精密発酵でカゼインを開発するオランダ企業Fooditiveは試作製造が成功し、欧州の消費者向けにビーガンカゼインを大規模に生産する実現可能性を実証したことを発表した。
Fooditiveは微生物を活用した精密発酵により、アニマルフリーでありながら動物由来と同等なカゼインを開発・製造している。このカゼインを使用することで、より本物に近い味、食感を備えた植物性代替乳製品の開発が可能となる。
Fooditiveが精密発酵カゼインの工業生産の実現性を実証
Fooditiveは2019年に精密発酵でカゼインの開発を開始した。
当初は「生産工場」として酵母を使用していたが、現在は遺伝子合成によりFooditiveが開発した独自の細菌株を使用している。これにより品質や味を妥協することなく、コスト最適化、拡張性、効率性、安全性の向上など多くの利点が得られるようになったという。
Fooditiveの非動物性カゼインはチーズやヨーグルトなどの代替乳製品に加え代替肉にも適しており、しっとりとした心地よい食感をもたらすとしている。
Fooditiveは欧州市場に向けてカゼインの大量生産を開始できる立場にあるものの、販売するには欧州で新規食品(Novel Food)の認可をとらなければならない。
ビーガンカゼインを工業規模で生産できる実現可能性が実証された今、同社は欧州市場で販売するためのパートナーを探索している。パートナーとともに新規申請プロセスを前進させたい考えだ。
同社創業者兼CEO(最高経営責任者)のMoayad Abushokhedim氏は、「試験が無事完了したので、Fooditiveは欧州のクライアントのニーズにこたえるため、ビーガンカゼインの生産をスケールアップしようとしています(中略)。前進する前にEUで新規食品の認可を早急に取得する必要があるため、サステナビリティとイノベーションへの取り組みを共有するパートナーとの連携を積極的に模索しています」と述べている。
Abushokhedim氏はさらに、「志を同じくするパートナー企業と共に新たな可能性を解き放ち、共にビーガンカゼイン市場を再定義する旅を開始したいです」と述べた。
精密発酵カゼインの開発状況
精密発酵によるホエイタンパク質は上市されているものの、カゼインで上市を実現した企業はまだない。Fooditiveは欧州市場でその最前線に立つ企業の1つだが、Fooditiveのほかにも複数の企業がカゼインの上市を目指している。
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アイキャッチ画像の出典:Fooditive