オランダの培養肉企業モサミート(Mosa Meat)は今月、スイス連邦食品安全獣医局(FSVO)に培養脂肪の申請書類を提出したことを発表した。
同社は先月、欧州当局に培養牛脂の申請を実施しており、スイス当局への申請は、モサミートにとって欧州における2回目の申請となる。
スイスでの培養肉申請では、2023年7月にイスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズが実施しているが、まだ認可はおりていない。
モサミートは欧州大手の食肉加工企業Bell Food Groupとの協力によりスイスでの申請を実施した。EU、スイス当局への申請書類の提出により、欧州市場での細胞性食品の導入に一歩近づいたことになる。
モサミートは今月、最終的な研究開発を加速させるためにクラウドファンディングを開始した。開始からわずか24分で目標額の150万ユーロ(約2億3400万円)を達成し、本日時点で276万ユーロ(約4億3100万円)を調達している。
スイスとEUの新規食品制度
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出典:Mosa Meat
スイスは、EUで認可された新規食品について、自国での追加承認を不要とする政策を採用している。つまり、EUで培養肉やその他の新規食品が認可されれば、スイスではその製品の追加の承認手続きを経ることなく、市場に流通させることが可能となる。
一方で逆方向の承認は認められていない。スイスでFSVOの許可を取得しても、EU域内で販売するには欧州委員会およびEFSAによる承認プロセスが不可欠となる。
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出典:FSVO Authorisation of novel foods
そのためモサミートがスイスで先に承認を取得したとしても、同時にEUで販売できることにはならない。しかし、スイスとEUは昨年12月、スイスがEFSAを含むEUの関連委員会や作業部会に参加し、新規食品分野の承認プロセスでの協力を強化する新協定に合意した。ロイターの報道によると、今春には交渉が終わる見込みとなる。
こうした動きにより、EU市場での認可取得に向けた道筋が開ける可能性もある。
参考に、現在の培養肉企業による申請状況をまとめた。
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2025年2月8日時点の培養肉申請状況 Foovo作成
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2025年2月8日時点の培養肉申請状況 Foovo作成
※Foovoのインスタグラムでは、これまでの培養肉の認可プロセスをオリジナル図解で紹介している。過去の動向を振り返りたい方はぜひチェックしてみてほしい。
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アイキャッチ画像の出典:Mosa Meat