代替プロテイン

ビヨンドミートが代替鶏肉ビヨンドチキンテンダーを北米で発売

 

ビヨンドミートが北米で代替鶏肉商品を発売した。

そら豆・えんどう豆を原料にした代替鶏肉・ビヨンドチキンテンダーは、今月から400店舗を超えるアメリカ・カナダのレストランで販売される。

1食あたりタンパク質を14g含み、既存の代替チキンと比べて飽和脂肪酸は40%少ない。遺伝子組換え成分、抗生物質、ホルモン剤を使用せず、コレステロールフリーな商品となる。

出典:ビヨンドミート

ビヨンドミートといえば、ハンバーガーの「ビヨンドバーガー」でおなじみだが、2009年に設立された同社が最初に開発した商品は代替鶏肉(チキンストリップ)だった。

2012年に販売された代替チキンストリップは、翌年にはホールフーズに導入され、ビル・ゲイツ氏など著名人からの支持を受けるまでに注目を集める。

しかし、一般の人々の反応はいまひとつだったため、ビヨンドミートは2019年に生産を中止した

ビヨンドミートの代替チキンが外食産業に導入されるのは、今回が初めてではない。

ビヨンドミートは2019年にカナダ、アトランタのケンタッキーフライドチキン(KFC)と提携して、1日限定でビヨンドフライドチキンを発売した。

この試験販売では2種類(ナゲットと骨なし手羽先)が提供され、5時間かからずに売り切れとなった(下記写真)。試験販売の成功により、KFCは2020年2月にも複数店舗で期間限定でのビヨンドフライドチキンの導入を実施している。

アトランタKFCで列に並ぶ人たち 出典:ビヨンドミート

新商品であるビヨンドチキンテンダーは、2021年のNational Restaurant Association Show食品・飲料賞を受賞している。受賞時には、「消費者が試食したところ、ビヨンドチキンテンダーは、主要な動物ベースの鶏肉ささみと同様に好まれた」とコメントされている(太字はライター)。

競合のインポッシブルフーズより早くに上場を果たした同社の商品は、アメリカでは28,000箇所以上の小売で販売されており、アメリカの「プラントベース肉」として主要ブランドの地位を確立している。

この中には、ウォルマート、クローガー、コストコといった大手小売チェーン店が含まれる。

アメリカの外食産業39,000箇所にも導入されるほか、販売範囲は世界80カ国に広がり、名実ともに代替肉のグローバル企業に成長している。

出典:ビヨンドミート

2020年以降、コロナウイルスで飲食業界が打撃を受ける中、ビヨンドミートは躍進をつづけた。

新商品を次々とリリース、D2Cサイトをオープン、全米のピザハットでビヨンドの代替肉がメニュー導入に加え、中国では新作・豚ひき肉を上海のレストランで期間限定で提供した。

今年になってからは、マクドナルド、ヤム・ブランズペプシコなど大手との提携を相次いで発表。

4月には中国現地の工場を開設し、巨大な代替肉市場である中国に本上陸を果たす。ヨーロッパでの展開も加速しており、年内にはオランダに自社工場が開設する予定

商品の改良も続け、5月には新しいビヨンドバーガーを発売、年内にはさらに飽和脂肪酸をカットしたバージョンをリリースするとしている。

新商品ビヨンドチキンテンダーは消費者にどのような評価を受けるだろうか?今後の展開が注目される。

 

参考記事

Vegan Beyond Meat Chicken Tenders Are Coming to 400 Restaurants

Beyond Meat Launches Vegan Chicken Tenders at 400 Restaurants in North America

 

おすすめ記事

アイキャッチ画像の出典:ビヨンドミート

 

関連記事

  1. 銀行による資金回収で窮地:菌糸体代替肉の代表企業Meati、40…
  2. ネスレがヴィーガンキットカットの販売を欧州で開始!
  3. イリノイ州が精密発酵の推進に向けて、iFAB Tech Hubに…
  4. 米イート・ジャスト、新しい培養鶏肉製品で再びシンガポール当局の販…
  5. ベルギー企業Bolder Foodsが菌糸体由来のチーズ試作品を…
  6. 代替肉の米インポッシブルフーズが約560億円を調達、調達総額は2…
  7. 廃棄大麦から代替タンパク質を開発するEverGrain|世界最大…
  8. ネスレがFuture Meatと協業して培養肉参入に向けて準備

おすすめ記事

精密発酵プラットフォームの提供を目指すFermify、カゼインサンプルの提供を開始

食品メーカー向けに精密発酵カゼインのプラットフォームの提供を目指すオーストリア企…

培養フォアグラを開発する仏Gourmey、EUで初めて培養肉の承認申請を提出

2024/8/2追記・修正フランスの培養肉企業Gourmeyが今月、EU…

米Liberation Labs、アメリカで精密発酵工場の建設を開始

米Liberation Labsは先月、アメリカ、インディアナ州リッチモンドで専…

タイソンが出資するNew Wave Foodsが代替エビをアメリカの飲食店で発売

アメリカのスタートアップ企業New Wave Foodsは、アメリカの飲食店で植…

米Pairwise、CRISPR技術により世界初の種なしブラックベリーの開発に成功

ゲノム編集技術を活用して農産物を開発する米Pairwise(ペアワイズ)は今月、…

スペイン政府がBioTech Foodsの主導する培養肉プロジェクトに約6億5千万円を出資

スペインの培養肉スタートアップBioTech Foodsはスペイン政府から520…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(05/08 15:05時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(05/09 00:56時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(05/09 04:56時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(05/08 21:05時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(05/08 13:11時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(05/09 00:11時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP