細胞性食品(培養肉)などを作る細胞農業の民主化を目指すインテグリカルチャーは先月、会員制の新サービス「勝手場(Ocatté Base)」を開始した。
「勝手場」は細胞農業で必要な食品グレード資材を販売するメーカーと、細胞農業に関心のある企業をつなげる会員制のB2Bマーケットプレイスとなる。食品グレードの細胞培養資材を皮切りに、細胞農業に関心のあるすべての人が活用・マネタイズできる場の提供を目指す。
インテグリカルチャーは細胞培養の社会実装を目指し2015年に設立された日本初の細胞農業企業。
これまでに各分野に強みを持つ事業会社との共同技術開発を行う「CulNetコンソーシアム」、低コストで血清様成分を作出するCulNet Systemを使用した国内唯一の培養肉製造の受託研究開発サービス「CulNetパイプライン」の2つのソリューションを展開している。
「勝手場」は同社3つ目のソリューションとなり、すべての人がより自由気ままに細胞農業に参画できる環境作りを目指すものとなる。インテグリカルチャーの製品だけでなく、「CulNetコンソーシアム」に参画した企業の成果物を販売することも検討している。
インテグリカルチャー、培養肉のマーケットプレイスを始動
インテグリカルチャーは、食品原料由来の培地をはじめとする資材や、細胞農業における知見・経験は、同分野の検討・事業化をおこなうための必須要素であると考えている。細胞農業資材は通常、企業秘密とされることが多く、関心ある企業にとって参入のハードルの1つとなっている。
「勝手場」では、必須要素をいち早く一般に開放・提供することで、細胞農業に参画を目指す企業や団体が、よりスムーズに検討・事業を開始できるような環境の構築をサポートする。これにより、培地などの細胞農業資材の研究開発に要する時間とコストの削減が可能になり、インテグリカルチャーが使命として掲げる「細胞農業インフラの発展と普及」の実現につながると同社は考えている。
今年度は、同社の培養肉生産ラインでも採用されている食品原料由来の基礎培地、細胞剥離剤、細胞接着コート剤、細胞凍結液の4製品を研究用試料として販売する。来年度には食品としての上市を目指す。
長期的にはインテグリカルチャーの独自技術であるCulNet Systemや、同社主催のCulNetコンソーシアムの参画企業と共同開発した製品も、「勝手場」の製品ラインナップに追加することを検討している。また、コンサルサービス、セミナー、交流会などのサービスも順次追加する予定だ。
「勝手場」の最初のメンバーとして、培養肉生産工場の実現を目指す日本企業オルガノイドファームが参画した。
同社代表の山木多恵子氏は、「細胞農業を社会実装するには、業界を横断する様々な技術を結集してサプライチェーンを構築することが重要」だとコメント。「この世界的にも前例のない取り組みによって、細胞農業における日本のプレゼンスを高めるために、一緒に盛り上げていけるように精進します」と述べている。
参考記事
インテグリカルチャー、『勝手場』のサービス開始 みんなが使える細胞農業の実現に向けた最初の一歩
インテグリカルチャー、細胞農業のオープンイノベーションプラットフォーム「カルネット コンソーシアム」の第3回運営委員会を開催 〜コンソーシアム開発物の新たなマーケットプレイス構築へ〜
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アイキャッチ画像の出典:インテグリカルチャー