2024年のフードテックweekで展示されたI-Robo2 Foovo佐藤撮影
フードテック企業TechMagic(テックマジック)が開発した炒め調理ロボット「I-Robo2」のレストランへの導入が進んでいる。
今月1日、一風堂が展開するとんこつラーメン専門店「TOKYO豚骨BASE MADE by一風堂 神田店」に「I-Robo2」が導入された。駅構内の飲食店へ「I-Robo」が導入された初の事例となり、多くの利用客へのリーチが期待される。
炒め調理を自動化する「I-Robo2」

2024年のフードテックweekで展示されたI-Robo2 Foovo佐藤撮影
「I-Robo2」は、テックマジックが開発したフードロボットの1つ。
同社はこれまでに、食器を自動仕分けする「W-Robo」、高い重量精度で惣菜を盛り付ける「M-Robo」、東京駅丸ビルなどに導入されているパスタ自動調理ロボット「P-Robo」、炒め調理を自動化した「I-Robo2」を開発してきた。
「I-Robo2」は、撹拌、加熱、さらには調理後の鍋の洗浄まで、一連の動作を自動化したロボットで、炒飯・野菜炒めなど、熟練の職人のレシピを自動で再現したのが特徴だ。
昨年11月に開催されたフードテックweekでは、実際に作られたチャーハンが来場者に提供され、わずか30秒で洗浄が完了する様子を確認できた。
チャーハンなど炒める作業を伴う中華料理では、重たい中華鍋を持ち、強い火力で調理しなければならない。「I-Robo」導入により、強い火力での過酷な厨房作業が自動化され、労働環境の改善とともに、人手不足の解消にも寄与する。
駅ナカでロボットがチャーハンを炒める日常へ

出典:Techmagic
テックマジックは2023年夏より、第一世代「I-Robo」の試験導入を開始した。2024年5月にサイズをさらにコンパクトにし、タッチパネルの操作性や洗浄性を向上した「I-Robo2」を発表。
「I-Robo2」は昨年9月に餃子専門店の大阪王将(鷺沼駅前通り店)への導入を皮切りに、レストランへの導入が加速している。
昨年10月には東京・神保町の大阪王将店にも導入された。ここはオープンキッチンスタイルの店舗で、厨房の中央に「I-Robo2」が配置され、客席から実際に稼働している様子が見えるようになっている。

神保町の大阪王将店 出典:TechMagic
大阪王将では調理のクオリティと速さを1級から3級までの3つのレベルで審査する調理検定制度がある。「I-Robo」の導入では、全国で17名(2024年10月時点)しかいない調理1級の熟練職人の鍋さばきを半年間にわたり研究し、加熱温度、時間、鍋の回転速度、回転方法などを完全にコピーしたという。
今年2月には東京の「一風堂 豊洲店」、3月には「一風堂 南町田グランベリーパーク店」に「I-Robo2」を導入。これらの店舗では「博多チャーハン」を調理している。
今回の神田店への導入は、神田駅駅構内(南改札外)への設置で、ビジネス層を中心とした多くの利用客にリーチすることが期待される。神田店での導入が功を奏せば、他の駅でも、駅ナカ飲食店への導入が進む可能性がある。
人とロボット、それぞれの強みが生きる現場へ

調理中 Foovo佐藤撮影
テックマジック代表取締役社長の白木裕士氏はブログ記事の中で、「I-Robo」導入により、研修期間を30日から3日に短縮できたと述べている。これにより、子育て中の主婦、外国人、若い人などが短期間で即戦力として活用できるようになった。
また過酷な厨房作業の自動化により、火傷や腰痛などの健康被害のリスクが軽減され、離職率も低下するという。
実店舗での調理ロボット導入による変化は、ロボットが単純作業や危険作業を担い、人間が創造性や判断力、おもてなしといった付加価値のある業務に専念できる環境が、少しずつ現実のものになりつつあることを示している。
テックマジックの事例は、人間とロボットが互いの強みを生かしながら共に働く「共創」の可能性を、日常の食体験のなかで垣間見せてくれる事例とも言えるだろう。
参考記事(プレスリリース)
3/31 新規オープン「TOKYO豚骨 BASE MADE by 一風堂 神田店」に炒め調理ロボット「I-Robo2」導入
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アイキャッチ画像はFoovo(佐藤)撮影