Foovo Deep

米Liberation Labs、Viviciと製造パートナーシップを締結 ─ 2026年にリッチモンド工場の稼働開始へ

出典:Liberation Labs(2024年時の建設状況)

米インディアナ州リッチモンドで60万L規模の精密発酵工場を建設中のLiberation Labs(現Liberation Bioindustriesは5月7日、オランダの精密発酵スタートアップViviciと製造パートナーシップを締結したと発表した。

Liberation Labsにとって、Viviciは最初のパートナー企業となる。

Liberation Labsは2026年の商用生産を開始後、Viviciの主力製品であるβ-ラクトグロブリンVivitein BLG」を生産する。Liberation Labsはサウジアラビアで第2の工場建設に向けた調査も開始している。

Liberation LabsがオランダのViviciと提携

出典:Vivici

Viviciはオランダの大手化学メーカーdsm-firmenichとニュージーランドの乳業大手フォンテラが2022年末に設立した企業。精密発酵によるホエイVivitein BLG」に続き、ラクトフェリンVivitein LF」も開発している。

今年2月、シリーズAで3,250万ユーロ(当時約52億円)を調達。ロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官がGRAS自己認証の廃止を検討するようFDAに指示した中、3月にはFDAから「質問なし」レターを受け、精密発酵ホエイについてGRAS認証を取得し、北米B2B向けの提供を開始した。

ウォーターベースのプロテインドリンク、筋肉増強効果に優れているというプロテイン粉末など、スポーツ・ウェルネス用途を狙っている

Liberation Labsはアメリカを皮切りに、オーストラリア中東ブラジル東南アジア欧州などグローバル6箇所に製造施設の建設を予定しており、最終目標は、グローバルで2400万Lの発酵容量の実現だ。リッチモンドの施設を稼働させた後は、400万Lの施設建設を予定している

出典:Liberation Labs(2025年5月の建設状況)

同社は2023年6月、リッチモンドでの建設を開始。専用の下流プロセスを備えた60万L規模であり、AgFunderの報道によると、400万Lへの拡張を予定している。

リッチモンドの次の施設として、サウジアラビアに精密発酵施設を建設するため、サウジアラビアの未来都市プロジェクトNEOMの投資ファンドNIF」との提携が先月報じられた

さらに、第3の建設地としてオーストラリアを検討しているという。

出典:Liberation Labs

ViviciのCEO(最高経営責任者)であるStephan van Sint Fiet氏は、「Liberation Labsとの提携により、欧州の生産能力を拡大し、アメリカのお客様にVivitein BLGにより安定した供給を行うことができます」と述べている。

生産インフラの確保は精密発酵市場の課題だ。

Liberation Labsに加え、Earth First Food Venturesが支援するPFerrinX26は、アメリカ中西部に200トンの精密発酵ウシラクトフェリン工場を計画。今後10年で中東と北アフリカ、アジアを含む4拠点に、それぞれ年1万トンの生産能力を有する施設を建設する計画だ

Liberation Labsの工場は、非動物性の乳タンパク質のほか、食品・化学薬品・工業製品の構成要素となるバイオ由来原料の製造にも対応するという。

精密発酵による乳タンパク質が販売された事例は、アメリカシンガポール香港など一部地域での上市に限られる。

精密発酵カゼインについては、New CultureがGRAS自己認証、FermifyFDAへの通知とシンガポールでの申請を行っているものの、現時点で商業販売は確認されていない。ラクトフェリンではTurtleTreeが先月、自社製品をD2C販売した。

2026年にLiberation Labsの工場が稼働開始すれば、アメリカ国内での供給拡大に寄与し、Vivici以外の企業との提携拡大にもつながる可能性がある。

 

関連資料(有料)
▼[図解]精密発酵企業の規制状況まとめ

食品用途で認可を取得した精密発酵企業のグローバル認可状況(2025年5月)および、米国におけるGRAS認証・自己認証の取得状況(2025年5月)を一覧に整理したデータ資料を公開しています。下記リンクをクリックするとダウンロードいただけます。

精密発酵企業(食品用途)のグローバル認可状況(2025年5月)
米国におけるGRAS認証・自己認証の取得状況(2025年5月)

 

※本記事は、下記プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

Liberation Labs Announces Manufacturing Partnership with Vivici

 

 

関連記事

  1. チェコのBene Meat Technologies、培養ペット…
  2. アレフ・ファームズ、タイで培養肉の承認申請を初提出|世界の申請・…
  3. 米Jellatech、細胞培養によるⅠ型コラーゲンの生産に成功|…
  4. バレンタインで代替カカオ登場|複数の有名ブランドがアノザMを採用…
  5. 植物の葉緑体を活用して成長因子を開発するBright Biote…
  6. 分子農業企業Moolec Scienceが豚タンパク質を作る大豆…
  7. スターバックスがパーフェクトデイの代替ミルクを試験導入
  8. ニュージーランド企業Daisy Labが精密発酵ホエイのスケール…

おすすめ記事

ドイツのThe Cultivated B、EFSAに向けた培養ソーセージの承認申請手続きを開始

ドイツの培養肉企業The Cultivated Bは14日、欧州食品安全機関(E…

カクテルに3DプリントするPrint a Drink、企業向けの小型3Dプリンターを開発

フード3Dプリンターという言葉を聞いたことある人は少なくないだろう。工業…

えんどう豆由来の代替ミルクを開発するSproudが約6.8億円を調達

えんどう豆を主原料に代替ミルクを開発するSproudが480万ポンド(約6億8千…

細胞性食品は各国で何を意味するのか|研究者らが語る社会・文化の違い【国際シンポジウムレポート】

出典:Wildtype培養肉など細胞性食品の社会実装は、コストやスケールアップといった技術課題だ…

ジャガイモで卵白タンパク質を開発するPoLoPoが約2.3億円を調達

イスラエルの分子農業スタートアップPoLoPoは先月、プレシードラウンドで175…

【10/16】現地レポート会:フィンランド&シンガポールにおけるフードテックの現状をご紹介

本セミナーは終了しました。たくさんのご参加、ありがとうございました!!セミナー動画はこちらか…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP