葉からルビスコを抽出するニュージーランドのLeaft Foodsは2025年9月9日、日本の乳製品・食品原料サプライヤーであるラクト・ジャパンとの戦略的パートナーシップを発表した。
両社は日本市場におけるLeaft Foodsのルビスコタンパク質の商用化を進める。
すでに植物性食品、ベーカリー、スポーツ栄養の各カテゴリで日本の主要食品メーカー数社と協業を進めており、ルビスコの市場性を確認している。今後5年間で、数千万ドル規模の事業の構築を目指している。
ラクト・ジャパンでオセアニア統括部長を務める清水岳志氏は、「特に感銘を受けたのは、タンパク質システムそのものだけでなく、最初からさまざまな有望な用途で活用できたという点です。そこから生み出された食品の品質、食感、風味は、日本の消費者が期待する非常に高い基準を満たしています」とプレスリリースで述べている。
Leaft Foods、日本での商用化に向けラクト・ジャパンと提携

出典:Leaft Foods
Leaft Foodsが扱うルビスコは、緑色の葉に含まれる光合成に関与するタンパク質で、ケール、ほうれん草、アルファルファもやしなどに含まれ、地球上で最も豊富なタンパク質だとされる。
プレスリリースによれば、ルビスコはホエイを上回る栄養・機能特性およびアミノ酸プロファイルを有し、クリーンラベルなタンパク質として卵、乳化剤、ゲル化剤の代替として活用できる機能を備えるという。
論文でも、ルビスコは、ホエイや大豆タンパク質単離物に匹敵、あるいはそれ以上の機能性を持つことが報告されている。
従来は抽出の複雑さが課題とされたが、Leaft Foodsは消化しやすい形で分離・抽出する技術を開発。先月には、ルビスコを配合したスポーツ用ドリンク「Leaft Blade」をアメリカ・ニュージーランドで販売開始した。
今回の提携はそれに続く発表であり、日本市場におけるルビスコの展開に現実味を与えるものとなった。
AgFunderの報道によれば、Leaft Foodsは日本での規制手続きを進めており、2026年末までに完了すると見込んでいる。
精密発酵も視野に入れるラクト・ジャパン

出典:Leaft Foods
1998年設立のラクト・ジャパンは乳製品や食品原料を取り扱う大手サプライヤー企業。乳製品やタンパク質、食品素材の輸入・流通・マーケティングを専門とし、2024年の統合報告書によれば、乳原料・チーズ事業を主力とし、国内輸入シェアの3割強を誇る(p12)。
報告書では、植物由来原料の取り扱いを拡大する方針であること、将来的には精密発酵技術による代替原料の取り扱いも検討したいことに言及している(p20)。さらに同社は今年7月、納豆菌を活用した次世代タンパク質の研究・開発・製造を行う日本のスタートアップ・フェルメクテスに出資した。
今回のLeaft Foodsとのパートナーシップはこれに続く動きとなり、プロテインクライシスを見据えた供給網確保と原料ポートフォリオの多様化に向けた新たな一手といえる。特にホエイなど乳原料を主力とするラクト・ジャパンにとって、ホエイを上回る栄養・機能特性を持つルビスコは、事業戦略と高い親和性を持つ素材だといえる。
植物の葉から得られるルビスコが、ホエイや大豆に続く次世代タンパク源として日本市場にどのように展開され、受け入れられるか、今後の動向に注目したい。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:Leaft Foods