デンマーク議会は今月18日、気候変動対策、土地利用の変革、生物多様性、水質向上に430億デンマークデンマーク・クローネ(約9300億円)を投じることで合意した。
この政治的合意(Grønt Danmark)は、2024年6月に定められた農業の排出量削減と自然再生に関する三者協定を土台に、デンマーク政府と議会の政党が数か月にわたって交渉した結果となる。
デンマークは、生物多様性の改善・生息地の創出を目的に、25万ヘクタールの森林を再生し、14万ヘクタールの低地農地を自然地域に転換することを目指している。これにより約10%が自然に戻ることになり、2045年までの転換に合意した。
土地利用の転換に加え、国内のフィヨルドや沿岸水域の水環境を改善し、気候負荷を軽減するとともに、生物多様性を強化し、飲料水の保護を推進する。この合意の重要な柱のひとつは、デンマークの水域に深刻な影響を与えてきた窒素汚染の削減となる。
また、6つの国立自然公園の新設を計画しており、2030年までに合計21個に増やす予定だ。特に、コペンハーゲン近郊に都市型国立自然公園の設置を計画している。国立自然公園の新設・拡充には3億5000万デンマーク・クローネ(約76億円)があてられる。
デンマークは2030年までに1990年比で排出量を70%削減する目標をかかげており、今年6月、世界で初めて畜産農家に対する炭素税の導入が発表された。
具体的には2030年から、農家は牛や豚などの家畜由来の排出量1トン(二酸化炭素換算)につき300デンマーク・クローネ(約6,500円)の税金を支払うことになる。2035年には750デンマーク・クローネ(約16,280円)に増額されるが、60%の控除が適用されるため、実質的な税額は2030年には1トンあたり120デンマーク・クローネ(約2,600円)、2035年には300デンマーク・クローネ(約6,500円)への増額となる。
これにより20230年までに180万トンから260万トンの温室効果ガス排出量を削減できると期待される。また、競争力のある農業・食品産業を支援するため、熱分解技術に約100億デンマーク・クローネ(約2,170億円)をあてるとしている。
デンマークは昨年、植物性食品の推進・移行に向けた国家計画を発表した。
今回の合意では、植物性食品がデンマーク農業・食品生産において重要な位置を占めるとの認識から、2025年~2030年に植物性食品に4億2,000万デンマーク・クローネ(約91億円)を投じるとしている。
参考記事
プレスリリース:
・Cutting agriculture emissions and restoring nature: Discover Denmark’s historic tripartite agreement
・Bred politisk aftale om Den Grønne Trepart indgået: Den største forandring af det danske landskab i over 100 år
合意の内容全文:https://mgtp.dk/media/iinpdy3w/aftale_om_implementering_af_et_groent_danmark_endelig.pdf
Bred politisk aftale om Den Grønne Trepart indgået
海外メディア:Danish Parliament Agrees Green Deal to Tax Meat Production & Promote Plant-Based Foods
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アイキャッチ画像の出典:Ministeriet for Grøn Trepart