フィンランドの食品メーカーFazerが、代替タンパク質ソレイン(Solein)を使用した世界初の限定版チョコレートバー「Fazer Taste the Future」を今月18日より、シンガポールで販売開始した。
食品メーカーがソレインを使用した製品を発売するのはこれが初。今回の発売は、ソレイン初の小売デビューでもある。
ソレインは、フィンランドのスタートアップ企業ソーラーフーズ(Solar Foods)が開発したもので、二酸化炭素、水、電気、微生物を活用してバイオマス発酵により作られたタンパク質だ。
生産に農地を使用せず、炭素源に二酸化炭素を使用することから、「エア・プロテイン」、「単細胞タンパク質(SCP)」、「空気タンパク質」などと呼ばれている。
食品メーカーが空気タンパク質を初めて製品に導入、発売
ソーラーフーズのソレインを使用した製品が発売されるのは今回が2回目。
同社は2022年10月、シンガポールでソレインを含む食品の販売認可を取得。昨年6月にはシンガポールのレストランFicoが、ソレインを使用したアイスクリームを期間限定で販売した。
今回、Fazerは食品メーカーとして初めてソレインを使用した製品を発売した企業となった。
チョコレートバー「Fazer Taste the Future」は、製品にソレインを2%使用している。ソレインを添加することで、植物性食品では通常不足しがちな栄養素である鉄分を補えるという。シンガポールのThe Cocoa Treesの一部店舗で販売されている。
初期のラウンド以降、シリーズA、シリーズBラウンドを通じてソーラーフーズに出資してきたFazerは、細胞農業によるカカオの開発も進めている。ソレインに留まらず、今後は細胞農業で開発したチョコレートの発売も目指しているだろう。
ソーラーフーズは味の素とも戦略的パートナーシップを締結し、シンガポールでの製品開発などで協力している。
欧州・米国・英国の主要市場で申請を完了
フィンランドで建設中のソーラーフーズ最初の商用生産施設Factory 01は完成に近づいており、今年上半期に稼働開始の予定だ。
以前の報道では年産120トンを見込んでいたが、今回のプレスリリースによると、年産160トンを見込めるという。Factory 01が完成すると、ソレインを使用した新製品の開発・発売がより現実的な話になる。
同社は第2の商用工場の計画も進めている。
今回発売されたチョコレートバーは限定版であり、Green queenの報道によると、2月18日までの販売だという。昨年販売されたアイスクリームも約2ヵ月間の限定販売だった。
こうした限定販売により、消費者からフィードバックを得て、新規タンパク質に対する消費者の受容度を確認しているのだろう。
ソーラーフーズはすでに欧州、イギリス、アメリカなど主要市場で承認申請を完了している。
同社共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のPasi Vainikka氏はプレスリリースのなかで、「2025年から2026年にかけて欧州で幅広い製品を大規模に発売することを目標としています」と述べている。
同社はソレインだけでなく、二酸化炭素から乳タンパク質を作る精密発酵プロジェクトも進めており、今後の研究開発の進展に注目だ。
参考記事
A new snack bar launched in Singapore demonstrates the versatility of Solein®
Solar Foods and Fazer Unveil World’s First Air-Protein Chocolate Bar in Singapore
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アイキャッチ画像の出典:Solar Foods/Fazer