代替プロテイン

韓国が培養肉の申請プロセスを明確に:培養肉企業の参入を促進

 

今回のニュースの音声配信はこちらから▼

 

韓国の食品医薬品安全処(MFDS)が培養肉の承認申請の受付を開始した

MFDSは今月21日、「食品等の暫定基準及び規格認定基準」を改正・告示した。これにより韓国で、細胞培養を使用して生産された原料を食品として認めるための手続きが明確化された。

つまり、培養肉企業が韓国当局に培養肉・培養魚の承認申請を行えるようになった。

韓国政府は2022年8月、国家計画に培養肉のガイドラインを盛り込むことを発表した。発表から1年半、韓国で培養肉の承認申請が可能になったことで、来年以降、韓国で培養肉が上市する可能性が高まった。

同基準は提出資料の要件として、原材料の特性、製造方法、細胞に関する資料、開発経緯、国内・海外の使用状況、安全性に関する資料などを規定している。

原材料については、大きさ、形状、色などのほか、成分分析、足場が最終原材料に残る場合は足場の含有量などの情報も求められる。安全性ではアレルギー、人体への影響、遺伝的安定性、毒性に関する資料などが求められる。遺伝的安定性については、細胞株と最終原材料の遺伝的安定性を確認できる資料などが規定されている。

出典:Cellmeat

GFIによると現時点で承認申請を行った企業は確認されていないが、今後数週間以内に数社が申請する見込みだという。

申請には所定の書式が規定されている(別紙第2号書式)。審査期間は270日間で、企業には指定の書類、試作品と共に手数料として4500万ウォン(約500万円)が求められる。一部資料はハングル語への翻訳も指定されている。

審査に手数料がかからないシンガポールと比較すると、約500万円の手数料は企業には大きな負担となる。また、シンガポールでは申請前に企業が相談できるコンサルサービスが用意されているが、韓国の基準にはそのような記載は見当たらない。審査期間については、シンガポールの9-12ヵ月と概ね変わりはないといえる。

また、アメリカと異なり韓国では、畜産肉・水産物は同基準でまとめて規定されている。

韓国には、CellmeatSeawithSpace FSimple Planetなどの培養肉企業が登場している。培養エビを開発するCellmeatは、昨年12月の時点で、販売までに必要なステップは承認手続きだけであることを自社のブログ記事で言及していた。シンガポール市場を優先させると公表していたCellmeatなどの韓国企業にとって、韓国で培養肉承認の道が開かれた意義は大きい。

参考に、培養肉とともに細胞農業に分類される精密発酵については、韓国ではすでに規制プロセスが確立していると思われる。

今回の改正で大きく変更されたのは、第2条第1号。

出典:식품등의 한시적 기준 및 규격 인정 기준일부개정고시

第2条第1号には同基準が対象とする原料として、①細胞培養技術を利用した食品原料、②遺伝子組換え微生物を用いて製造・加工されたもので、遺伝子組換え微生物を含まない食品原料の記載がある。今回追加されたのは①で、これが培養肉に該当する(同基準p30参照)。

一方、改正前からあった②は精密発酵と読み取ることができる(精密発酵は遺伝子組換え微生物を使用するが、最終産物には当該微生物は残存しないため)。このため、韓国では培養肉に先行して、精密発酵の審査プロセスはすでにあったと読み取れるとFoovoは認識している。

 

参考記事

「식품등의 한시적 기준 및 규격 인정 기준」 일부개정고시(제2024-13호, 2024.2.21.)

GFI APAC LinkedIn

South Korea Establishes Framework for Regulatory Approval of Cultivated Meat, With Applications Expected Soon

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Cellmeat

 

関連記事

  1. 【2024年度版】精密発酵レポート販売開始のお知らせ
  2. 精密発酵で卵白タンパク質を開発するOnego Bio、米国進出に…
  3. ベゾス・アース・ファンド、ノースカロライナ州立大学に代替タンパク…
  4. Change Foodsが約13億円を調達、精密発酵の市場投入を…
  5. アブダビ、新規食品の規制枠組みの整備へ|細胞性食品・精密発酵を対…
  6. Doehlerが代替パーム油を生産する英Clean Food G…
  7. 小売で流通する細胞性食品―シンガポール・フードテック実食レポート…
  8. 植物性チキンナゲットのNowadaysが事業を停止

おすすめ記事

チリのユニコーン企業NotCoが約259億円を調達、アメリカに続き欧州・アジアを目指す

代替ミルクなどプラントベース食品を開発するチリのユニコーン企業NotCoがシリー…

古細菌の力で二酸化炭素をタンパク質に変換|オーストリア企業Arkeon Biotechnologiesが約8.5億円を調達

オーストリア、ウィーンを拠点とするArkeon Biotechnologiesは…

ドイツのNosh.bio、麹由来のハイブリッド肉をレストランで限定提供、欧州大手食肉加工会社と提携

出典:Nosh.bioドイツのマイコプロテイン企業Nosh.bioは先月、菌糸体と牛肉をブレンド…

「世界で最も野心的なチーズ」を掲げたStockeld Dreamery、事業終了を発表

出典:Stockeld Dreamery植物性チーズを開発するスウェーデンのStockeld D…

菌糸体から代替肉を作るAtlast Foodが約43億円を調達

菌糸体から代替肉を開発するAtlast FoodがシリーズAで4000万ドル(約…

植物を活用してアニマルフリーな乳製品を開発するMirukuが約3.2億円を調達

植物を使って乳タンパクを開発するニュージーランドのMirukuは、シードラウンド…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovoセミナー開催のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP