代替プロテイン

ベゾス・アース・ファンド、ノースカロライナ州立大学に代替タンパク質センターを設立

写真出典:Andrew Steer博士 President & CEO, BezosEarthFund

 

代替タンパク質の研究開発・イノベーションに特化したセンターが先月30日、ノースカロライナ州立大学に設立された

施設名はベゾス持続可能タンパク質センター(Bezos Center for Sustainable Protein)で、代替タンパク質をより手頃に、美味しく、健康なものにするための体系的な研究を行う場となる。ベゾス・アース・ファンドが今後5年間で3,000万ドル(約46億円)を投じる。

同ファンドは代替タンパク質の普及促進を行う非営利シンクタンクのGood Food Instituteと協力し、ノースカロライナ州立大学に最初のセンター設置を決めた。

新センターでは植物タンパク質精密発酵培養肉の3分野に軸を置き、技術を実用化するために重要な目的基礎研究を共同で実施する。センター設立により、ノースカロライナ州への多くのバイオテック企業の誘致、地域社会の経済の活性化、雇用の創出が期待される。

ベゾス持続可能タンパク質センターは2024年に設立される最初の施設であり、年間を通じて他の施設の開設も予定されているというベゾス・アース・ファンドは代替タンパク質のオープンな研究開発センターのために1億ドルを投じることを発表している。

学術界・産業界との20を超えるパートナーシップ

Andrew Steer博士 出典:Andrew Steer博士 President & CEO, BezosEarthFund

ベゾス持続可能タンパク質センターは、学術界、産業界、シェフ、政策立案者などさまざまな立場の人々が、培養肉、植物性食品、精密発酵などのタンパク質の製造開発と商品化を目指す場となる。

新技術の研究開発だけでなく、新興業界に携わる人々に研修機会の提供や、消費者が好むタンパク質の測定も行う。

ノースカロライナ州ウィルソンで大規模な培養肉工場を建設中のイスラエル企業BELIEVER Meats(旧Future Meat Technologies)も同センターとの提携を発表した。BELIEVER Meatsの培養肉工場は年末までに稼働する予定で、稼働すると年間2600万ポンド(約11800トン)の生産能力を有するものとなる。食品関連で新たに100の雇用が生まれる見込みだという。

ノースカロライナ工科大学やデューク大学などの学術パートナーのほか、20社を超える産業界パートナーがベゾス持続可能タンパク質センター参加する

産業界パートナーにはBELIEVER MeatsのほかにカーギルジボダンビューラーグループGEABig Idea Venturesなどの大手に加え、細胞培養でコラーゲンを開発するJellatech、4月に初のプロトタイプを発表した培養魚企業Atlantic Fish、培養ペットフードを含めたビーガンペットフードを開発するWild Earth、精密発酵のスケールアップに取り組むBioBrewなどスタートアップ企業も含まれている

 

参考記事

There’s No Alternative to Alternative Protein

Bezos Earth Fund Grant Creates Sustainable Protein Research Hub at NC State

Believer Meats Partners with Bezos Earth Fund and North Carolina State University on Bezos Center for Sustainable Protein

Bezos Center for Sustainable Protein at NC State

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Andrew Steer博士 President & CEO, BezosEarthFund

 

関連記事

  1. 草食動物の腸内細菌で代替タンパク質を開発する米SuperBrew…
  2. ファーストフードチェーンChipotleが代替油脂を開発する米Z…
  3. 日立造船とNUProtein、成長因子生産に必要な原料の自動製造…
  4. 細胞農業(細胞培養・精密発酵)で代替母乳を開発するスタートアップ…
  5. 北里大学、ニホンウナギの筋芽細胞株の樹立に成功|持続可能なウナギ…
  6. 米Algae Cooking Club、微細藻類由来の食用油を発…
  7. Oatlyがオーツ麦由来のソフトクリームをイギリスで発売
  8. チリのユニコーン企業NotCoが約259億円を調達、アメリカに続…

おすすめ記事

精密発酵:8ヵ月にわたる企業・政府動向の全記録【Foovo独自調査】

昨年にPerfect DayのB2Bシフトが報じられ、1月にはPerfect D…

代替魚・代替シーフードベンチャー企業25社まとめ【2021年版カオスマップ】

この記事では、代替魚・代替シーフードの開発に取り組む国内外のベンチャー・スタート…

イスラエル企業Remilk、アメリカで精密発酵乳タンパク質の認可を取得

テルアビブを拠点とする精密発酵企業Remilkは、アメリカでGRAS自己認証を取…

食べられるコーヒーカップを開発したCupffeeが約2.6億円を調達

コーヒーとともに食べられるカップを開発したブルガリア企業Cupffeeは、プレシ…

スイスの食品大手ジボダン、ビューラー、ミグロスが共同で培養肉の実証プラント建設を発表

スイスの大手食品企業が培養肉市場に参入する。ジボダン、ビューラー、ミグロスは共同…

Remilkがカナダで精密発酵乳タンパク質の認可を取得

精密発酵で乳タンパク質を開発するイスラエルのRemilkは今月5日、カナダ保健省…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/21 14:06時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/20 23:44時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/21 03:26時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/20 20:01時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/21 12:17時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(11/20 23:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP