Foovo Deep

米Jellatech、細胞培養によるⅠ型コラーゲンの生産に成功|動物を犠牲にしない「本物のコラーゲン」

 

アメリカ、ノースカロライナ州を拠点とするJellatechは、独自の細胞株の培養により、三重らせんで機能的な全長コラーゲンの生産に成功したことを発表した

2020年に設立されたJellatechは、2年間で細胞培養によるコラーゲン生産に成功したことになる。今後はパイロットスケールへの移行を目指していく。

動物を犠牲にしない「本物のコラーゲン」で代替を目指すJellatech

出典:Jellatech

現在流通しているコラーゲンの主な原料は牛、豚、家禽、海洋生物だが、牛由来のコラーゲンが38%と割合が多い。コラーゲンは、食肉処理場で発生する副産物を原料に作られており、家畜や水産資源がコラーゲンの原料供給を支えていることになる。

持続可能性とサプライチェーンの課題に対する解決策が望まれる現在、多くの企業がコラーゲンの新たな供給源を求めており、Jellatechは自社製品がその答えになると考えている。

Geltorなどが、プログラムされた微生物を「ミニ工場」と活用する精密発酵でコラーゲンを生成するのに対し、Jellatechは牛や豚の細胞を培養して増殖させ、これらの細胞にコラーゲンを生成させている。


この点についてJellatechは、「発酵や植物由来コラーゲンの場合、動物由来のコラーゲンと生物学的に同一ではないため、同じ機能を提供できず、用途は制限される」と細胞培養の優位性を指摘している

Jellatech主任研究員のChristopher Gilchrist氏は「コラーゲンの形成は複雑なプロセスであり、哺乳類細胞にのみ見られる特殊な仕組みが必要になります。私たちは、これらの細胞の本来の力を利用して、持続可能でアニマルフリーな方法で、天然コラーゲンと生物学的に同等なコラーゲンを生成しています」とコメントしている

同社が開発するのは皮膚に最も豊富にみられるⅠ型コラーゲンで、最初のサンプルを潜在クライアントに出荷しているという。

バッチ生産から連続生産を目指す

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Jellatech

 

関連記事

  1. 中国初の培養肉・微生物タンパク質センターが北京に誕生-未来食品の…
  2. 代替脂肪としてのオレオゲルの食品応用における課題と認可の事例|F…
  3. 植物食品のゲームチェンジ:Motif FoodWorksが植物性…
  4. 植物から短鎖状の食物繊維を取り出す米One Bioが約42億円を…
  5. オレオゲルで植物肉用の代替脂肪を開発するParagon Pure…
  6. イスラエルのSteakholder Foods、3Dプリンターで…
  7. Novameatがスペイン政府から約3100万円を調達、世界トッ…
  8. イスラエル発のChunk Foods、代替ステーキ肉で米国小売市…

おすすめ記事

チョコレート大手のマース、精密発酵由来の乳タンパク質を使ったチョコレート製品を発売

米チョコレート大手のマースは16日、精密発酵で開発されたアニマルフリーな乳タンパ…

フィンランド発、Hailiaの挑戦:魚の副産物から人間用のスマートシーフード製品の創出

十分に活用しきれていなかった魚の副産物をヒト向けのシーフード製品にアップサイクル…

二酸化炭素と水からウォッカを開発する米スタートアップAir Companyとは

ニューヨークを拠点とするスタートアップ企業Air Companyは、大気中の二酸…

グリラス、国産食用コオロギを使用したプロテインバー等をコンビニで販売開始

日本の徳島大学発ベンチャー企業であるグリラスが、国産の食用コオロギを使用した自社…

Sophie’s BioNutrientsがクロレラ由来の乳白色アイスクリームを開発

シンガポール、オランダを拠点とする微細藻類タンパク質のB2B企業Sophie's…

黄エンドウ豆から代替チーズを開発する英スタートアップ、英政府系機関から助成金を獲得

ノッティンガム大学のスピンオフベンチャーであるThe Good Pulse Co…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(05/08 15:05時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(05/09 00:56時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(05/09 04:56時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(05/08 21:05時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(05/08 13:11時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(05/09 00:11時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP