代替プロテイン

パーフェクトデイが約390億円を調達、今秋にアニマルフリーなクリームチーズを発売

 

アニマルフリーな乳製品を開発する米パーフェクトデイがシリーズDラウンドで3億5000万ドル(約390億円)を調達した。

同社は精密発酵によりアニマルフリーな乳成分を市販化している唯一の企業。今年後半には同社の乳タンパク質を使ったクリームチーズが発売されることも発表された。

このラウンドはシンガポールの政府系投資会社テマセクCPP Investment(カナダ年金制度投資委員会)が主導し、Horizons VenturesBob IgerSK Incが参加した。この調達により、パーフェクトデイの調達総額は7億5000万ドル(約837億円)となる。

動物を使わずに乳製品を作るパーフェクトデイ

出典:パーフェクトデイ

パーフェクトデイは、牛と同じ乳タンパク質を生成するようプログラムされた微生物を使用し、発酵タンクの中で乳タンパク質を生成させる。

精密発酵により、動物を使わずに目的のタンパク質を開発する企業は急増えているが、パーフェクトデイは精密発酵による代替タンパク質を市販化している唯一の企業となる。

「私たちがこれを開始したのは8年前のことで、動物を使わずに乳製品を生産する方法を創るというシンプルな目標がありました。

そして、すぐにわかったのです。わたしたちの技術とノウハウをサプライチェーン全体に適用すれば、地球と世界の食料システムに与えるプラスの影響を最大化できることに」(パーフェクトデイの共同創業者・CEOのRyan Pandya氏)

出典:パーフェクトデイ

2019年にはThe Urgent Companyを通じてアイスクリームブランド「BraveRobot」を発売した。すでにクローガー、スプラウツ(Sprouts)、Stop&Shopなどアメリカの5000箇所を超える食料品店で販売されている。

2つ目のブランド:クリームチーズ「Modern Kitchen」がデビュー

出典:Modern Kitchen/The Urgent Company

The Urgent Companyは先月、新ブランドとなるクリームチーズ、「Modern Kitchen」を発売することを発表。これはThe Urgent Companyの2つ目の商品となる。

パーフェクトデイが開発したアニマルフリーな乳成分を使用しており、精密発酵を活用した新たな乳製品が今秋に市場に登場することとなる。パーフェクトデイの直接の商品とはならないが、商品にはパーフェクトデイのロゴと、動物を使用していない旨が明記されている。

正式発売に先立ち、先週末にベーグルショップのBrooklyn Bagelfestでアニマルフリーなクリームチーズ「Modern Kitchen」が先行デビューした。

パーフェクトデイの乳成分を使ったクリームチーズ 出典:Brooklyn Bagelfest

「Modern Kitchen」の公式ECサイトでも予約注文の受付をスタートしている。

「何年も、アニマルフリーなクリームチーズを夢見てきました。そしてついに、従来のクリームチーズを素晴らしいものにしている風味、食感のカギを手にいれました。

パーフェクトデイの商品を心待ちにしていた消費者にModern Kitchenを届けることができることに興奮しています」(Ryan Pandya氏)

微生物発酵による代替タンパク質の開発が加速

この2年、発酵タンパク質企業が増えている 出典:GFI

微生物発酵による代替タンパク質の開発が盛り上がりを見せている。昨今の特徴として、開発フェーズから市販化フェーズへの移行と資金調達があげられる。

熱水泉に生息する極限環境微生物を使用して代替タンパク質Fyを開発するNature’s Fyndは、Fyを使ったクリームチーズ、パテを先月発売した。7月には約385億円という巨額の資金調達を実施し、来年にはアジア進出を目指している。

MeliBioはミツバチを使わない世界初の代替ハチミツを発表、早ければ年内に商品を出荷する。ドイツのQOAはカカオを使わないチョコレートを開発。

着色料を開発するデンマークのChromologics、コラーゲンを開発するアメリカのGeltor、代替母乳を開発するHelainaなど、精密発酵の開発対象は乳製品からハチミツ、チョコレート、コラーゲン、着色料、母乳へと広がりを見せている。

 

参考記事

Perfect Day Raises $350 Million to Expand Consumer and Enterprise Biology Platforms

The Urgent Company Brings Second Brand to Market: Animal-Free Cream Cheese from Modern Kitchen

Perfect Day raises $350M and announces animal-free cream cheese

関連記事

  1. 代替母乳を開発するTurtleTreeがシリーズAで約34億円を…
  2. Those Vegan Cowboysが精密発酵で作成されたチー…
  3. 精密発酵カゼインを開発するThose Vegan Cowboys…
  4. Yali Bioが精密発酵ココアバターの試作品を発表|参入を目指…
  5. NoMy Japan、日本甜菜製糖などから約2億円を調達|てん菜…
  6. 米MycoTechnologyが約105億円を調達、菌糸体発酵プ…
  7. 細胞農業によるキャビア製造でGeneus Biotechがヴァー…
  8. 菌糸体ベーコンを開発するAtlast Foodが社名をMyFor…

おすすめ記事

オーストラリアのBoldly Foods、植物性サーモン・マグロを米国で供給開始

オーストラリア、シドニーを拠点とするBoldly Foodsは今年夏、アメリカの…

植物を活用してアニマルフリーな乳製品を開発するMirukuが約3.2億円を調達

植物を使って乳タンパクを開発するニュージーランドのMirukuは、シードラウンド…

Perfat Technologiesによる「次世代オレオゲル」を活用した構造を調整可能な植物性脂肪|創業者インタビュー

培養肉、植物肉、微生物由来のタンパク質など、代替タンパク質の開発に注目が集まる一…

シンガポール初のエスカルゴ養殖企業WholeSnail、シードラウンドで資金調達

商業用カタツムリ養殖場を運営するシンガポールのスタートアップ企業WholeSna…

じゃがいもを原料に代替チーズソースを開発したLoca Foodとは

現在、プラントベースの代替チーズの原料は、カシュー、アーモンド、ココナッツ、大豆…

植物性チーズの米Climax FoodsがBettani Farmsに社名変更、約9.8億円を調達ーピザ市場で“オーツミルクの再現”を狙う

出典:Bettani Farms動物に依存せず、アレルゲンフリーな代替チーズを開発する米Clim…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/25 16:10時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/26 02:42時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/26 06:17時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/25 22:09時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(10/25 14:10時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(10/26 01:28時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP