接客ロボットと人工知能を活用したソリューション領域での先駆者であるBear Robotics(ベア・ロボティクス)は、シリーズBで8100万ドル(約100億円)の資金調達を発表した。
今回の出資は韓国の投資機関であるIMMが主導して行い、Cleveland AvenueやLLCなどからの出資がなされた。現在まででBear Roboticsは1億1700万ドル(約143億円)を調達しており、うち3200万ドル(約40億円)はSoftbankから2020年1月に出資されている。
オールインワン完全自律型モバイルロボット「Servi」
シリコンバレーに本社を置き、飲食業界にルーツをもつBear Roboticsは、主力商品であるオールインワンの完全自律型モバイルロボットServiを開発した。Serviは、ドリンクや料理の配膳から片付けまで、接客スタッフが行う日常の繰り返し作業に対応している。
「自分のレストランを何年も前に始めて、それがいかに難しいかを直接学んだ」とBearRoboticsのCEO兼創設者であるJohn Ha氏は述べる。
「レストランのすばらしさを損なうことなく、それらの繰り返し作業を自動化する方法が必要だと思いServiを作った。これは顧客と従業員、経営者の体験を向上させることを目的としている。他社が作業を完全に自動化しようと試みているのに対し、我々は業界のすべての利害関係者のために未来の仕事を向上させることを目指している」という。
今回調達した資金で、接客の自動化に対する高まるニーズへ対応するために新商品を追加し、他業界へのリーチを拡大するための取り組みを加速していく。また、才能のある人材の確保にも力を入れる予定である。
既に行った配膳は約53万km・2800万回以上
Serviは今まで、33.5万マイル(約53万km)以上の距離を移動し、2800万回以上の配膳を行った。Bear RoboticsはカジュアルレストランのChili’sとパートナーシップを組み、同社のロボットを従業員や顧客に向けて提供している。今後はさらに全米に展開していく予定だという。
アメリカ国内ではコンパスグループやデニーズ、マリオット、ペプシと連携をしており、日本でのソフトバンクや韓国でのKTとの連携は、海外での進展を加速させている。
NSF認証を受けた最初のフードロボット
Serviは、衛生面や安全面、コンプライアンスの面での品質を保証する「NSF認証」を受けた最初のフードロボットとなる。
レストランが保健所から審査を受ける際、NSF認証を受けていないフードロボットを導入していると機器の停止または休業を要求される恐れがあるため、導入するロボットがNSF認証を受けていることはレストランにとって重要な事項となる。
日本でも配膳ロボットが浸透している
日本でも配膳ロボットの開発・導入が促進されている。
日本システムプロジェクトが提供しているフロアーロボットPEANUTは大手レストランの幸楽苑やはなの舞などで導入が進んでおり、Serviも日本ではソフトバンクが提供しており、焼肉キングやサイゼリヤ、デニーズなど大手レストランで導入実績がある。
労働時間が長くなりがちな飲食店や接客業も、今回のようなロボットで労働環境が改善されていくことが期待される。
参考記事
Bear Robotics Raises $81M Series B to Scale Up Mobile Robots in the Hospitality Market
The Road to Success is Paved in Solutions
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アイキャッチ画像の出典:Bear Robotics