自のビーガン脂肪を使用した代替豚バラ肉Lypid Pork Bellyを米・アジアで発売

植物肉向けの代替脂肪を開発する米Lypidは4月、独自の代替脂肪を使用した植物性…

発酵技術で代替シーフードに挑むAqua Cultured Foodsがプレシードで約2億4000万円を調達

微生物発酵でシーフードを開発する米Aqua Cultured Foodsがプレシ…

【2024年】培養魚企業レポート販売開始のお知らせ

更新日:2025年6月10日2025年最新版の予約注文を受付中です。…

イート・ジャストの培養肉部門GOOD Meatが約110億円を調達、今年の調達総額は約305億円に

イート・ジャストの培養肉部門GOOD Meatは先月、9700万ドル(約110億…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(09/17 15:53時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(09/17 02:15時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(09/17 05:56時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(09/16 21:54時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(09/17 13:52時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(09/17 01:11時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP