代替プロテイン

卵黄・卵白に分かれた植物ベースの全卵を開発するFloat Foodsが約1億8000万円を調達

 

シンガポールを拠点とするフードテック企業Float Foodsが、シードラウンドで220万シンガポールドル(約1億8000万円)を調達した。

Float Foodsは植物ベースの代替卵を開発しているが、競合他社の多くが液体卵を開発するのと異なり、卵黄・卵白に分かれた全卵タイプの代替卵を開発している。

写真では本物と見分けがつかない植物卵OnlyEgは豆果(マメ科植物のこと)を原料に作られる。

プレスリリースによると、OnlyEgは鶏卵に匹敵するタンパク質、ビタミンを含む

OnlyEg(上)と本物の鶏卵(下) 出典:Float Foods

市場にある植物卵は、卵黄と卵白が混合された液体卵が多く、スクランブルエッグ、オムレツ、ケーキなど調理法が限られる。

これに対し、OnlyEgが市販化されると、調理過程で卵黄と卵白を維持しなければならない半熟ゆで卵目玉焼きなどの料理が可能となり、料理のアプリケーションが広がる。

Float Foodsは今年3月にシンガポールの政府系投資会社テマセクから助成金を受けた(金額は非公開)。

今回のラウンドは、DSG Consumer PartnersInsignia Venturesが主導し、女性創業者によるスタートアップを支援するベンチャーキャピタルTeja VenturesApricot CapitalBaksh CapitalAgrocorp VenturesWater Tiger InvestmentsEbb & Flow、シンガポール政府が支援するフードテックインキュベーターInnovate360が参加した。

Float Foodsは調達した資金で、研究開発と商品化の加速を図る。

OnlyEgはまだ市販化されておらず、Float Foodsは現在、栄養面の強化、保存期間の延長に取り組んでいる。

2022年にシンガポールで販売される予定

Float FoodsはOnlyEgのほかに、植物卵を使ったパテやシュレッドタイプなどほかの製品開発にも取り組んでいる。これらの製品は今年後半にB2Bで販売されるとしている。

出典:Float Foods

海外メディアgreen queenによると、Float Foodsはシンガポールを皮切りに中国、インド、インドネシアなどの主要市場を狙う。

最近のレポートによると、世界の卵市場は2020年の2131億ドルから2021年には2273億ドルになると予測される。

2025年には2974億ドルにまで成長し、7%の年平均成長率で成長することが予測される。

拡大の一途をたどる卵市場を破壊するために、すでに何社かのスタートアップが登場している。

最も有名なのがアメリカのイート・ジャストで、これまでに鶏卵1億個分に相当する代替卵を販売している。同社は中国で代替卵を販売しているほか、シンガポールでは生産工場の建設を進めている。植物卵に加えて、培養肉でも世界をリードするグローバル企業といえる。

このほか、インドのEvo Foodsは液体卵、シンガポールのOsomeFoodはゆで卵、フランスのLes MerveilloeufsはFloat Foodsのように卵黄・卵白に分かれた全卵を開発している。

 

参考記事

Float Foods Closes US$1.6M Seed Round To Disrupt Alt Protein Market With Plant-Based Whole Egg Substitute

BREAKING: Plant-based ‘whole egg’ startup Float Foods scores seed funding from VCs, corporates

Float Foods Secures $2.2M for Alternative Whole Egg Product

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Float Foods

 

関連記事

  1. 二酸化炭素からタンパク質を作る米NovoNutrientsが約2…
  2. ソーラーフーズが約13億円を調達、来年前半に商用工場Factor…
  3. 韓国企業Zikooinは廃棄される穀物を使って代替肉Unlime…
  4. ドイツの培養脂肪Cultimate Foodsが約1億円を調達、…
  5. 中国代替肉企業Hey MaetがプレシリーズAで数百万ドルを資金…
  6. 植物性代替肉SavorEatがイスラエルでIPO(上場)、202…
  7. 韓国の培養肉スタートアップSpace Fらが政府から助成金を獲得…
  8. ソーラーフーズ、シンガポールでソレインの販売認可を取得

おすすめ記事

ゲイツ氏、ベゾス氏が支援するNature’s Fynd、発酵タンパク質を使った新商品を発表

微生物発酵で代替タンパク質を開発する米Nature’s Fyndが、最初の商品を…

フランスのピザロボットレストランPazziが操業停止

フランス、パリに設置されていたピザロボットレストランPazziが操業を停止した。…

チーズ大手のBelグループ、米Superbrewed Foodとバイオマス発酵由来の代替チーズ製品の開発で提携

世界的なチーズブランドBabybel、Laughing Cow、Boursinで…

米スーパー大手クローガーがドローンによる食料品配達を正式に実施

アメリカのスーパーマーケット大手クローガーは6月に、ドローンを使った食料品配達を…

ひよこ豆タンパク質粉末を開発するChickPが約9億円を調達

ひよこ豆を原料にタンパク質粉末の開発に注力するイスラエル企業ChickPが、シリ…

オランダ、培養肉の承認前試食の実施を認める 年内に試食会実施へ

オランダ政府は今月5日、限られた条件下において、培養肉・培養シーフードの試食がま…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoセミナー開催のお知らせ

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(01/18 14:27時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(01/18 00:10時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(01/18 03:58時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(01/17 20:26時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(01/18 12:39時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(01/17 23:23時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP