代替プロテイン

Meweryが微細藻類を活用した最初の培養肉プロトタイプを発表

 

チェコの培養肉企業Meweryは、培養豚肉細胞と微細藻類をブレンドした培養肉のプロトタイプを発表した。

2020年に設立されたMeweryは、微細藻類をベースに培養豚肉を開発する欧州初の企業とされる。同社はフードテックに焦点をあてるベンチャーキャピタルBig Idea Venturesが組成したファンド「New Protein Fund」のポートフォリオ企業であり、昨年にはCredo VenturesPurple Venturesから出資を受けている。

Meweryは昨年10月、ウシ胎児血清(FBS)を使用せずに哺乳類細胞を培養する微細藻類由来の無血清培地を開発したことを発表した。今回のプロトタイプ発表はこれに続くニュースとなる。

Meweryが微細藻類を活用した培養肉プロトタイプを発表

出典:Mewery

Meweryは独自の技術により、培養肉業界のスケールアップと加速に対する障壁をなくすことを目指している。同社は倫理的・コスト的に課題となるFBSを使用せず、微細藻類を用いた無血清培地を使用することを設立当初から目標としてきた。

Green queenの報道によると、Meweryの培養豚肉は、75%の豚肉細胞と25%の微細藻類から構成され、市場向けサイズになるまでの生産時間は10週間だという。

微細藻類は、培養肉開発におけるFBSを代替し、コスト削減に寄与するため、Meweryの培養肉開発で重要な役割を果たしている。同社によると、Meweryの無血清培地を使用した豚肉の培養では、FBSを使用した場合と比較してコストを70%削減できるという。

「私たちの微細藻類由来の培地はFBSフリーです。これは私たちが最初に設定した目標でした。つまり、動物製品を使用しない培地であり、これは動物の死を伴わない肉を意味します。

FBSではなく私たち独自の培地を使用して、哺乳類細胞が成長を続けることが可能であることが実際に確認されました。また、これまでの培養方法と比較して、コストを70%削減できました(創業者のRoman Lauš氏)

培養肉に微細藻類を活用する試み

出典:Mewery

Meweryは豚肉に焦点をあてる理由として、豚肉は世界で2番目に消費されている肉であり、欧州、ロシア、中国などで特に消費量が多いことを理由に挙げている

同社は今後2年で培養肉製品の上市を目指している。

これまでに培養肉を唯一上市しているアメリカのイート・ジャストは、2020年12月にシンガポールで培養肉を販売し、先月には無血清培地の使用許可をシンガポール食品庁から取得した。アメリカではUpside Foodsが昨年、FDAから安全性について「質問なし」のレターを受領し、アメリカでの培養肉上市に期待感が強まっている。

Meweryのように培養肉の生産プロセスからFBSを外す試みは増えており、モサミートGOOD MeatUpside Foodsなどさまざまな企業が成果を報告している。

微細藻類を活用するMeweryに似た取り組みとしては、韓国のSeaWithを挙げることができる。同社は培養牛ステーキ肉の開発のため、微細藻類から独自の培地を開発しており、昨年2月、生産施設建設に向けてシリーズAラウンドで543万ドル(約6億9000万円)を調達した

また、イスラエルのYemojaが開発する微細藻類由来の「Ounje」は、ヘムのほか培地として活用できる可能性があるという。

 

参考記事

Eastern Europe’s First Cultivated Meat Makes the Case for Microalgae Cells

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Mewery

 

関連記事

  1. 代替卵イート・ジャストが欧州進出へ向けて加速、EUの承認待ち
  2. 【現地レポ】Perfect Dayの精密発酵乳タンパク質を使用し…
  3. イスラエルのWanda Fish、初となる培養マグロの試作品を発…
  4. イリノイ州が精密発酵の推進に向けて、iFAB Tech Hubに…
  5. ドイツ大手小売業者REWE、同社初のビーガン専門スーパーを開設
  6. 他社の発酵製品の市場投入を早めるSolar Biotechが約2…
  7. ImpacFatが世界で初めて培養魚脂肪の試食会を実施
  8. アレフ・ファームズ、タイで培養肉の承認申請を初提出|世界の申請・…

おすすめ記事

DAIZが海外進出を本格化、タイの植物肉企業へミラクルミートの提供を開始

熊本を拠点とする植物肉スタートアップのDAIZが海外進出を本格化する。D…

インポッシブルフーズがオーストラリア・ニュージーランド進出へ向け準備

代表的な米代替肉企業インポッシブルフーズが1年以内に株式上場すると言われるなか、…

チェコのBene Meat Technologies、培養ペットフードで欧州当局に登録

2025年4月11日 更新当初、販売認可と記載していましたが、その後の報道で市販前承認を必要…

【現地レポ】Perfect Dayの精密発酵乳タンパク質を使用したミルクを試食@シンガポール|精密発酵ミルクの現在地を確認

精密発酵技術で生成された食品がアメリカ、シンガポールなどで販売されている。…

乳業大手フォンテラ、精密発酵・バイオマス発酵企業2社と提携(Nourish Ingredients・SuperBrewed Food)|排出量削減に向けた新たな一歩

ニュージーランドの大手乳業会社フォンテラが環境負荷の軽減に向けた取り組みを強化し…

培養肉企業モサミートがシリーズBを約89億円でクローズ

オランダの培養肉スタートアップ企業モサミート(Mosa Meat)が新たに100…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(04/15 15:00時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(04/16 00:46時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/16 04:45時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(04/15 21:00時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(04/15 13:04時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(04/16 00:01時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP