代替プロテイン

ビヨンドミート、今年半ばまでに中国事業を停止|コスト削減の一手

 

アメリカの大手代替肉企業ビヨンドミートは先月、2025年6月末までに中国での事業を停止すると発表した。同社は、現地の従業員の約95%にあたる約20名を削減する予定で、2025年第2四半期末までに中国での事業を停止する。

この決定は、収益改善に向けた施策の一環とみられる。

2024年の財務報告によると、2024年の売上高は3億2,650万ドル(約491億円)で、前年比4.9%の減少となったものの、収益性は改善の兆しを見せている。

売上総利益は4170万ドル(約62億円)で、売上総利益率12.8%となり、前年のマイナス8,270万ドル(売上総利益率 -24.1%) から大幅に改善した

赤字は続くものの、損失は縮小傾向に

出典:Beyond Meat

2024年の最終的な純損失1億6,030万ドルだったが、2022年の3億6,610万ドル2023年の3億3,810万ドルと比較すると、確実に縮小している。

営業損失も2023年の3億4,190万ドルから1億5,610万ドルへと半減し、営業利益率-99.6%から-47.8%へと改善した。

ビヨンドミートは2025年の目標として売上総利益率を約20%に引き上げ、将来的に30%超を目指すとしている。これを実現するために、さらなるコスト削減と収益性向上が急務となり、その一環として中国事業の停止を決定したと考えられる。

ビヨンドミートは2020年、中国のスターバックスと提携して中国市場に参入した。2021年4月には初の海外工場を中国・上海に開設し、中国市場向けに特別に開発した代替豚ひき肉「Beyond Pork」を展開してきた。スターバックス以外にも、ヤムチャイナが運営するKFC、タコベル、ピザハットなどと提携してきた

ビヨンドミートは中国事業の停止に加えて、北米・EUの非生産部門の従業員を約44名削減する計画も発表した。これは世界の非生産部門従業員の約17%に相当し、コスト最適化の一環とみられる。

拡充する製品ポートフォリオ、菌糸体ステーキ計画も

出典:Beyond Meat

赤字は依然として続いているものの、利益率の改善や損失縮小など、収益構造の立て直しは着実に進んでいる印象がある。こうした中、同社は製品ポートフォリオの拡充に取り組んでいる。

今年2月、最も売れ行きのよい製品の1つである「Beyond Steak(ビヨンド・ステーキ)」のラインナップを拡大し、バーベキュー味チミチュリ味(アルゼンチンで生まれたソース)を追加した。同製品は全米のSprouts Farmers Marketで展開されている。昨年11月には、豆類をベースとした「Beyond Sun Sausage(ビヨンド・サン・ソーセージ)」を全米のホールフーズに導入した

先月にはフランスのレストランで初めて、植物由来の「ビヨンド・ステーキ」を発売

同社はまた、植物由来製品に加えて菌糸体由来ステーキ肉の開発も進めている。

昨年9月、菌糸体由来のホールカット代替ステーキ肉の発売計画を発表した。現時点で同製品の発売はまだ確認されていないが、今後、健康志向のレストランチェーンなどで販売される可能性がある。

 

参考記事

Beyond Meat Cuts Costs and Exits China as Industry Responds to Market Challenges

財務報告:Beyond Meat® Reports Fourth Quarter and Full Year 2024 Financial Results

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Beyond Meat

 

関連記事

  1. 動物油脂のようにふるまう植物油脂を開発するLypid、約4.7億…
  2. 「チキンのテスラ」で知られる植物肉の米SIMULATEが約55億…
  3. イスラエルの培養肉企業MeaTechが世界で初めてNasdaq市…
  4. タバコ植物で成長因子を開発するBioBetterがパイロット工場…
  5. オーストラリアのBoldly Foods、植物性サーモン・マグロ…
  6. タイ食品大手のCPフーズがイスラエルの培養肉企業フューチャーミー…
  7. 世界初の培養サーモン、米国で認可──WildtypeがFDAの「…
  8. 卵黄・卵白に分かれた植物ベースの全卵を開発するFloat Foo…

おすすめ記事

代替ハチミツの米MeliBioが約6.7億円を調達、今春より生産拡大へ

持続可能な「本物のハチミツ」を開発するアメリカのMeliBioが17日、シードラ…

携帯可能なアレルギーセンサーを開発するAllergy Amuletが約4億5000万円を調達

食品のアレルギー物質を調べるポータブルデバイスを開発するAllergy Amul…

カナダのTerra Bioindustries、ビール粕由来のタンパク質でカナダ当局から認可を取得、今年後半に市場投入へ

「Protina」を使用したバーガー試作品(出典:Terra Bioindustries)&nb…

FDA、GOOD Meatの培養鶏肉の安全性を認める Upside Foodsに続き世界で2社目

米イート・ジャストの培養肉部門GOOD Meatは21日、同社の培養鶏肉について…

ソーラーフーズがフィンランドのNasdaq First North Growth Marketに上場

フィンランドのソーラーフーズ(Solar Foods)は今月10日、フィンランド…

米Thrilling Foods、層状の脂肪を含んだビーガンベーコンで特許を取得

アメリカ、ポートランドの代替タンパク質企業Thrilling Foodsは、植物…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

リアルセミナー@東京のお知らせ【2025/6/18】

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(06/18 15:20時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(06/18 01:15時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(06/18 05:15時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(06/18 21:22時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(06/18 13:25時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(06/18 00:28時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP