代替プロテイン

北大発のFloatmeal、ウォルフィアの本格生産に向けた実証試験を開始

 

北海道大学発のスタートアップFloatmealは先月、ウキクサの1種であるウォルフィア(Wolffia)の本格生産に向けて三友環境総合研究所提携した

Floatmealは、食料安全保障、気候変動、食料不足に対応するソリューション開発に向けて北村もあな氏により2023年に設立された。微生物を用いた独自技術により、高タンパク質で栄養価の高いウォルフィアの安定生産に取り組んでいる。

二社は提携の一環で、北海道勇払郡安平町に設置した生産拠点「Abira Laboratory」で、ウォルフィアの大量生産技術の開発を目指す。二社は食品用途だけでなく、排水処理技術の開発、脱炭素システムの構築も視野にいれている。

出典:Floatmeal

ウォルフィアは他のタンパク質よりも土地利用・水使用量が少なく、短期間で大量に繁殖するという特徴を持つ。

Floatmealによると、ウォルフィアは牛肉や大豆、卵よりもタンパク質含有量が40%と高く、大豆と比べ、水使用量を230分の1土地利用を63分の1に削減できるという。1kgあたりの生産コストが他の農産物や食品よりも低いことから、低コストで大量生産が可能になると同社はみる。

ウキクサは単純な構造を持つ成長の早い水生植物で、排水処理、動物飼料、人間の食料などさまざまな分野で利用されている。2022年の論文は、ウキクサ、特にその1種であるウォルフィアは、人間のタンパク質源・植物性食品として大きな可能性を秘めていると報告している

出典:Floatmeal

ウォルフィアに注目するスタートアップは数社あり、イスラエルのGreenOnyxもその1社だ。同社が開発する「Wanna Greens」は、2023年11月にNASAの承認を受け、スペースXにより国際宇宙ステーションに打ち上げられた「最初の」ウキクサ植物となった

2021年創業のシンガポール企業Biovolfは、流水と電気を使用して二酸化炭素を吸収しながらウォルフィアを生産する独自バイオリアクター「Biovolf 4」を開発している。

タイのAdvanced Greenfarmは消費者向けのウォルフィア製品「flo」をタイ国内のスーパーやオンラインで販売している。

スイスのLemna Proもウォルフィア用のカスタマイズされた水耕栽培システムを開発しており、ドイツのGEAと提携している

 

参考記事

未来の食料不足危機に立ち向かう北大発スタートアップ 高たんぱく植物「ウォルフィア」本格的生産の実証を開始します!

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Floatmeal

 

関連記事

  1. フードロス削減×栄養インスタント食品、イスラエル企業Aninaが…
  2. イスラエルのMarineXcell、独自の核初期化技術で細胞培養…
  3. 大手食品メーカーの精密発酵食品への参入・販売状況【Foovo独自…
  4. The EVERY Companyが約198億円を調達、精密発酵…
  5. 米Omeatがロサンゼルスで培養肉のパイロット工場を開設
  6. CSIROが支援するEden Brewが約6.4億円を調達、精密…
  7. 他社の発酵製品の市場投入を早めるSolar Biotechが約2…
  8. 【現地レポ】Quornのマイコプロテインを食べてみた@シンガポー…

おすすめ記事

JAL、一部国際線でOobliの精密発酵甘味タンパク質使用のチョコレート導入を発表

今月17日、日本航空(JAL)は東京(成田/羽田)-サンフランシスコ間の一部国際…

Oobli、精密発酵甘味タンパク質市場の拡大へ―Ingredionとの提携と日本企業からの出資で成長を加速

精密発酵で甘味タンパク質を開発する米スタートアップ企業Oobli(旧称Joywe…

ADMがAir Proteinと空気タンパク質を使用した代替肉の研究開発で提携

世界大手の農産物加工・食品原料メーカーである米ADM(アーチャー・ダニエルズ・…

All G、精密発酵ウシラクトフェリンでGRAS自己認証を取得|世界で2社目

オーストラリアのAll G(旧称All G Foods)は、精密発酵ウシラクトフ…

ドローンによる「空飛ぶ」果実収穫ロボットを開発したTevel Aerobotics Technologies、日本進出も計画

イスラエルのスタートアップ企業Tevel Aerobotics Technolo…

Gelatex、年間300トンの培養肉生産を可能とする足場生産の試運転をスタート

培養肉用の足場を開発するエストニアのGelatexは先月、ナノファイバー材料の開…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(03/06 14:47時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(03/07 00:30時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(03/07 04:23時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(03/06 20:44時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(03/06 12:54時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(03/06 23:44時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP