出典:FrieslandCampina
2025年9月26日更新
オランダの多国籍酪農協同組合FrieslandCampina(フリースランド・カンピーナ)は今年7月、精密発酵投資を中止することを発表した。
オランダメディアのNieuweOogstが第一報を伝えた。
精密発酵投資を中止したフリースランド・カンピーナ

出典:FrieslandCampina
同社傘下のFrieslandCampina Ingredientsが精密発酵事業に参入したのは2016年で、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)の製造を精密発酵技術で開始した。
2023年にはバイオテック企業Triplebar Bioとの戦略的パートナーシップを締結し、精密発酵による「細胞由来タンパク質」の開発・スケールアップを目指すと発表。二社はその後、精密発酵ラクトフェリン開発でも協業を進めてきた。
精密発酵導入の狙いは、土地、水、エネルギーの使用を削減しながら、幼児から高齢者までの健康と栄養をサポートする生理活性タンパク質を持続可能かつ手頃な価格で生産することにあった。
しかし今年7月、同社は「市場環境の変化と、よりコスト効率の高い競合他社からの圧力により、精密発酵への投資を中止する」ことを決定した。NieuweOogstの報道によれば、この判断は2023年に発表された「Expedition 2030」に基づく広範な戦略的見直しの一環となる。
報道担当者のJan-Willem ter Avest氏は、「この見直しでは、コスト削減、効率改善、乳製品への注力に重点が置かれています。この方針転換の中で、高品質なタンパク質や牛乳由来のガラクトオリゴ糖といった成分の生産により注目が集まっています。これは牛乳の価値向上を促進するもので、フリースランド・カンピーナの将来にとって極めて重要です」とコメントしている。
さらに同社CEO(最高経営責任者)のJan Derck van Karnebeek氏は決算発表会で、「精密発酵を中止するのは、持続可能性の観点から、乳製品のカーボンフットプリント改善の方がより大きな成果が得られると考えるからです。酪農家のみなさんとの協力により、大きな進展を遂げつつあります」と述べ、酪農家との関係性を重視する姿勢を示した。
ただし、精密発酵の中止が、乳製品と植物由来原料を組み合わせたハイブリッド製品の中止を意味するものではないとも補足した。
中止と強化:二極化する大手の動き

出典:Nestle/Perfect Day
※本記事は、海外メディアの第一報をもとに、Foovoが収集した情報に基づいて、独自の整理と分析を加えて執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:FrieslandCampina