カカオフリーのチョコレートを開発する英WNWN Food Labsは今月、ベーカリー、レストラン、製菓企業、CPG企業などに向けた業務用製品の卸売販売を世界中で開始したことを発表した。
卸売販売の対象となるのは、WNWNのダークチョコレート・ミルクチョコレートの2種で、袋入りで1.5kg、10kg、パレットで販売される。
プレスリリースによると、WNWNのチョコレートは冷凍食品から焼き菓子まであらゆる用途に使用でき、融点、食感、粘度、テンパリング温度曲線、割れ感において従来のチョコレートに近い挙動を示す。
パートナー企業は、一部またはマスマーケット向けの業務用チョコレートの1対1の代替品として、標準的な製造装置でシームレスにWNWNのチョコレートを使用できるという。
英WNWNがカカオフリーチョコレートのB2B販売を開始
2020年に設立されたWNWNは、穀物やマメ科植物など広く入手可能な植物原料を使用して、独自の発酵プロセスによりカカオフリーチョコレートを開発してきた。
昨年5月のカカオフリーチョコレート発売を皮切りに、昨年9月にはキャラメルをチョコレートでコーティングしたダイムを再現した2つ目の製品「Waim! Bars」を限定発売。
今年2月にはシリーズAラウンドで560万ドル(当時約7.6億円)を調達し、5月にはカカオフリーのミルクチョコレートの開発完了を発表した。
WNWNはミルクチョコレートの美味しさを再現するために、タイガーナッツとオーツ麦を使用した。
タイガーナッツはじゃがいものように土の中で育つ塊茎植物で、スペインで人気の甘みのある代替ミルク製品「オルチャータ」に使用されている。タイガーナッツを使用することで、アーモンド、大豆、オーツ麦よりも水の使用量を抑えられるという。
2050年までにカカオの木の1/3が消滅
チョコレート生産は森林破壊、児童労働問題と切り離せない。欧州では森林破壊に関連したカカオとチョコレートの販売を禁止する規則が6月に発効された。アメリカでは今年、児童福祉擁護団体が児童労働によるカカオの輸入を阻止する訴訟を起こしている。
カカオは気温上昇や降水量の減少など、気候変動の影響を受けやすく、2050年までにカカオ生産に適した地域は半減し、カカオの木が1/3消滅すると予想されている。
チョコレートはまた、牛肉、羊肉、チーズ、乳牛に続き、5番目に温室効果ガスを排出する食品とされる。
一方、世界のチョコレート市場は拡大しており、2022年の1,863億2000万ドルから、2030年には3,126億5,000万ドルに達すると予想されている。現在のサプライチェーンと生産システムでは、継続的な環境破壊と非倫理的な行為なしには、この成長に対応できないとWNWNは指摘している。
WNWNによると、従来のチョコレートでは1kgあたり40kgの二酸化炭素が排出されるのに対し、WNWNのチョコレートは1kgあたり排出される二酸化炭素を3.8kgに抑えられるという。
児童労働、森林破壊に依存しないWNWNのチョコレートは、サステナビリティの目標達成と児童労働問題の解決を迫られる企業にとって、有望な選択肢となりうる。
WNWNは現在、イギリスとEUの一部のベーカリー、レストランと提携している。最近、世界70ヵ国以上に顧客を持つ欧州の大手ベーカリー・製菓サプライヤーであるMartin Braun-Gruppeと共同開発契約を締結した。
このほか、オレオ、リッツ、ナビスコで知られるMondelēz(モンデリーズ)の研究開発プログラムCoLab Techに参加するなど、世界の食品メーカーと継続的な協議を行っている。
参考記事
WNWN Cocoa-Free Chocolate Now Available Globally for B2B Wholesale and Foodservice
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アイキャッチ画像の出典:WNWN