Foovo Deep

豆を使わない代替コーヒーを開発するオランダのNorthern Wonder|「森を守るコーヒー」への挑戦【創業者インタビュー】

 

オランダ発のスタートアップ、Northern Wonderが開発した豆を使用しない「Coffee Free Coffee」は、持続可能なコーヒーの新たな選択肢として、オランダやスイスのスーパーマーケットで販売されている。

同社は、世界的なコーヒー産業が抱える環境負荷と気候変動への課題に対応するため、Onno Franse氏David Klingen氏により2021年に設立された。

Franse氏は、「私たちはコーヒーに反対しているわけではありません。市場の数パーセントでも代替できる製品を作ることができれば、コーヒー市場の成長分を補完することができ、それ自体が貢献となります」と述べ、持続可能な選択肢を通じて新たな解決策を提供したいと考えている。

Franse氏が語るNorthern Wonderのビジョンと今後の展望に迫る。

「コーヒーに反対しているのではありません」

出典:Northern Wonder

Northern Wonder設立の背景は、Franse氏が長年培ってきた国際的な食品業界での経験にある。

Franse氏は、戦後の飢餓や栄養不良への対策から「食料供給」「安全性」を重視する時代を経て、食品業界が「利便性」「楽しさ」「健康志向」へと関心を移し、さらに2007年以降は気候変動への対応が不可欠になっていく流れを見てきた。

そして今、持続可能性が業界全体の大きな課題となり、特にチョコレートコーヒーが森林伐採の要因となる食品リストでそれぞれ5位と6位に位置している現状に危機感を抱いている。地球温暖化の影響で栽培可能な土地が減少していることから、需要増に対応するには森林伐採ではない別の手段が求められる。

Franse氏は、パーム油や食肉が環境に与える影響は広く認知されているものの、コーヒーやチョコレートについてはまだ十分に意識されていないと指摘する。

「消費者の意識は追いついていないものの、問題は存在しています。私たちは決してコーヒーに反対しているわけではありませんが、消費が急増する中で、栽培地域の減少とそれによる森林伐採の課題に取り組む必要があると感じています」と述べた。

このような背景から、Franse氏は共同創業者のKlingen氏と共に、コーヒー豆に依存しない持続可能なコーヒーを提供することで長期的な解決策を目指せると考え、Northern Wonderを設立した。

ビーンレスコーヒーの製造プロセス

出典:Northern Wonder

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

インタビュー実施時期:2024年10月22日 オランダにて

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Northern Wonder

 

関連記事

  1. 【参加レポート】第5回フードテックWeek:次世代型綿あめ製造機…
  2. 1つのカカオ豆から年間1.5トンの培養カカオ──イスラエル企業K…
  3. 米IngredientWerksがトウモロコシでウシのミオグロビ…
  4. 藻類で培養肉用培地のコストダウンを図る東京女子医科大学、培養廃液…
  5. 砂糖削減に取り組むBetter Juice、ドイツにパイロット施…
  6. 培養肉企業アレフ・ファームズが約116億円を調達、2022年に最…
  7. オレオゲルで植物肉用の代替脂肪を開発するParagon Pure…
  8. 精密発酵で食用コラーゲンを開発するスタートアップ企業3社

おすすめ記事

Motif FoodWorks、分子農業でヘムを開発するためパートナーシップを拡大

アメリカ、ボストンを拠点とするフードテック企業Motif FoodWorksは、…

米Superbrewed Food、腸内細菌由来のタンパク質について米国GRAS認証を取得

アメリカ、デラウェア州を拠点とするSuperbrewed Foodは先月、腸内細…

精密発酵でカカオバターを開発する米Seminal Biosciences

カカオ豆を使用せずカカオバターを開発する新たな企業が登場した。カリフォルニア州サ…

米BIOMILQ、創業者の元夫との知財紛争で破産申請

Leila Strickland博士(出典:BIOMILQ)母乳に含まれる生理活性物質を開発する…

ChickPがひよこ豆由来のクリームチーズ、チェダーチーズを開発

イスラエルのフードテック企業ChickPは、ひよこ豆タンパク質粉末からクリームチ…

廃棄大麦から代替タンパク質を開発するEverGrain|世界最大の醸造会社の大麦をアップサイクル

世界で1年間に醸造で使用される大麦は900万トンとされる。使用済みの大麦…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(05/17 15:09時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(05/17 01:00時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(05/17 04:59時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(05/17 21:09時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(05/17 13:14時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(05/17 00:14時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP