代替プロテイン

Remilkの精密発酵乳タンパク質がシンガポール当局の認可を取得

 

イスラエルの精密発酵企業Remilkは23日、シンガポール食品庁(SFA)から販売認可を取得したことを発表した同社はシンガポールでの認可取得と共に、アメリカ食品医薬品局(FDA)から「異議なし」のレター(No questions letter)を受け取ったことも発表した。

シンガポールでの認可取得により、Remilkはシンガポール国内で精密発酵により生成された乳タンパク質を販売できるようになる。

Remilkは昨年6月、FDAの要求事項に準拠してGRAS自己認証を取得し、アメリカでタンパク質の販売ができるようになった。FDAによる「異議なし」のレターは、Remilkのアニマルフリーなホエイタンパク質がGRAS基準の下、食品に安全に使用できるという専門家パネルによる全会一致の結論をFDAが受け入れたことを示している。

つまりFDAが、Remilkの精密発酵によるホエイタンパク質の安全性をさらに認めたこととなる。

出典:Remilk

Remilkのホエイタンパク質は、牛由来のホエイタンパク質と同等でありながら、動物細胞を使用せず、微生物を「生産工場」とする精密発酵で生成されている。

植物由来の代替乳製品と違い、精密発酵によるタンパク質は従来の動物由来のものと生物学的に同等でありながら、環境に与える影響の少なさから持続可能なタンパク質源として注目されている。

代表企業とされる米パーフェクトデイの乳タンパク質は、アイスクリーム、クリームチーズ、プロテイン粉末、ミルクなどで製品化されており、アメリカ、香港、シンガポールで販売されている。

出典:General Mills

Remilkについては、食品大手General Millsが今年1月、Remilkの乳タンパク質を使用したクリームチーズ「Bold Cultr」の販売を開始した。

しかし、General MillsのコーポレートベンチャースタジオG-Worksが「Bold Cultr」に対する資金提供の優先度を下げる決定を下したため、「Bold Cultr」は今月で終了することとなった

Remilkの乳タンパク質を使用した最初の製品がクローズされたことはRemilkにとって好ましくないニュースだが、FDAによる安全性承認、シンガポールでの認可取得により、販路を開拓していくと予想される。

2019年にAviv Wolff氏Ori Cohavi氏によって設立されたRemilkは、昨年1月にシリーズBラウンドで1億2000万ドル(当時約139億円)を調達し、累計調達額は1億3130万ドル(約178億円)となる

昨年4月にはデンマークに工場の建設計画を発表していたが、西ヨーロッパの既存施設における生産能力を確保するため、建設時期を遅らせることを明らかにしている

 

参考記事

REMILK RACKING UP REGULATORY APPROVALS

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Remilk

 

関連記事

  1. 小麦胚芽由来の低コスト成長因子を開発する名大発スタートアップNU…
  2. 大手食肉加工のJBS、ブラジルで培養タンパク質の研究施設建設を開…
  3. タイソンが出資するNew Wave Foodsが代替エビをアメリ…
  4. 韓国の培養肉スタートアップSpace Fらが政府から助成金を獲得…
  5. ネスレがヴィーガンキットカットの販売を欧州で開始!
  6. アニマルフリーな乳タンパク質を開発するイスラエルRemilkが約…
  7. Mycorenaのパイロット工場、拡張により欧州最大のマイコプロ…
  8. 南アフリカの培養肉企業Mzansi Meatが来月、アフリカ発の…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

イスラエル・イノベーション庁が精密発酵の施設設立へ

イスラエル・イノベーション庁(IIA)は、精密発酵で代替タンパク質を開発するため…

xRoboticsのピザロボットがピザ店での試験運用を完了、800の予約注文を受注

ピザロボットを開発するxRobotics(エックスロボティクス)が、オックスフォ…

アイスランドORF Geneticsが大麦由来の低コスト成長因子を開発、培養肉の生産コスト削減を目指す

アイスランド・ORF Geneticsの技術によって、今後数年のうちに培養肉の商…

まだ食べられる食品を定期宅配するImperfect Foodsが約99億円を調達

アメリカ農務省(USDA)によると、アメリカでは供給される食料の30-40%が廃…

Change Foodsが約13億円を調達、精密発酵の市場投入を加速するパートナーシップを締結

精密発酵によりチーズを開発するChange Foodsは、シードラウンドで追加の…

代替肉の「テスラ」を目指す上海の代替肉企業YouKuaiが約7.9億円を調達

「10年前にテスラが登場したとき、テスラは車を持つ人すべてをターゲットにはしていませ…

次回Foovoセミナーのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

精密発酵レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,671円(04/20 12:11時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(04/19 21:26時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/20 00:57時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(04/19 18:01時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(04/20 10:46時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(04/19 21:00時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP