2025年7月22日、炒め調理ロボット「I-Robo 2」がついにコンビニに登場した。6月のローソン高輪ゲートウェイシティ店のから揚げロボット(F-Robo)に続く第2弾であり、コンビニ店内厨房に“炒める工程”を新たに実装した意義は大きい。
東京を拠点とするTechMagic(テックマジック)が開発したもの。これまでにレストランに導入が進んでいるが、Foovoの認識では「I-Robo 2」のコンビニ導入はこれが初。
導入されたのは、東京豊島区にあるグリーンローソン(ローソン北大塚一丁目店)。JR大塚駅から徒歩で5分もかからないところにある。

グリーンローソン(ローソン北大塚一丁目店) Foovo(佐藤)撮影
グリーンローソンは、2022年11月にオープンしたサステナビリティと社会課題を意識したコンビニ。
セルフレジがメインで、酒類・たばこは運転免許証やマイナンバーカードの提示で購入が可能のようだ。通常のコンビニと違い、新聞以外の雑誌・漫画は置いておらず、使い捨てのフォーク・スプーンなどカラトリーは配布されない。代わりに、環境に配慮したカラトリーなどが販売されており、テイクアウト客も必要に応じてこれを買う仕組みだ。

環境に配慮したカラトリーの販売コーナー Foovo(佐藤)撮影
店舗は従来型のコンビニより広く、冷蔵冷凍コーナーには、CO2排出量と電気量の削減のために扉が設置されていた。

Foovo(佐藤)撮影

Foovo(佐藤)撮影
訪問目的の“ロボットが作ったチャーハン”は、入口そばにセルフオーダー端末があった。タッチパネルで「炒め調理ロボ登場!」を選択すると、ロボットが作るメニューだけが表示される。

Foovo(佐藤)撮影

Foovo(佐藤)撮影
「I-Robo 2」は 撹拌、加熱、調理後の鍋の洗浄まで、一連の動作を自動化したロボットで、炒飯・野菜炒めなど、熟練の職人のレシピを自動で再現している。
チャーハンなど炒める作業を伴う中華料理では、重たい中華鍋を持ち、強い火力で調理しなければならない。「I-Robo 2」導入により、強い火力での過酷な厨房作業が自動化され、労働環境の改善とともに、人手不足の解消にもつながるというわけだ。洗浄もロボットが自動で行う。
つまり、コンビニに「I-Robo 2」が導入されるということは、従来のコンビニでは難しかった炒め料理が提供可能になるということである。
▼これは昨年11月の展示会で撮影した「I-Robo 2」

昨年11月の展示会で撮影した「I-Robo 2」 Foovo佐藤撮影
キッチンの中を除くと、「I-Robo 2」が見えた。調理中の様子を眺められる専用窓(下記写真)も設置されている。

Foovo(佐藤)撮影
さて、どんな感じだろうとのぞいているうちに、色々気づくことがあった。
チャーハンを作る場合、ロボットが行うのは主に炒める、洗浄するといった作業。材料を投入する、できたチャーハンを皿に盛りつけるといった作業は人が行う。
人の役割はそれだけではない。炊飯器から一人分のご飯をタッパーによそう、先に投入する溶き卵を用意する、専用の材料を用意するなど、意外と多い。
完全に自動化されたわけではないが、チャーハンなど炒め作業をコンビニで実現する難しさを考えると、多少の人による作業が発生しても、ロボット導入によるメニューの拡大がどんなプラスの効果をもたらすかは興味深い。
筆者は3つのチャーハンと、1つの野菜炒めを注文した。チャーハンはまとめて作るのだろうかと思っていると、1人分ずつ作っていた。これは機械の仕様の問題かもしれないし、お店の方針かもしれない。3つのチャーハンと1つの野菜炒め、計4つの料理を作るのに要した時間は約15分間だった。
この間、ロボット周辺にはスタッフが2名おり、1名のスタッフがロボットに材料を投下、できた料理を取り出すなどの対応、もう1名のスタッフはご飯や材料を用意していた。ロボットが炒める作業中はわずか2分ほどで、その間、スタッフはテイクアウト用の容器にシールを貼ったり、次の料理の準備をしたりする。そこまで慌ただしくも、暇を持て余す感じでもない。
作業に熟練しているかどうかにもよるだろうが、慣れれば1名でもこなせそうに思えた。
調理中、スタッフがお客から呼ばれることもあった。それも15分の間に1回だけで、セルフレジのお店だからかもしれないと思った。
専用窓にもう1人、テイクアウトらしい男性がいた。小さな女の子と中国語で話している。久々の中国語に緊張しつつ、「初めての注文ですか?」と尋ねると、そうだと答えてくれた。台湾から日本に旅行でやってきたが、近隣のホテルに宿泊しているわけではないという。インターネットでこの店舗に調理ロボットが導入されたことを知り、試しにきたのだという。

「I-Robo 2」で調理された料理 Foovo(佐藤)撮影
家族にも「ロボットチャーハン」を試してもらった。チャーハン、野菜炒めともに、「おいしい」「ロボットで調理されたとはわからない」「レストランで提供される味だ」というのが共通した感想だった。価格も「たまごチャーハン」538円(税込)、「野菜炒め豚ハラミ入り」754円(税込)と安めだ。

「I-Robo 2」で調理されたチャーハン Foovo(佐藤)撮影

「I-Robo 2」で調理されたチャーハン Foovo(佐藤)撮影
スタッフによると、毎日ある程度の注文があるようだ。注文は店内だけでなく、モバイルオーダーもできるので、注文してから店舗へ取りにいくこともできる。店内にはほかのお弁当や、パン製品も多数陳列されており、これらに「出来立てメニュー」が加ったことで、近所に住む人にとっては、お手頃感のある中華料理店が増えた感じだろうか。

「I-Robo 2」で調理されたチャーハン Foovo(佐藤)撮影
テックマジックは昨年11月の展示会で、ユーザーが自身で専用ミールキットをロボットに投下して、その場で熱々の料理が提供されるという「オートキッチンDEKITATE-GO」を展示していた。実証として、江東区青海にあるテックマジック本社ビル5階に2台導入されていることをその際、教えてもらった。
スタッフに代わりに「ユーザー自ら」がロボットを操作するもので、ここグリーンローソンでも、「DEKITATE-GO」が導入されたら体験そのものがユニークで付加価値になると思う。
「I-Robo 2」がレストランで導入が進んだように、他のコンビニ店舗にも拡大していくか、注視したい。
※本記事は、Foovoの試食・現地調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像はFoovo(佐藤)撮影