出典:The Better Meat Co.
マイコプロテインを開発する米The Better Meat Co.は今月、シリーズAラウンドで3100万ドル(約45億円)を調達した。
Vegconomistの報道によると、同社は調達した資金で、マイコプロテイン「Rhiza」の生産をスケールアップし、2026年までに牛ひき肉の現行コストを下回る価格で商用生産を目指すとしている。
これは、代替タンパク質企業への投資が2025年上半期に3億6,410万ドル(約537億円)と、前年同時期と比較して49%減と約半減する中での大型調達となった。
AIに投資が継続的にシフトする厳しい投資環境において、The Better Meat Co.が大型調達に成功した背景には、同社のマイコプロテイン「Rhiza」に対する評価、アメリカ・シンガポールで販売認可を取得していること、さらに大手食肉企業が月間30トンのマイコプロテイン購入で意向表明書(LOI)を締結するなど、食肉メーカーからの関心・需要の高さが可視化されていることが関係していると考えられる。

出典:The Better Meat Co.
The Better Meat Coは、著書『クリーンミート』で知られるPaul Shapiro氏が2018年に立ち上げた米国企業で、現在はマイコプロテイン「Rhiza」の開発に注力している。当初は植物タンパク質を手がけ、同成分はPerdue Farmsの肉製品に増量剤としてスーパーに導入されている。
その後、Neurospora crassa由来の「Rhiza」へ軸足を移し、レストランでの導入や、イスラエルのOshiによる代替サーモンなどに使用が進んでいる。2024年にはアメリカでGRAS認証を、同年シンガポールで販売認可を取得したが、シンガポール現地のレストランでの提供はまだ確認されていない。アメリカではレストランBuddha Belly Burgerで、現在もメニューに「Rhiza」が採用されている。

出典:Buddha Belly Burger(2025年8月26日時点)
提携先には肉缶詰「スパム」で知られるHormel Foods(199 Ventures)やカナダの大手プラントベース企業Maple Leaf Foodsといった大手も名を連ね、食肉メーカーからプラントベース企業まで幅広いパートナーシップを築いてきた。過去にはLinkedIn本社で代替フォアグラを限定提供するなど、実証的な取り組みも行っている。
2021年6月には、アメリカ、ウェストサクラメントに13,000平方フィートの研究開発を行う工場を開設した。生産能力は1ヶ月あたり数千ポンド。
Green queenの報道によると、同施設のバイオリアクターは9,000L規模となり、同社は現在、「Rhiza」の用途として肉以外の用途として、焼き菓子への応用も検討しているという。
米国におけるマイコプロテイン企業の販売認可状況

出典:The Better Meat Co.
Foovoの調査によると、マイコプロテインや菌糸体バイオマスに取り組む企業は世界で55社(2024年6月時点でのFoovo調査)に達し、近年急増している。
※本記事は、海外メディアの報道をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:The Better Meat Co.