代替プロテイン

Strauss Group、Imagindairyの精密発酵ホエイを使用したクリームチーズ・乳タンパク飲料をイスラエルで小売販売へ

出典:Strauss Group

イスラエルでまもなく、精密発酵乳タンパク質を使用した製品が市場に登場する。

イスラエルの大手食品・飲料メーカーStrauss Groupは今月10日、精密発酵乳タンパク質を使用したクリームチーズ乳タンパク飲料を数週間以内に発売する予定だと発表した

クリームチーズは既存ブランド「Symphony」、飲料は既存ブランド「Yotvata」の“CowFree”シリーズとして展開される。

これらの新製品には、イスラエル企業Imagindairyが精密発酵で開発したβ-ラクトグロブリン(ホエイタンパク質の1種)を採用。製品はイスラエル全土の小売店で販売される見込み。この発表は、同社が昨年11月にイスラエル保健省から販売認可を取得したニュースに続くものとなる。

Foovoの認識では、Strauss Groupが販売を実現すれば、イスラエルにおいて初の精密発酵食品の販売事例となる。

なお、イスラエルではRemilkが2023年4月に同じく精密発酵乳タンパク質で販売認可を取得しているが、これまでにRemilkの原料を使用した製品の上市はイスラエル国内では確認できていない。Foovoは両社に先月取材を申し込んだが、回答は得られなかった。

精密発酵の歴史と今回のニュースが持つ意味

出典:Strauss Group

微生物を「ミニ工場」とし、動物に依存せずに特定成分を生成する精密発酵はさまざまな酵素の製造に使用されてきた。

はじまりは、ジェネンテックが微生物によるヒトインスリン開発に成功し、1982年にFDA認可、1983年に市販化した事例にさかのぼる。近年は乳タンパク質など食品成分の製造に注目が集まっている。

Foovoの調査では、アメリカを中心にホエイ、卵白タンパク質、ラクトフェリン、甘味タンパク質、ヘムが食品に採用されている

今回のStrauss Groupの動きには大きな意味がある。

第一に、認可がおりながら2年近く販売実績がなかったイスラエル市場で実際に小売販売がまもなく始まること。

第二に、2025年8月時点のFoovo調査では、公開情報から現在製品に採用されていることが確認できた精密発酵ホエイ4製品のみ(うち1製品は現時点で在庫切れ)だが、Strauss Groupの導入により、新たな製品が加わること。

第三に、大手食品・飲料メーカーによる採用である。

Strauss Groupは世界約20ヵ国で事業を展開し、事業対象は乳製品、コーヒー、チョコレート、ベーカリー、パスタ、スナックと多岐にわたる。本拠地のあるイスラエルでは13,000店舗の小売店に製品が配送されている

同社による採用は、かつて精密発酵乳タンパク質を試験導入したスターバックス、現在は販売が確認できず、終了した可能性が高いネスレユニリーバなどに続く大手採用の最新事例となる。

一方で、Imagindairyより1年以上前にイスラエルで販売認可を取得したRemilkの同国での販売動向が見られない点は引き続き注視したい。

今後の注目ポイント

出典:Strauss Group

2020年に設立されたImagindairyは、2023年8月にアメリカでGRAS自己認証を取得、同年12月にはアメリカ食品医薬品局(FDA)から「質問なし」のレターを受領し、GRAS認証を取得した。麹菌であるAspergillus oryzaeを使用してホエイタンパク質の1つであるβ-ラクトグロブリンを生成している

昨年1月には工業規模の精密発酵生産ラインを買収し、発酵容量が10万リットルを超えたことを発表した

今後の焦点は、イスラエルの小売店で2製品がどの程度の期間、販売が継続されるかにある。小売店は消費者に最も近く、味や価格に対する反応が直接返ってくる場でもある。また、Imagindairyのホエイがいつアメリカで上市されるのかも、今後注目されるポイントだ。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Strauss Group

 

関連記事

  1. 大豆を使ってチーズを開発するNobell Foodsが約82億円…
  2. Farmless、二酸化炭素によるタンパク質生産に向けて約1.8…
  3. 極限環境微生物で代替パーム油を開発するシンガポール企業Biteb…
  4. ひよこ豆由来のタンパク質を開発するInnovoProが約3億円を…
  5. 3D Bio-Tissuesが植物性足場を使用しない培養ステーキ…
  6. Meatable、EU初の培養肉試食会をオランダで開催
  7. 2020年の代替タンパク質投資額は31億ドルとGFIが報告、過去…
  8. Yコンビネーターが支援する米培養肉企業Orbillion Bio…

おすすめ記事

英ReNewFood、精密発酵で新たなヘムタンパク質を開発 – 2027年の市場投入へ|創業者インタビュー

英国のスタートアップReNewFoodは、精密発酵技術を活用し、タンパク質由来の…

Pairwiseがゲノム編集野菜を上市するためConscious Foods立ち上げを発表

ゲノム編集技術を活用して農産物を開発するアメリカのPairwise(ペアワイズ)…

イスラエルの微細藻類スタートアップBrevel、シードラウンド拡張で約7.4億円を調達

微細藻類由来のタンパク質を開発するイスラエル企業Brevelがシードラウンドの追…

植物ステーキ肉のChunk Foodsが約20億円のシード資金を調達

イスラエルの植物肉企業Chunk Foodsは、昨年11月にシードラウンドで15…

Motif FoodWorks、精密発酵による代替タンパク質開発で新たな提携

植物由来食品の味・栄養の改良を目指す米フードテック企業Motif FoodWor…

ドイツの培養シーフードのBLUU Seafood、歴史ある香辛料メーカーVAN HEESと提携──培養魚と植物原料でハイブリッド製品開発へ

出典:BLUU Seafoodドイツの培養シーフード企業BLUU Seafoodは今月、ハイブリ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

細胞性食品(細胞培養食品)レポート・予約注文開始

最新記事

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP