代替プロテイン

米Meati Foods、菌糸体由来の朝食向け代替肉をスーパーマーケットで発売

 

菌糸体由来の代替肉を展開する米Meati Foodsは、同社初となる朝食用製品「Meati Breakfast Patties」を発売した

Meati、菌糸体由来の朝食向け代替肉を発売

出典:Meati Foods

昨年、1億ドル(当時約155億円)という大型資金調達に成功したMeatiは、5製品目となる新商品を発売。「Meati Breakfast Patties」はメープル・オリジナルの2フレーバーで展開され、これまでの製品と同様に製品全体の98%を菌糸体が占めている。

Vegconomistによると、この新商品はアメリカのスーパーマーケットSprouts Farmers Marketの280店舗で、冷凍コーナーにて販売される。

Meatiが全米で小売市場に本格参入したのは2023年3月

Sprouts Farmers Marketとの提携により、4製品を同スーパー全店舗の冷凍コーナーで発売したAgFunderの報道によると、今回の新商品はRaley’s(118店舗)とHarris Teeter(250店舗)への新規出店を予定されており、今後さらなる小売拡大が見込まれる。

Meatiは今年1月、「Mushroom Root」という原材料表示に関して、カリフォルニア州に続き、ニューヨーク州で虚偽広告の訴訟を受けた。これを受け、現行製品の表示はすべて「Mycelium」へと変更されている。

出典:Meati Foods

同社はまた、The Better Meat Co.との特許訴訟を長年にわたり抱えていたが、ホールカットの菌糸体肉を展開するパイオニア企業として、アメリカでの市場投入を順調に拡大している。

CEO(最高経営責任者)のPhil Graves氏は、2024年の収益が2023年比でほぼ倍増し、年末までに売上総利益がプラスになる見通しであるとAgFunderのインタビューで述べている。

拡大するマイコプロテイン市場

出典:Meati Foods

代替肉など食用向けに、糸状菌の培養により生成されるタンパク質豊富なバイオマスは「マイコプロテイン」と呼ばれる

Nature’s Fyndが指摘するとおり、マイコプロテインの定義は正確に定められていないが、一般に菌類由来のバイオマスがマイコプロテインとされる。

マイコプロテイン製品は欧米を中心に市場に流通しており、Foovoの認識では、Meatiはこの分野の代替肉企業として、Quornと並ぶ成功企業の一つである。

The Better Meat Co.も、ホールカットの代替肉を開発するマイコプロテイン企業であり、昨年、GRAS認証に続き、シンガポールでの認可を取得した。

公式サイトにもあるように、同社のマイコプロテイン「Rhiza」の供給はまだ限定的であり、Buddha Belly Burgerなど一部レストランでの供給に限られている。昨年10月には、アメリカ国防総省(DoD)から約2億円の助成金を獲得している。

マイコプロテイン市場において、Nature’s Fyndも注目すべき企業の一つだ。

出典:Nature’s Fynd

Foovoの認識では、同社はマイコプロテインを使用した代替乳製品の分野で、市場投入で最も先行している企業である。Nature’s Fyndは独自の原料「Fy」をブランド化し、ヨーグルトパテアメリカで販売している(現在、クリームチーズは公式サイトでの掲載が終了している)。

パテとヨーグルトを合わせた販売状況 出典:Nature’s Fynd(2025年1月時点の情報)

Nature’s Fyndは昨年、カナダでも認可を取得したが、Foovoの調査ではまだ上市は実現していない。

 

参考記事

Meati Foods’ Mycelium Breakfast Patties Land at Sprouts Farmers Market

Meati expands distribution, anticipates positive gross margins by the year end, says CEO

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Meati Foods

 

関連記事

  1. Vowがシンガポールで培養ウズラ肉の販売認可を取得、今月レストラ…
  2. フィンランド発、Hailiaの挑戦:魚の副産物から人間用のスマー…
  3. 3Dプリンターを活用する上海企業CellXが培養豚肉のサンプルを…
  4. Redefine Meatが3Dプリントされた植物ステーキ肉を欧…
  5. 3Dプリンター肉のSavorEatが代替卵に特化したスタートアッ…
  6. 培養魚を開発するBlueNaluが史上最大の約62億円を調達、パ…
  7. 培養油脂のPeace of Meatと英ENOUGH、マイコプロ…
  8. 「本物のようにほぐれる」ホールカットの代替タラを開発するアイルラ…

おすすめ記事

アレフ・ファームズが培養ステーキ肉「Petit Steak」を発表、年内の販売を計画

イスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズは今月、同社初の製品ブランド「Aleph…

米Matrix F.T.が独自マイクロキャリアで作成した培養鶏肉を発表

培養肉用の足場とマイクロキャリアを開発する米Matrix F.T.(旧称Matr…

牛を使わずに乳タンパク質を開発するイスラエルのRemilkが約139億円を調達

精密発酵によりアニマルフリーな乳製品を開発するイスラエル企業Remilkがシリー…

シェフ・企業・研究者の共創を目指す国際拠点「GIC Tokyo」、東京にオープン

東京建物は、スペインの美食科学アカデミア「バスク・カリナリー・センター(BCC)…

オランダのモサミート、培養脂肪で英国初の承認申請を提出

オランダの培養肉企業Mosa Meat(モサミート)は5月15日、イギリス当局に…

二酸化炭素、電気から乳タンパク質の生成へ|ソーラーフーズの新たな挑戦

フィンランド企業ソーラーフーズ(Solar Foods)は、二酸化炭素、電気、水…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

リアルセミナー@東京のお知らせ【2025/6/18】

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(05/29 15:12時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(05/30 01:07時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,940円(05/30 05:05時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(05/29 21:13時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(05/30 13:17時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(05/30 00:19時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP