Foovo Deep

牛に頼らず酵母で乳タンパク質を再現するフランス企業Bon Vivant

 

フランス、リヨンを拠点とするスタートアップ企業Bon Vivant(ボン・ビバント)は、アニマルフリーな乳タンパク質の欧州市場投入に向けて取り組んでいる。

Bon Vivantは、オーツ麦、大豆、アーモンドなどの植物成分を使わずに、本物の乳タンパク質を再現する手法をメーカーに提供するB2Bサプライヤーになることを目指している。

酵母を活用して乳タンパク質を生産

イメージ画像

Bon Vivantは、乳タンパク質を生産するために、ワインやビール業界と同様に酵母を使用する。

同社は、酵母に牛のDNAを組み込み、植物成分の培養培地で培養して発酵させる。次いで、培地をろ過し、酵母からタンパク質を分離する。これにより牛が生産するものと100%同等で、乳糖、コレステロール、抗生物質を含まない、環境負荷のはるかに少ない純粋な乳タンパク質が得られる。

Bon Vivantのように、遺伝子組換えした微生物を活用して動物由来と同じタンパク質を生成する精密発酵技術は、海外の乳製品の代替品開発で急速に導入されている。

欧州の精密発酵、米・イスラエルに続き加熱

出典:Formo

精密発酵で代替乳製品を開発する動きはアメリカ、イスラエルに集中しており、アメリカ・パーフェクトデイの約390億円、イスラエル・Remilkの約139億円など1回の投資額も大きく、この2国の開発・投資状況は他国に比較して特に活発といえる。

しかし最近では、Better DairyOnego BioProProteinFormoMightyなど欧州発のスタートアッ企業も増えており、米・イスラエルに開発で遅れを取っている状況に変化が生じ始めている。

2021年に設立されたBon Vivantは、High Flyers CapitalKima VenturesFounders FuturePicus Capitalからすでに400万ユーロ(約5億4000万円)の資金を調達している。次のステップとしてシリーズAラウンドでの資金調達を計画しており、8桁(1千万ユーロ以上)の調達を目指しているという。

精密発酵で生成される乳タンパク質は、土地利用率・水消費量が畜産より少なく、排出される温室効果ガスが少ないほか、工場で生産されるため天候の影響を受けないなど、さまざまなメリットがある。

しかし、ラボスケールから工業スケールへ移行するためには産業用設備など機器への投資が必要となる。共同創業者のStéphane MacMillan氏は「私たちは非常に資本集約的なセクターにいる」とコメントし、資金投入の必要性を強調している。

ダノンも精密発酵技術を導入か

イメージ画像

Bon Vivantは最初の乳タンパク質の生産にすでに成功している。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像はイメージ

 

関連記事

  1. マイコプロテインから飼料、燃料まで|東京理科大発MycoGeno…
  2. Moolec Science、豚タンパク質を作る大豆「Piggy…
  3. ユニリーバ傘下の代替肉ブランドThe Vegetarian Bu…
  4. 国際イスラーム法学アカデミー、第26回総会で「培養肉は条件付きで…
  5. Belグループ、精密発酵クリームチーズ「Nurishh」の販売を…
  6. 食品廃棄物を活用してマイコプロテイン由来の代替肉を開発するMyc…
  7. FDA、GOOD Meatの培養鶏肉の安全性を認める Upsid…
  8. 米国IPOを目指すMeat-Techが3Dプリンターで10mmの…

おすすめ記事

オレオゲルで植物肉用の代替脂肪を開発するParagon Pureが約5.5億円を調達

アメリカ、ニュージャージー州を拠点とするParagon Pureは植物肉の味・風…

北里大学、ニホンウナギの筋芽細胞株の樹立に成功|持続可能なウナギ供給に向けた重要な一歩

2024年10月15日 査読情報に掲載された旨を追記北里大学海洋生命科学…

Steakholder Foodsが台湾進出に向け、台湾の工業技術研究院と提携

独自の3Dプリンターで植物由来や細胞由来の代替肉・代替魚を開発するイスラエル企業…

ドイツのFormo、欧州投資銀行から約56億円を調達-麹菌由来チーズと精密発酵カゼインの強化へ

微生物発酵による代替チーズを開発するドイツ企業Formoは、欧州投資銀行(Eur…

米Upside Foodsが新たに培養鶏ひき肉製品を発表

カリフォルニア州を拠点とするUpside Foodsは、新たな製品として培養鶏ひ…

ロボットハンバーガー店のCreatorがリニューアル、「パーソナライズ化」を導入

2018年にサンフランシスコにオープンし、話題となったロボットレストランCrea…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(12/01 16:20時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(12/01 03:00時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(12/01 06:34時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(12/01 22:21時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(12/01 14:20時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(12/02 01:39時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP