コーヒー

堆肥化できるコーヒーボールを使うCoffeeB、20万世帯に導入|廃棄カプセルゼロを目指す

 

ひと昔前はコーヒーメーカーといえば、フィルターと粉をセットして、数杯分のコーヒーをいれるタイプが主流だった(豆を挽くところからこだわりたい人もいるだろう)。

最近では、ネスレやUCCなど大手企業が、カプセルをセットして、コーヒーを手軽に楽しめるカプセル式コーヒーメーカーを販売している。現在、市場で主流となっているカプセル式コーヒーメーカーは、プラスチックカプセルを使用している。

これらのコーヒーメーカーは抽出後にカプセルを捨てるだけの手軽さを売りにしているが、廃棄されるカプセルの削減に着目したのが、ミグロスの子会社Delica AGが発売したCoffeeBだ。

出典:CoffeeB

公式サイトによると、毎年アルミニウムとプラスチックのカプセル数十億個が世界で販売され、その約7割が廃棄され、毎年10万トン以上のカプセル廃棄物を生じている。

廃棄カプセルをなくすために5年間かけて開発されたCoffeeBは、家庭で100%堆肥化できるコーヒーボールを使用する。コーヒー粉末をプレスしたコーヒーボールは、天然由来の原料で構成される薄いフィルムでコーティングされ、コーヒーの香りを最大限に保持している。外層には海藻(アルギン酸)を使用している

1年前、スイスフランスで発売されたCoffeeBは、今年4月、ドイツでも発売された。ドイツ進出では、ドイツの小売業者EdekaMediaMarktSaturnと提携し、約5,000店舗に導入した

CoffeeBの責任者を務めるFrank Wilde氏は最近、発売から1年で、20万以上世帯に導入されたことを報告した

「初年度は、20万世帯以上がCoffeeBに切り替えることを選び、順調に進んでいます。今後数年間でさらに多くの世帯がこれに続くでしょう。私たちの研究開発チームは、コーヒーブレンドとマシンをさらに改良し、消費者が高品質なコーヒーを手軽に飲むための最も持続可能なソリューションの提供に今後も努めていきます」とWilde氏は述べている。

出典:CoffeeB

Daily Coffee Newsによると、Delica AGはアメリカへの導入も予定しているが、時期は未定のようだ。

Wilde氏は1年前の発売時、「私たちは、カプセルを使わない当社のシステムがポーションコーヒーの未来であり、アルミニウムやプラスチックのカプセルシステムは時間の経過とともに段階的に廃止されると信じています」と述べていた

CoffeeBの導入が拡大すれば、Wild氏が構想するように、カプセルタイプのコーヒーマシンに代わり、持続可能性を重視したコーヒーボールタイプが主流になるかもしれない。

 

参考記事

Frank Wilde氏リンクトイン

CoffeeB Hits 200k Households For Coffee Ball Brewing System That Aims to Replace Capsules

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:CoffeeB

 

関連記事

  1. 精密発酵で生まれた甘味タンパク質──Oobliのチョコレートを試…
  2. 明治ホールディングス、細胞培養チョコレートの米Californi…
  3. チョコレート会社創業者が立ち上げたNukoko、そら豆由来のカカ…
  4. フィンランドの研究チームが細胞培養によるコーヒー生産に成功
  5. 代替カカオ・ココアバターセミナー動画・資料【2025年4月開催】…
  6. 麹×使用済み穀物で作る代替カカオ|Fermtechとアバティ大学…
  7. オランダのスーパーで買った代替コーヒーを試飲|業界でカフェオレ提…
  8. 【現地レポ】シンガポール展示会(Agri-Food Tech E…

おすすめ記事

UPSIDE Foodsが米レストランで培養鶏肉の販売を実現

UPSIDE Foodsは今月1日、アメリカ、サンフランシスコのレストラン「Ba…

資金調達が相次ぐ代替シーフード:スイスのスタートアップCatchfreeの調達とグローバル連鎖

植物性の代替シーフードを開発するスイス企業Catchfreeは先月、シードラウン…

アニマルフリーな乳製品を開発する英Better Dairyが約2億2千万円を資金調達

このニュースのポイント イギリスBetter …

ニュージーランド政府、培養シーフード開発に約8.6億円を出資

2024年9月24日更新:記事公開当初、後半で記載のシンポジウムの開催時期を2024年としておりまし…

イネで乳タンパク質を開発する日本発のKinish、1.2億円のシード資金を調達

植物分子農業を活用し乳タンパク質を開発するKinishが、シードラウンドで1億2…

EU、精密発酵・バイオマス発酵を基盤技術に位置付け―米国は支援と後退が交錯

欧州委員会は7月2日、「Choose Europe for Life Scien…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/30 16:20時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(12/01 03:00時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(12/01 06:34時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/30 22:21時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/30 14:20時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(12/01 01:38時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP